米スリーマイル島原発(ペンシルベニア州)が20日、営業運転を終了した。同原発は2号機(加圧水型)が40年前に炉心溶融事故を起こした後も、1号機(同)が運転を続けていたが、採算の悪化で閉鎖を余儀なくされた。今後、60年をかけて廃炉にしていく。
朝日新聞デジタル>記事 米スリーマイル島原発が運転終了 60年かけて廃炉へ ニューヨーク=香取啓介 2019年9月21日 9時56分
〈スリーマイル島原発事故〉
1979年3月28日、2号機で給水ポンプが動かなくなり、原子炉が緊急停止したことをきっかけに起きた事故。
人為ミスが重なって原子炉を冷やす冷却水が流出したことで炉心が露出して一部溶融し、放射性物質を含む汚染水が建屋内に漏れた。国際的な事故評価尺度(INES)では、最悪レベルである
旧ソ連のチェルノブイリ原発、福島第一原発のレベル7に次ぐレベル5。
複合要因によるスリーマイル島(TMI)原子力発電所の炉心溶融事故
事例発生日付 1979年03月28日
事例発生地 米国ペンシルバニア州サスケハナ川のスリーマイル島と呼ばれる中州(ハリスバーグ市郊外)
事例発生場所 スリーマイル島(TMI)原子力発電所の2号炉
事例概要 空気弁が閉じるという些細な問題がおこり、安全装置が働き、補助給水ポンプが立ち上がったが、弁が閉じられていたために蒸気発生器に水が送られず、数々の安全装置が作動したが、人為エラーや設計ミス、故障などが重なった結果、熱による蒸発で急速に水が失われ、炉内が空焚き状態になり、炉心が溶融した。
原因
(1)補助給水系の出口弁が閉じられた状態で稼働していた。
閉じられた状態であるというランプがメンテナンス用の表示に覆われていた。(人為ミス)。
(2)1次系の圧力が低下しても加圧器逃がし弁が閉じなかった(機械の故障)。
(3)水量を誤認したオペレータがECCSを早期に停止した(人為ミス)。
(4)格納容器が完全に隔離されておらず、高放射性の水が外部に漏れた(設計ミス)。
(5)水位計の誤った表示をもとにECCSを断続的に作動させた(人為ミス)。
(6)1次冷却水ポンプを不用意に停止した(人為ミス)。
データベース登録の動機
この事故以前は、原発は安全であると唱えられており、異常事態の対策がいくつも設計されていた。ところが些細な異常が発生し、小さな故障、人為ミス、状況判断ミス、設計ミスなどが重なり、大きな事故となった。人為ミスといわれるものも、その時点では作業員が正しい対策であると判断して行ったものもあり、表面上だけでは真の原因が追求し難い奥の深い問題であるため。
(抜粋)