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藁にもすがりたい気持ちは痛いほどよく分かりますが、この国の教育制度で高校クラスの物理、化学をちょっとでも学んだことがあれば、「放射性物質を消し去ってしまう“奇跡の水"」などあるはずがないことは、すぐに分かることです。 ウエブトピックスより 放射性物質を消し去ってしまう“奇跡の水”「創生水」とは? そもそもそんな水があるのなら、東電は福島原発の冷却水の処理に頭を抱えることもありませんね。 この記事を読む限り、この水を作り出す装置を開発したメーカーは、善意でこの装置を福島県飯舘村佐須地区に無償で提供しており、「放射性物質を消し去ってしまう」などとは一言も言っていないようですから、飯舘村農業委員会の会長さんの一方的な思い込みのようです。 であれば尚のこと、このメーカーは、そのような奇跡の水を作り出す装置ではないことを農業委員会の会長さんに分かりやすく伝えるべきでしょう。 私が見たところ、この装置はよくある電解水と言われる水を作り出す装置のようです。 水に食塩などの電解質を少し溶かして電圧をかけると、水に電気が通って、プラス側とマイナス側にそれぞれ違う性質の水ができるのは一般に広く知られた科学の常識です。 いわゆる水の電気分解で、私は中学1年の時にこの実験を理科の時間に体験し、水から酸素と水素が発生することを知り驚愕した覚えがあります。 この種の装置を販売するメーカーは、プラス側にできた水を「酸性水」、マイナス側にできた水を「還元水」とか「アルカリイオン水」とか呼んでいるようですが、私の知る限りそれらの呼称は正式な化学用語とは呼べないはずです。 マイナス側にできる水は、飲むと胃腸によいとか化粧水のように使えば肌が潤うとか言われたりしていますが、普通の衛生的な水でも胃腸に悪くはないし、顔をよく洗えば肌が清潔になり、潤ったように感じるものです。 効能に科学的根拠がしっかりと見いだせるのは、むしろプラス側にできる水の方でしょう。 水道水の殺菌には次亜塩素酸ナトリウムが使われているのは、よく知られていますね。プラス側にできる水「酸性水」は、結果として次亜塩素酸ナトリウムが極微量溶けた水そのものだからです。そのため、生野菜などの食品やまな板、包丁などの調理器具の洗浄・殺菌に効果を発揮します。 「この水で放射線に汚染された野菜を洗えば元通りになり、田んぼや川、牧草、牛の乳も、この水に浸せば放射性物質が完全に消え去る可能性があるんです。私たち地区住民200人は、創生水を復興の旗印にしていくつもりです」 飯舘村農業委員会の会長さんはこのように言っておられますが、残念ながら野菜についた微生物の殺菌には効果を発揮しますが、放射能を除染することは決してできません。田んぼも牧草も牛乳も同様です。 「復興の旗印」とまでおっしゃっているんですよ。・・・悲しすぎます。 おそらく震災により劣悪になった飲料水・生活用水を改善するための一助になればと、このメーカーは村にこの装置を寄付したのだろうと善意に解釈したいです。その証としてこのメーカーは一刻も早く、飯舘村農業委員会に真実を説明してあげてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年05月27日 12時54分42秒
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