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テーマ:たわごと(26605)
カテゴリ:decade(s)企画
「対山形駅」の奥羽本線・山形新幹線編に続いては、「対新潟駅」。今回は、磐越西線について、考察を進めたいと思います。
この路線を考えるとき、返す返すも残念だなと思うのが、1984年に廃止された国鉄日中線の存在です。喜多方駅から旧熱塩加納村の熱塩駅までの盲腸線として運行されていましたが、元々は大峠を越えて米沢市まで通じる予定でした。従って、仮に全線開通したとなれば、喜多方駅から福島駅までのルートが複数できたことになるし、奥羽本線・山形新幹線編で述べたように米沢駅は福島駅よりも山形駅の方が利便性が高いから、ひょっとしたら旧熱塩加納村内の駅に福島駅より山形駅の方が行きやすい駅が出現していた可能性があります。もっとも、この路線が廃止されて以降も大峠を越えて運行される定期の路線バスは皆無です(ロンドンタクシーだったらありますが)から、「対山形駅」を調査する必要もまた現時点ではないと言っていいでしょう。 また、この路線の沿線から福島駅方面へのルートを考えた場合、パターンが多岐にわたるというのも、特徴の一つに挙げられるでしょう。というか、沿線で福島駅から乗換なしで行くことができる地域は、高速バスが直通する会津若松市のみです。なお、パターンを列挙すると、 ・磐越西線⇒郡山駅⇒東北本線⇒福島駅 ・磐越西線⇒郡山駅⇒東北新幹線⇒福島駅 ・磐越西線⇒郡山駅⇒高速バス⇒福島駅 ・磐越西線⇒会津若松駅⇒高速バス⇒福島駅 ・磐越西線⇒会津若松駅⇒高速バス⇒郡山駅⇒東北本線⇒福島駅 ・磐越西線⇒会津若松駅⇒高速バス⇒郡山駅⇒東北新幹線⇒福島駅 ・磐越西線⇒会津若松駅⇒高速バス⇒郡山駅⇒高速バス⇒福島駅 これだけあるのです。 とりあえず、磐越西線経由における福島、新潟両駅の中間点を、探っていきたいと思います。 全区間普通列車利用を前提とした場合、距離上の中間点は、堂島駅~笈川駅間となります。笈川駅と福島、新潟両駅間の運賃は、いずれも1,890円。堂島駅だと新潟駅への運賃が、笈川駅の一駅新潟駅寄りの塩川駅だと福島駅への運賃が、いずれも2,210円に跳ね上がります。塩川駅から更に三駅新潟駅寄りにある喜多方駅でも、新潟駅が1,890円、福島駅が2,210円となります。 ただし、これは正規運賃の場合で、福島、新潟両駅方面とも通年販売の割引切符が販売されているため、実質的な運賃体系はかなり崩れます。福島駅方面だと2枚綴りの回数券・Wきっぷが喜多方駅・会津若松駅~郡山駅間1,800円、郡山駅~福島駅間1,400円で販売されているため、往復利用を前提とした場合、喜多方駅~福島駅間の片道運賃は1,600円まで一気にダウンします。 一方、新潟駅方面でもえちごワンデーパスという1枚1,500円でフリーエリア内乗り放題という切符が販売されており、磐越西線では福島県境に近い日出谷駅までがフリーエリアです。これもまた往復利用を前提とすると日出谷駅~新潟駅間が片道750円で利用できることになるため、喜多方駅~新潟駅間の片道運賃は、この750円に喜多方駅~日出谷駅間の片道運賃820円を加算した1,570円まで下がります。 上記の運賃事情、また喜多方駅がJR東日本の仙台、新潟両支社の境界駅となっていることも考えると、どうやら喜多方駅が「福島圏」の境界でもあると考えられそうです。そこで、普通列車及び快速列車のみを利用を利用した場合のデータを示すと、 【対福島駅】 運行本数 上下24本 平均所要時間 2時間56分 片道運賃 1,600円 【対新潟駅】 運行本数 上下14本 平均所要時間 2時間39分 片道運賃 1,570円 となります。喜多方駅そのものの列車本数を見ると会津若松駅方面に上下30本、野沢駅方面に上下22本の列車が走っているのですが、福島駅や新潟駅を朝一番に発っても乗車不可能な早朝の列車や逆にその日のうちに福島駅や新潟駅まで辿り着くことが不可能な深夜の列車が存在することや、新潟駅方面だと野沢駅止まりの区間列車も走っているといった要因に伴い、当日中に行き来できるパターンは上記の本数しかありません。 このデータを指標化してみると、 【対福島駅】 運行本数 +26.3ポイント 平均所要時間 - 5.1ポイント 片道運賃 - 0.9ポイント 計 +20.3ポイント 【対新潟駅】 運行本数 -26.3ポイント 平均所要時間 + 5.1ポイント 片道運賃 + 0.9ポイント 計 -20.3ポイント となり、運行本数の多さが幸いして喜多方駅は「福島圏」ということになります。白石、丸森、米沢各駅の借りを、喜多方駅で返した形になります。 もっとも、喜多方駅から一駅新潟駅寄りの山都駅になると、 【対福島駅】 運行本数 上下17本 平均所要時間 3時間07分 片道運賃 1,790円 【対新潟駅】 運行本数 上下14本 平均所要時間 2時間28分 片道運賃 1,400円 というデータとなるため、指標もまた、 【対福島駅】 運行本数 + 9.7ポイント 平均所要時間 -11.6ポイント 片道運賃 -12.2ポイント 計 -14.1ポイント 【対新潟駅】 運行本数 - 9.7ポイント 平均所要時間 +11.6ポイント 片道運賃 +12.2ポイント 計 +14.1ポイント と、新潟駅優勢の結果が出ます。 福島駅方面を在来線利用ではなく郡山駅から新幹線利用に変更したとしても、 【対福島駅】 運行本数 上下18本 平均所要時間 2時間25分 片道運賃 2,630円(自由席特急券代840円を含む) 【対新潟駅】 運行本数 上下14本 平均所要時間 2時間28分 片道運賃 1,400円 の比較となり、指標は、 【対福島駅】 運行本数 +12.5ポイント 平均所要時間 + 1.0ポイント 片道運賃 -30.5ポイント 計 -17.0ポイント 【対新潟駅】 運行本数 -12.5ポイント 平均所要時間 - 1.0ポイント 片道運賃 +30.5ポイント 計 +17.0ポイント と、運行本数、平均所要時間で上回りながら片道運賃の高さが災いして、大惨敗を喫してしまいます。 なお、高速バス利用に関しては、運賃の割引率がJR東日本ほどではない(会津若松~福島線の場合、片道運賃1,600円のところ往復利用前提で1,400円に割り引かれる程度)ので、山都駅を「新潟圏」から奪還するのは厳しいと考えていいでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.02.02 00:18:56
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