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テーマ:日々自然観察(9874)
カテゴリ:昆虫(甲虫)
頭部胸部は赤褐色、鞘翅は白地に黒斑が4つと非常に特徴的なので、今回は検索表は用いずに、いきなり保育社の甲虫図鑑で絵合わせをしてみた。・・・ところが、どうした訳か見付からない。これは何としたことか。ヒョッとすると、最近我国に入って来た外来種? 結局、検索表を引くことになってしまった。概略を書くと、頭部は正常、口器は頭部の先端に位置する→触角の基部は相互に近く位置し、頭部の前半部に位置する→後肢腿節は一般に肥大しない、と云うことでヒゲナガハムシ亜科(Galerucinae)に落ちた。 しかし、ヒゲナガハムシ亜科は甲虫図鑑に77種(九大目録では95種)も載っているにも拘わらず、族や属への検索表はない。結局、また絵合わせに戻ることになる。
普通の図鑑の図版は標本を撮影したものである。標本は変色することが多い。これは図鑑の図版を見るときに注意しなければならないことの一つで、白は往々にして黄色になる。そこで、淡い色の違いは無視して、背中に4紋黒斑のあるハムシをヒゲナガハムシ亜科の中で探してみた。 直ぐにヨツボシハムシが見付かった。写真では白い鞘翅の地色が、図版では頭部胸部と余り違わない黄褐色になっている。しかも、頭部胸部が下側に曲がっているのか、相当な猪首である。見かけはかなり異なる。本当にヨツボシハムシであろうか。
そこで画像を探してみた。ヨツボシハムシはかなり普通種らしく、写真は沢山あった。何れも今日の写真の虫とソックリである。しかし、Web上の情報は、以前掲載した「”ニセ”アシナガキンバエ」の様に、時として殆ど全部が誤っている場合もある。其処で、もう一度図鑑に戻って記載を読んでみた。「5.0-5.7mm.頭部・前胸腹面・腹部は黄褐色.中・後胸は黒色・個体によっては、上翅の黒紋は相接する.前胸背板は1横溝を有し、前・後縁は縁取りを欠く.(中略)中・後肢脛節末端に1小突起を有し(後略)」とある。前胸背板の1横溝は1番目や4番目の写真で明らかである。また、4番目の写真原画を拡大すると、脛節末端の小突起が辛うじて見える。 図鑑に載っていない種の可能性も論理的にはある。しかし、まァ、甲虫図鑑に載っていない様な珍種はこの辺りに居ないだろうから、ヨツボシハムシ(Paridea quadriplagiata)として問題ないであろう。
日本産ハムシ科(Chrysomelidae)には16亜科700種以上が棲息するが、これまでに紹介したのは、ヒゲナガハムシ亜科(ウリハムシ、クロウリハムシ、ウリハムシモドキ)、ノミハムシ亜科(ルリマルノミハムシ、テントウノミハムシの1種)、クビボソハムシ亜科(キバラルリクビボソハムシ、キベリクビボソハムシ、アカクビボソハムシ)に今日のヨツボシハムシを入れて、3亜科9種、全体の僅か1.3%に過ぎない。しかし、我が家のカミキリムシ科はもっと少ない。日本産約900種の内、これまで紹介したのはタケトラカミキリ、ルリカミキリ、キクスイカミキリの3種で、全体のたった0.3%!! ハムシもカミキリムシも植食性である。種類数が少ないのは、そのまま我が家の植物相が貧弱であることを示しているのだろう。今の家を売り払って、自然の豊かな田舎に引っ越せば、もっと色々な虫を紹介できるのだが・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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