カテゴリ:遊遊漢字学が楽しみ♪
毎週日曜日のお楽しみ、漢字学者阿辻哲次氏の日経連載「遊遊漢字学」。 今週阿辻先生が取り上げた漢字は、「枕」でした。 日本人なら文壇に関わらずとも漱石と鴎外の名を知らぬ人はいないでしょう。いわずと知れた明治の二大文豪です。そういえば高校の時、訳も分からず漱石と鴎外を読まされたものでした。 今私は、漱石という名は漢籍の「漱石枕流」ということばから取ったものだと、高校の国語の先生が、教えてくれたことを思い出しています。 「・・・君たち、『漱石枕流』を読めば、『石に漱(すす)ぎ、流れに枕(まくら)す』になるが、これっておかしくはないか?石を枕にして川の水で口を漱ぐのが普通だろう」 「実は『漱石枕流』には、無理矢理こじつける、強弁するという意味がある。昔中国西晋時代のこと、孫楚という文才に優れた男が、『枕石漱流』というべきところを間違えて『漱石枕流』と言ってしまった。『川の流れは枕にできず、石では口は漱げない』との指摘を受けても、孫楚は素直に間違いを認めず、こう強弁したそうだ」 「流れを枕にするのは俗世間の賤しい話で穢れた耳を洗いたいから。石で口を漱ぐのは俗世間の賤しいものを食した歯を磨きたいからだと。・・・これってかっこよくないか」 と「漱石枕流」の故事を披露した後で、 「・・・漱石はかなりの頑固者、偏屈者で、それが高じて胃潰瘍や気鬱の病に終生悩まされたということだ。あたしもかなりの頑固者、偏屈者だと自認してはいるがね、漱石ほどじゃありませんよ。頭のつくりの方もね・・・。ワッ、ハッ、ハッ」 と高らかに笑ったものでした。 現代では「漱石枕流」は、「ソウセキチンリュウ」と読むのが一般的だが、「枕」はマクラという意味なら読みは「シン」で、これを「チン」と読むのは実は誤りで、この読み間違いについて強弁した者は誰もいないようだという阿辻先生のこだわりのあるご指摘。さすがはご専門が漢字だけのことはあると感心させられます。 ついでに言わせていただきますが、先生は頑固度、偏屈度においても漱石級、いや孫楚級だと思いますが、阿辻先生や如何に。(爆笑! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月24日 11時37分17秒
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