蜜蜂越冬中の貯蜜消費量を推定する
Re: 冬囲い - die_Biene_東松山 より 2013年12月10日 巣箱の板厚について 巣箱の板厚は薄すぎると剛性が低くなり組み立てが難しくなります。厚いほうが断熱効果はあるのですが、重くなります。また材料費も高くなります。 断熱効果については、単位温度差と単位面積あたりの熱貫流量 U の式が参考になります。U=1/(Ro+Rw+Ri) [W/(平米・°K)]ここでRo=0.04 [平米・°K/W] : 外部壁面の熱伝達抵抗Ri=0.11 [平米・°K/W] : 内部壁面の熱伝達抵抗Rw=t/α : 壁の熱伝導抵抗t [m] : 板厚α [W/(平米 °K)] : 熱伝導率 杉などの巣箱材料の熱伝導率は α=0.12 [W/(平米・°K)] 板厚 10mm=0.01m を代入すると R=0.233 [平米・°K/W] 従って U=4.29 [W/(平米・°K)] 板厚 20mm=0.02m を代入すると R=0.32 [平米・°K/W] 従って U=3.13 [W/(平米・°K)] 板厚 50mm=0.05m を代入すると R=0.57 [平米・°K/W] 従って U=1.75 [W/(平米・°K)] このように巣箱の板厚が厚くなると熱貫流量が小さくなる(すなわち断熱効果がある)のですが、実際には発泡ポリスチレンのように軽くて熱伝導率の低い材料で覆うと安価かつ軽量な冬囲いをすることができます。ちなみに発泡ポリスチレンの熱伝導率は杉の約1/3ですから、20mmの板厚の巣箱を10mmの発泡ポリスチレンで覆うと50mmの板厚の巣箱と同等の断熱効果となります。 越冬中の貯蜜消費量を推定する - die_Biene_東松山より 2013年12月23日 蜂球の温度の情報ありがとうございました。おかげで巣箱内の空気温度と蜂球内の発熱量を計算することができました。 巣箱の中で越冬中の蜂球の直径を200mm、表面温度を35℃、巣箱内の空気温度をt℃、 外気温を5℃とする。 蜂球から巣箱内の空気への熱伝達量は Qs = 0.126×(35-t)/(0.11+0.09) [W] ・・・(1)ここで 蜂球の表面積 0.126 [平米] 蜂球の表面温度 35 [℃]、巣箱内の空気温度 t [℃] 蜂球の表面熱伝達抵抗 0.11 [平米・℃/W] 巣箱内の空気の熱伝達抵抗 0.09 [平米・℃/W]板厚20mm、表面積0.8平米の巣箱から外気への熱伝達量は Qw = 0.80×(t-5)/(0.11+0.17+0.04 )[W] ・・・(2)ここで 巣箱の表面積 0.80 [平米] 巣箱内の空気温度 t [℃]、外気の温度 5 [℃]、 巣箱内面の表面熱伝達抵抗 0.11 [平米・℃/W] 巣箱の板の熱伝導抵抗 0.17 [平米・℃/W] 巣箱外面の熱伝達抵抗 0.04 [平米・℃/W]定常状態ではQsとQwは等しいので(1)と(2)を t について解くと t=11.0 [℃]となる。これを(1)と(2)に代入するとQs=Qw=15.0 [W]となる。 一日当たりの蜂球の発熱量は Q=15.0[W]×86,400[s/日]=1,296[kJ/日]=324[kcal/日]となる。 蜂蜜の発熱量は7.0[kcal/g]だから、1日当たりの蜂蜜の消費量は46.3[g/日]となる。 越冬期間を100日と仮定すれば越冬期間中の蜂蜜の消費量は4.63[kg]である。これはセイヨウミツバチの越冬に必要な貯蜜とされる貯蜜圏だけの巣枠2枚の蜜の量4.4[kg]と ほぼ一致する。 板厚50mmの巣箱について上記と同様に計算するとt=14.3[℃]、Qs=Qw=13.0[W]となる。 巣箱の板厚と熱伝達抵抗の関係については2013/12/03 の「冬囲い」を参照願います。また蜂球の大きさが異なる場合には(1)式で蜂球の表面積を変えればよい。外気の温度に ついては(2)式の外気温度を変えればよい。 にほんブログ村↑↑↑ブログランキングに参加しています応援よろしくお願いします