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カテゴリ:昆虫(アブ、カ、ハエ)
遠目に見ると、コマルハナバチの働きバチの様な大きさと色具合である。しかし、ハチとアブ(本当はハエだがアブとしておく)を見間違えることはない。 それにしても、今までこの辺り(東京都世田谷区西部)で見たことのない配色、これはシッカリ撮ってやろうと思ったのだが、結構敏感なヤツで、数枚で逃げられてしまった。
太めで毛深いハナアブ(ハナアブ科:Syrphidae)と言えば、ハラブトハナアブ属(Mallota)が思い浮かぶ。早速、市毛氏の「ハナアブ写真集」を参照してみた。しかし、ハラブトハナアブ属と今日のハナアブとでは、翅脈が明らかに異なる。 さて、それでは一体、此奴は何者・・・、と考えていたら、外来種のスイセンハナアブのことを思い出した。昨年の今頃に掲載したことがあるが、全身が黄褐色~灰褐色の毛で覆われていて、今日のハナアブとはまるで模様が違う。しかし、模様は個体変異かも知れない。
早速、自分のWeblogを見直してみた。翅脈は全く同じである。「ハナアブ写真集」を良く見てみると、この様な翅脈はスイセンハナアブの属すMerodon属だけの様で、しかも、この属には他にカワムラモモブトハナアブが記録されているだけである。カワムラモモブトは「ハナアブ写真集」に載っており、明らかに別種である。・・・と言うことで、今日のハナアブはスイセンハナアブ(Merodon equestris)で間違いないであろう。Web上で探してみると、ソックリな写真が沢山出て来た。極く普通の変異の様である。 昨年掲載した時にも書いたが、北隆館の新訂圖鑑には、「脚は黒色で後脚の腿節は肥厚し脛節内側中央付近は広く瘤状に膨れ、末端内側には長い角状突起があり、外側には板状の突起がある」と書かれている。「板状の突起」は角度の関係で良く分からないが、内側の膨れと突起は上の写真で明らかである。
しかし、昨年掲載した時にも最初はハラブトハナアブの仲間と間違えている。進歩がない、と言うか、1年前に書いた記事のことはもうすっかり忘れている。全く、困ったものである。 尚、九州大学の日本産昆虫目録には外来種のスイセンハナアブは見当たらず、Merodon属にはカワムラモモブトハナアブ(Merodon kawamurai)とナガモモブトハナアブ(Merodon scutellaris Shiraki, 1968)の2種が載っている。しかし、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」の関連サイトである「みんなで作る双翅目図鑑」(写真は殆ど無い)の一覧表(九大目録よりも新しい)を見ると、Merodon属はスイセンハナアブとカワムラモモブトハナアブの2種のみで、ナガモモブトハナアブは(Azpeytia shirakii Hurkmans. 1993)となっており、全然別の種となっている(族はマドヒラタアブ族で同じ)。 また、北隆館の新訂圖鑑を見ると、スイセンハナアブの学名はMallota equestris)であり、該一覧表とは属ばかりでなく族も異なる。Mallota属はナミハナアブ族(Eristalini)、Merodon属はマドヒラタアブ族(Eumerini)に属す。 この辺り、一体どうなっているのか、一介の素人には全く分からないが、此処では、市毛氏の写真集に従って、スイセンハナアブはマドヒラタアブ族に属し、学名はMerodon equestrisとしておく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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