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2010.01.31
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カテゴリ:書籍・雑誌
 国民読書年にちなみ、毎月10日、20日、末日はその間に読了した本の中から面白かったもの、印象に残ったものを選んで感想を書くことにしている。今日はその末日だ…って、もう1日の朝ですがな。
 1月21日~31日の間に読んだのは、新書1冊に文庫が6冊。いつぞやの日記でちょろりっと触れた笹沢左保さんの「軍師 竹中半兵衛」を始め、今回読んだ本はどれも大変面白く、心に響くものが多かった。その全部を取り上げたいところだが、そのための時間も気力もないので、印象に残ったいくつかの作品を御紹介したい。
 いずれも古い文庫本ばかりなので、何を今更…ってなモンだけどほえー

 「イワン・デニーソヴィチの一日」 ソルジェニーツィン 新潮文庫

 スターリン体制下のソ連でラーゲル(強制収容所)に収容されているイワン・デニーソヴィチ・シェーホフの起床から就寝までの一日を、克明に淡々と描いた名作。後にノーベル文学賞を受賞したソルジェニーツィンの体験を元に描かれた、彼のデビュー作である。
 氷点下30度という極寒の冬のラーゲルでの平凡な日課―とはいえ、現場作業や食事風景などは十分大変そうなのだが―を終えたシェーホフは満ち足りた気持ちで眠りに落ちる。
 “営倉へもぶちこまれなかった。昼飯のときはうまく粥をごまかせた。楽しくブロック積みができた。鋸のかけらも身体検査で見つからなかった。タバコも買えた。どうやら、病気にもならずにすんだ。一日が、すこしも憂うつなところのない、ほとんど幸せとさえいえる一日がすぎ去ったのだ”と。
 ここ最近日々の生活に疲れ、若干の生き辛さを感じていた自分が恥ずかしくなった。と同時に、生きるパワー(というと何だかオーバーだけど)をもらった。この先、更にどんなに辛いことがあってもシェーホフの一日を思い出し、乗り越えていける気がする。

 「修理さま 雪は」 中村彰彦 中公文庫

 会津落城にまつわる七つの悲話を丹念に掘り起こし、美文に昇華した連作短編集。
 戊辰戦争における会津藩の悲劇を描いたドラマといえば、20年以上も前に日本テレビで年末時代劇スペシャル第2弾として2夜連続で放送された「白虎隊」を未だに思い出す。この作品で語られている面々のほとんどはそのドラマに登場した方達だったので、ついつい「白虎隊」で演じた役者さんを思い浮かべながら読んでしまった(^^ゞ
 この物語の主人公たちはというと
・会津武士・神保修理の妻としての矜持を胸に、自ら命を絶った神保雪子(国広富之、池上季実子)
・若松郊外涙橋で果敢に敵兵と白刃を交わし戦死した中野竹子(岩崎良美)
・会津藩最後の首席家老ながら、その狷介矯激の気性ゆえに貧しくも孤独な晩年を送った西郷頼母(里見浩太朗)
・砲術に優れ会津籠城戦に勇躍、のち新島襄の妻となった山本八重(田中好子)
…などなど。あ、()は「白虎隊」で演じていた役者さんであーる。
 1868年(慶応4年)8月23日…新政府軍に若松城下への侵入を許した会津藩は、この日から鶴ヶ城への籠城を開始し、城下には同時多発的に種々の悲劇が起こった。16、17歳の会津藩上士の子弟からなる白虎二番士中隊の飯盛山での悲劇もこの日に起こった出来事だ。旧暦と新暦の違いはあるが、101年後のこの日に生を受けた私としては会津の悲劇がまるで我が身に起こったことのように感じてしまうのであった(すっげー思い込みびっくり)。
 しっかし、唯一残念なのはこのタイトル。内容が優れているだけに、このなよなよとしたタイトルはどうかと思うが…。

book5.gif 1月に読んだ本 line2.gif

 歴史・時代小説
 ・悪党芭蕉 (嵐山光三郎) 新潮文庫 2008
 ・異域の人・幽鬼 井上靖歴史小説集 (井上 靖) 講談社文芸文庫 2004 
 ・黒頭巾旋風録 (佐々木 譲) 新潮文庫 2005 
 ・軍師 竹中半兵衛 (笹沢左保) 角川文庫 1988
 ・颯爽登場!第一話 時代小説ヒーロー初見参 (新潮社編) 新潮文庫 2004 
 ・真田手毬唄 (米村圭伍) 新潮文庫 2008
 ・修理さま 雪は (中村彰彦) 中公文庫 2005 
 ・天下の落胤 人間の剣 江戸編(三) (森村誠一) 中公文庫 2004

 歴史・時代モノ以外の小説
 ・賞の柩 (帚木蓬生) 新潮文庫 1996 
 ・中空 (鳥飼否宇) 角川文庫 2004
 ・糞尿譚・河童曼陀羅(抄) (火野葦平) 講談社文芸文庫 2007 

 随筆、エッセイ
 ・大衆食堂の人々 (呉 智英) 双葉文庫 1996
 ・間抜けの実在に関する文献 (内田百聞) 福武文庫 1990

 海外モノ
 ・イワン・デニーソヴィチの一日 (ソルジェニーツィン, 木村 浩 訳) 新潮文庫 1963
 ・昨日 (アゴタ・クリストフ, 堀 茂樹 訳) ハヤカワepi文庫 2006
 ・サキ短編集 (サキ, 中村能三 訳) 新潮文庫 1958  
  
 新書
 ・世襲議員のからくり (上杉 隆) 文春新書 2009 
 ・近くて遠い中国語 日本人のカンちがい (阿辻哲次) 中公新書 2007 
 ・なぜ日本人は賽銭を投げるのか 民族信仰を読み解く (新谷尚紀) 文春新書 2003 
 ・身もフタもない日本文学史 (清水義範) PHP新書 2009 





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Last updated  2010.02.01 07:31:49
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