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テーマ:虫!(822)
カテゴリ:昆虫(ハチ)
正確な正体は分からないが、どうやら寄生蜂の繭の様である。早速、葉ごと回収して小さなコップの中に吊るし、ラップで口を覆って、何が出て来るかを待つことにした。 この様な、何かにぶら下がる繭を作る寄生蜂としては、以前紹介したホウネンタワラチビアメバチ(繭と成虫:本当にその種なのか確信はない)がよく知られた居る。しかし、この正体不明の繭は、その繭とは形も作りも全く異なり、また糸は非常に太く、マクロレンズで撮ると、まるで針金の様である。分類学的にかなり離れた位置にいる寄生蜂に違いない。
其処で、「ハチ 繭 ぶら下がる」のキーワードでGoogle画像検索をしてみた。すると、似た様な繭の写真が見つかった。羽化後の空になった繭である。元を調べると、「下手の園芸ブログ」と云うサイトの2011年7月24日の記事「バラと幼虫と寄生蜂」であった。宿主の写真もあり、また、宿主から出て来た幼虫や、それが繭を紡ぐ所、その後の経過等を30枚以上もの多数の写真で記録されている。読者諸氏も是非御覧になられたい(拙Weblogでは、他所様のサイトへのリンクは、リンク切れの恐れがあるので、張らないことにしている。「"バラと幼虫と寄生蜂" ぶら下がる」で検索されたし)。
羽化した蜂の写真も載せられていた。そのサイトの著者はある程度昆虫に関する知識をお持ちの様だが、このハチの名前に関しては何も触れられていない。しかし、翅脈の良く分かる写真が載せてある。一見して、コマユバチ科(Braconidae)に属す寄生蜂であることが分かった。 しかも、体形と翅脈にかなり特徴的なものがあり、Borror & Delong著の「Study of Insects」やその他の文献で調べてみると、どうやらハラボソコマユバチ亜科(Euphorinae)Meteorus属のハチらしい。ハチは既に羽化しているので、現在、詳細を検討中である。
しかし、このコマユバチの寄主は何であろうか。繭の付いていた葉には寄主の残骸は無く、食痕も無い。毒草であるクリスマスローズの葉を食べる虫は今まで見たことがないので、その上に位置するデュランタに付いていた何らかの虫に寄生していたと考える方が妥当であろう。 恐らく寄主は寄生により衰弱してデュランタからクリスマスローズの葉上に落下し、其処からこのコマユバチの幼虫が出て来たのであろう。その後、寄主の死骸は風や雨で葉から落ち、この繭だけが残ったものと思われる。 Meteorus属の寄主は鱗翅目ばかりでなく甲虫類の場合もある。デュランタの方は、丁度その真上の部分を既に剪定してしまったので、食痕や寄主に関する何らかの情報を得ることは最早不可能である。 [追記]この繭から羽化したコマユバチはギンケハラボソコマユバチ(Meteorus pulchricornis)であることが判明した。その記事は、此方をどうぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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