カテゴリ:そばの雑学
そば湯はなぜ飲まれるのか? そのまえにそばとうどんの違いについてみていきましょう。 原料となるそば粉と小麦粉の栄養成分の違いについて書かれた資料(日穀製粉(株)研究室の資料です)によれば、含まれるたんぱく質が大きく異なっており、それがうどんとそばの性質を大きく違わせているということがわかります。
小麦粉の主たるタンパク質は分子が大きく、これを水と練り合わせると、○印のグリアジンとグルテニンが水和することにより、グルテンを形成してさらに大きな分子になるのです。 このグルテンは麩質と呼ばれ、うどんやラーメンのおいしい食感にはなくてはならないものなのです。そう、うどんのコシは、このグルテンが決め手になるのです。 一方そば粉に含まれるタンパク質は比較的低分子で、表からも分かるとおり水に溶けやすいのです。また、グリアジンが含まれないので、水と捏ね上げてもグルテンが形成されないので生地がつながりにくい。それでつなぎに小麦粉を使って、そばを打つということが編みだされたのです。 これが、二八そばとか五割そばとかいわれる所以なのです。十割そばというのは、この水溶性のタンパク質とでんぷん質をうまく糊状にまとめて捏ね上げて打つ方法で、余程の職人さんの打ちたて、茹でたてを食べない限り、やはり細かく切れやすい。 さて、そば湯に戻りましょう。そば屋ではそばを食べ終わったころにそば湯がだされますが、うどん屋でうどん湯がだされたという記憶などありませんよね。なぜか? これも先にあげた成分表をみれば一目瞭然ですね。そばに含まれる良質のタンパク質や栄養成分が、ゆでるときにゆで湯の中に溶け出すので、蕎麦を食べたあとに、だし汁をそば湯で割っていただくという知恵がそば湯というわけ。そば通の中には、蕎麦よりこのそば湯がお目当てという方がいらっしゃるというのですからね。 昔の人は、エライですね。このようなことを理屈抜きで経験で学び、生活の中に取り入れていたのですから。しかもそれが面々と今日まで受け継がれて来ているのですから、この文化を継承せずば、昔の人に叱られようというものです。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年10月14日 11時50分06秒
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