カテゴリ:遊遊漢字学が楽しみ♪
毎週日曜日のお楽しみ、漢字学者阿辻哲次氏の日経連載「遊遊漢字学」。 今週阿辻先生が取り上げたのは「女紅」。 誰でも知っている漢字二文字からなることばですが、「女紅」とは今日あまり目にすることもなくなったことばではないか? 「じょこう」と聞けば、多くの人は「女工」を頭に浮かべるでしょう。明治維新以降の近代日本史を語るとき、必ず出て来ることばでもありますから。 調べてみると「女紅」とは、女子の仕事。裁縫・機織りなどとありました。 「女紅」にしろ「女工」にしろ、わが国では明治以降昭和の初期まで定着したことばだと言えます。 ところが漢字の本家本元の中国では、そもそも「女紅」なることばは、前漢の景帝の時代に発した詔勅の冒頭に見ることができると、阿辻先生は教えてくれています。漢書・景帝紀に次のような記述があると。 雕文刻鏤(ちょうぶんこくる) 傷農事者也 錦繍纂組(きんしゅうさんそ) 害女紅者也 景帝は、道具に華美な装飾を加えることは、農業の発展を阻害し、贅沢で派手な衣装は女性の労働を阻害すると戒めたのだとか。 ここに見える「女紅」は、私なんぞはつい「女性が紅を引いたあでやかな姿」を頭に思い浮かべてしまいますが、阿辻先生は、「紅」は「功」または「工」の意味で「男耕女織」の社会では、「女紅」は女の仕事という意味であると、いたってお堅い。(笑! 再び日本にもどって、明治新政府は自ら掲げた国策の中心となる富国強兵政策も、この「女紅」の力なくしては成り立たないことは、よく理解していたと思われます。 明治4年(1872年)にはすでに、京都に日本最初の女性のための高等教育機関である「女紅場(じょこうば)」を開設し、裁縫・手芸・染色などの伝統的な「女紅」のほかに、「読み・書き・算盤」に関する授業も行ったということです。 ・・・ふ~む、働く女性の力とな。 (綾小路きみまろ風に)・・・あれから何んと150年。現代のわが国の行く末を預かる宰相は、「女性の力」を弓につがえ、その矢を勢いよく放ったのではありますが、いっこうにその効果が見えてこないのはいかなる所以でしょうや? 安倍首相も本日の日経はお読みでしょうから、ぜひ「女紅」ということばを学び直してもらいたいものです。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月24日 11時50分45秒
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