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カテゴリ:健康・元気
コロナ禍で「老化が進む人」が激増しかねない訳感染恐れて外出減り体力・食欲・気力が低下
名古屋市緑区の居宅介護支援事業所「でんじやま」ケアマネジャー水野勝仁さん 「いま、急に生活機能が落ちて、要介護度が変わるケースが増えています」 要介護度は軽度の要支援1から重度の要介護5まで7段階に分かれていて、一定の期間(6カ月~3年)で見直されるのが一般的だ。一方で、急に健康状態が悪くなった人については、これとは別に要介護度を変更できる。 「緑区では、今年6月の要介護度の区分変更をした人が例年より250人ほど多かった。それだけでなく、要介護度が2段階以上、変わる人も何人かいました。こうしたケースはこれまでほとんどなく、深刻さを痛感しました」 大阪経済大学人間科学部教授の髙井逸史さん(理学療法士)と共同で調査を実施した。 緑区の高齢者148人(平均年齢82.7歳)では、宣言前より「外出頻度が減った」が77%、「食事量が減った」が17%、「転倒不安が増えた」が46%、「もの忘れが増えた」が36%、「疲れたような感じがする」が34%だった。対して、堺市(257人・平均年齢80.7歳)も同じ傾向だったものの、「食事量が減った」「疲れたような感じ」が少なかった。 堺市の高齢者573人(平均年齢81.8歳)について、デイサービス利用を「控えた群(257人)」と「通った群(316人)」で比較。すると、「転倒不安が増えた」で約6倍、「認知機能低下」で約11倍も控えた群のほうが高くなっていた。 「コロナフレイル」 「下半身の筋力の低下が思った以上にありましたが、これは自粛中の個人の取り組みや、デイサービスを再開したときの運動などを通じて、維持や改善が期待できるかもしれません。 一方、認知機能を取り戻すのは難しい。第2波に備えて、どういう対策が必要なのかみんなで考えていく必要があります」 大内尉義さん(虎の門病院前院長) 「当時は“年のせい”で片付けられていた身体の衰えは、しっかり介入すれば元気な状態に戻りうる可能性があることがわかってきたのです」 「普通の生活をしていたら数年かかって落ちる筋力が、外出を控えて動かないままでいたら1週間で失われる。この状態が続けば、2~3カ月後には歩けなくなる高齢者がたくさん出てきてしまうのではないか」 筋肉量は10代がピークで、何もしなければ1年間に3~5%ずつ減るといわれている。高齢者の場合は、筋肉量の減少を加速させる別の要素がプラスされる。 「それが“運動不足”と“栄養不足”です。これに加齢を含めた3大要素が、筋肉量を減らす原因だとわかっています。高齢になって食事がパンやうどん、ご飯などの炭水化物に偏ってタンパク質不足になってしまったり、運動をする機会が減ったりすれば、当然ながら筋肉量はどんどん落ちていきます」 筋肉量は10代がピークで、何もしなければ1年間に3~5%ずつ減るといわれている。高齢者の場合は、筋肉量の減少を加速させる別の要素がプラスされる。 「リスクが高い人は今すぐ対策を。その1つは、筋肉の材料になるタンパク質をしっかりとること。肉や魚、卵、大豆製品をとるのが望ましいですが、難しい場合はアミノ酸製剤(サプリメント)でもかまいません」 併せて行いたいのが筋トレだ。筋肉には持続力に必要な「赤筋(遅筋)」と、瞬発力に必要な「白筋(速筋)」があり、フレイルで落ちやすいのは白筋のほうだ。この白筋を鍛えるにはスクワットやダンベル体操などが有効だという。 「デイサービスが休業している間、食事や排泄、入浴を代替サービスで補えば何とかなると思っていました。しかし、それだけを補っても健康状態が悪化してしまう高齢者が少なくありませんでした。1日のリズムを作ったり、人とのコミュニケーションの場となったりするデイサービスの役割の大きさを痛感しました」 「今、考えなければならないのが、コロナ禍でも社会とつながれる、人と触れ合えるという場を持つということ。例えば、家族や友人との交流を深めてみるのも1つ。たわいもないおしゃべりでも不安が和らぎ、気持ちの落ち込みを予防できます」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.08.19 03:05:53
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