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日経最終面文化欄の連載小説は、「韃靼の馬」が完了し、変わって安土桃山から江戸時代初期にかけて活躍した絵師長谷川等伯を描いた、時代小説「等伯」(安部竜太郎 著)の連載が開始されました。今日がその4回目。等伯が、能登七尾から越中富山まで船旅をする場面が描かれています。 兄武之丞の言うなりに七尾湾から塩や干し魚などを越中に運ぶ回船舟に隠れるようにして乗船する等伯、自分自身にさえその逃避行のような船旅の理由が分からないという書き出し、この物語の柱になるストーリー展開が匂ってきます。 長谷川等伯といえば、狩野永徳と並ぶ安土桃山時代の日本画の巨匠。人気テレビ番組「お宝何でも鑑定団」に鑑定に出される日本画の筆頭が、この長谷川等伯。でも残念なことに十中八九は贋作ということで、伸介の嘲笑と皮肉を浴びて依頼者がすごすご退散するんですよね。。。 その等伯が、能登は七尾の生まれであったとは知りませんでした。 初回より今日まで、能登半島、七尾、富山湾、関野(高岡)、氷見、魚津、岩瀬、笹津、神通川といった聞きなれた地名が出てまいります。能登半島のつけ根、富山県高岡市に住む者にとって、目をつむっていても地名の位置関係が頭に浮かんできて、それだけでもう話に誘い込まれてしまいます。 突然ですが、左手の親指をピンと伸ばして手の平を内側にして目の前に持ってきてみてください。 親指が能登半島、親指の内側から人差し指が富山湾の海岸線。人差し指の根元付近が蜃気楼で有名な魚津になります。親指の方に目を向ければ、第一関節内側付近にあるのが七尾湾、第二間接付近に氷見があり、当地高岡は、親指の付け根やや内側寄りになります。富山は手の平の中心より少し上の方。手の平の中央に走る知能線が丁度そのまま神通川になりますね。 その神通川の河口に位置する岩瀬浜から、川を遡り笹津までやって来たところで、今日の話が終わっています。笹津と言ったら随分上流になりますね。現代でも富山市岩瀬から笹津まで、車で小一時間はかかります。そこまで人足に舟を引かせて神通川を上ったと書かれていますから、昔はそれが物を運ぶ唯一の手段だったのでしょう。 安部竜太郎による「等伯」、西のぼるの挿絵が版画調に描かれていて、このタッチがこれまたいいですね。 日経の連載、今回もまた時代小説でした。・・・毎日が楽しみです。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年01月25日 15時52分28秒
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