MM2022のブログ

後藤 静香　日めくり 29日


親切
　　優しいたったひと言
　　あんなに悦んでくれるのか
　　はずかしいほどの品
　　あんなものを
　　あれほど悦んでくれるのか
　　世界中の人々に
　　あたたかい言葉をかけ
　　わたしの持っているものは
　　わたしよりも
　　もっと必要な人達に
　　みんな分けてしまいたい



後藤 静香（ごとう せいこう、1884年8月17日 - 1971年5月15日）は、大分県出身の社会教育家、社会運動家。

蓮沼門三の「修養団」に傾倒し参加。
格言や偉人伝、寓話などをわかりやすく解説した雑誌をいくつも発行。
代表作である詩集・格言集『権威』は100万部を越えて、当時の青年、教育社、労働者に愛読され、熱狂的な支持を得た。

「現代語訳　安居院義道」p.83-83

更に駿州石田村の石垣氏等による仕法の懇請はもっとも手厳しく、訪問すること十八回にわたり、ほとんど三か月に及んで取り上げられている。このことは別に改めて収録しておいた。
　なおまた身代立て直しのような手負いの求道者に向かっては、直ちにその城壁に肉薄して、一挙に妄念を粉砕する警語や厳句が放たれている。その二、三をあげれば、
お前は百姓だというが、三十姓ぐらいのものだ。一年田を荒せ、直きに百姓にしてやる
　貴様のようなものは死んでしまえ。一遍死んで甦（よみがえ）らなければ駄目だ。
　自分の家は潰れても十軒立て直せば、差し
引き九軒の得だ。
等は翁が昔日、大死一番の窮地から鍛え上げられた体験を、そのままに述懐する、いわば生（なま）の言葉のように感じられる。
　このような調子をもって、まず道を求める人の魂に筋金（すじがね）を入れてかかる、後にはそれらの人々から誓約書をも差し出させている。
　また仕法地は、いずれも困窮した貧乏村であるが、特に借財による重圧が一番の悩みである。これは理詰めに論ずれば、平素覚悟が足りないということにもなる。したがって根本策として外部からの援助を頼らずに独立自助に出るべきことに間違いはない。二宮先生が野州赴任の際に小田原侯に申し立てた事もその意味と考えられ、結局、勤倹の余財と共同の結束力に待つことになるのだが、安居院先生の立場とは事情も違っているように思われる。
先生にはいずれの後援となるべき背景も持たない。全くの徒手空拳である。資金の全部は、仕法地の住民の極度の勤倹による捻出するよりほかにない。先生の石田村における場合、村民の負担額は、その資力からはけた外れである。ほとんど策の施すべき余地もないのである。仕法が立たないと匙（さじ）を投げられたら、報徳の絶命になる。何としても押し切らないと責任を免れない。従って先生が苦心した事も察するに余りがある。
そのために毎戸の生活にも立ち入り、苛酷（かこく）にわたって世話している。誠に剛毅清直の人で、信念が厚くなければ及ばないところである。それと共に石垣氏の忍従（にんじゅう：耐え忍んで従う）と篤行（とっこう：誠実な行い）もあずかっている。村民の一糸乱れぬ結束力と一心不乱の活動とが、二十年の永きにわたって実を結んだことは、誠に敬意絶讃するほかに表わすべき何物もない。
　後日において研究会の席上において先師淡山（岡田良一郎）に対して、報徳の仕法とは、安居院先生の石田村におけるような同じ型を執ったのかと聞いたところ、淡山師は、二宮先生の仕法は安居院先生の執ったような厳しい詮索ではなかった。先生が石田における絶対絶命の場合は、また止むを得ないと答えられた。更に付け加えてこの石田における痛々しい状況は、その地方において、報徳の見方に大きな影響を与えた。それはある時、同地方の富豪者に報徳社への加入を求めた所、その人は大変に当惑した態度で「私はいまだ報徳に入るほど貧乏はいたしておりません」と、断ったという珍談もあったという。






「現代語訳　安居院義道」を蔵書とする図書館（2024年6月22日）
*新しく蔵書の図書館は太字

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