カテゴリ:本
今読んでいる本。 浅田次郎著「王妃の館(シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ)下」。 倒産寸前の日本の旅行会社が、気位ばかりが高くて実は経営がやはり左前のフランス随一といわれる超高級ホテル・シャトー・ドゥ・ラ・レーヌを抱き込んで企てた旅費10日間で150万(「光(ポジ)ツアー」)と19万「影(ネガ)ツアー」のダブルブッキングされたツアーに参加したあの客たちはどうなったか?
いかに用意周到に計画されてダブルブッキングツアーとはいえ、やはりこんな常識外れのことが無事に済むはずがなかった。 二組の旅行客は、まったくの偶然から同じホテルの同じ部屋をブッキングされている者同士と知らないまま、それぞれ出会っているのだからオソロシイ。 しかし、ついにツアーの二重売りが露見してしまう最終章、どういうわけか彼らはホテルのスイートルームの一室に集まり、なんと「光(ポジ)ツアー」客の一人である超売れっ子作家北白川右京が、憑かれたように書き綴る小説の原稿を奪い合うように貪り読むのであった。 その原稿こそが、フランスブルボン王朝の全盛期に君臨したルイ14世と、その寵姫ディアナとその息子プティ・ルイの愛憎の物語、「王妃の館」。 ・・・ルイ14世はついにプティ・ルイを王太子に迎えることを決意し、ディアナとプティ・ルイの住む「王妃の館」に迎えに行く行列の先頭に立つのであったが。 「王妃の館」を舞台に、17世紀と現代を光(ポジ)と影(ネガ)に見立て、読者を思いっきり笑って泣かせる感動の物語。 浅田は「王妃の館」を通して、このツアーの客たちがそうであるように、そしてプティ・ルイがそうであるように、ともすれば我々現代人が忘れかけようとしている人を思いやることの大切さと、たとえ負け組と後ろ指を指されようとも常に勇気と希望を持ち続けることの大切さを、訴えたかったのでしょうか。 ![]() にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年05月11日 11時30分04秒
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