ティプトロは楽しい(そのまた続き)
縁あって、987ケイマンに試乗してきた。もちろんティプトロ、すなわちオートマである。964と987とでは、メーカー名以外は全く別物のクルマなのだけれど、不思議と違和感なく操縦することができた。さすがポルシェである。今のティプトロは、シフトレバーをコキコキするのではなく、マニュアルモードに入れたら、後はハンドルのスイッチで操作するのか・・・ギアは5速あるし、少し忙しい気がしなくもなかったけれど、とにかく良く出来ている。何よりエンジンの吹けが軽いこと軽いこと!吹けの軽さは空冷エンジンの特性のようにも思っていたのだけれど、これでは最新のポルシェが最良のポルシェと言われるのも無理はない。う~ん、こうなると、空冷を愛好する理屈は、もはやフィルムカメラやアナログレコードを愛好するのと同じかもしれない。Dレンジで走行していても、いったんハンドルのスイッチでシフトチェンジすると、瞬間にマニュアルモードに切り替わり、それが8秒間維持された後に、自動的に再びDレンジに戻るのだという。いちいちシフトレバーを右に払ってマニュアルモードに入れてコキコキと変速を確かめながらというのも、いかにも自ら操作している感じがして楽しいのだが、これなら、普段Dレンジで走行していても、減速する際にカチツとシフトダウンしたり、ダッシュする際にセカンドで引っ張ったりすることが手軽に行えるというものだ。ところで、911の次期モデルには、ついにクラッチ式の2ペダルのMT、PDKが導入されるらしい。何と、前進7速だって・・・これで初期型のティプトロは、決定的に旧型になり下がる。今さらそんなことはどうでも良いとしても、現に今、デリバリーを指折り数えて待っているオーナー予備軍や納車されたばかりのピカピカのオーナーは、このリリースをどう受け止めておられるのか・・・お察し申し上げる次第。さて、価格は、カレラクーペで7速PDKが12,370,000、6速MTが\11,620,000と、その差は75万円。これは964が出た当時の4速ティプトロと5速MTの差額が100万円だったのと比べると、結構お得ということになるのだろうか。かつては変わらないクルマの代名詞のようだったポルシェも、今や変革の波にさらされているのは他のクルマと何ら変わりはない。964や996と同様、大幅な変更のあった新型997も、出始めのモデルは初期不良に悩まされるのかもしれない。高値安定の997の市場価格の行方は・・・一番喜ぶのは、当分記事のネタに困らない雑誌社かなぁ。