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テーマ:たわごと(26605)
カテゴリ:decade(s)企画
「福島圏」について一通り述べたところで、今度は「郡山圏」について考察を進めていきましょう。
トップバッターは「福島圏」の時と同じく、東北本線下りから。この路線の沿線は福島駅よりも郡山駅の方が遠くなるだけに、福島県内にどれだけ「仙台圏」が浸食してくるか? あるいは「郡山圏」がどれだけ食い止めるのか? という点が、クローズアップされるかと思います。 福島駅と郡山駅とは46.1キロ離れているから、「福島圏」の境界から「46.1÷2≒23キロ」移動するかどうかが、「郡山圏」の有効性の判断基準になるでしょうか。この路線で言うと「福島圏」の境界は越河駅だったので、ここより23キロ南が果たしてどちらに転ぶか… なのですが、結論から言うと、越河駅の23キロ南は福島駅~東福島駅間であり、少なくとも福島駅に関しては、片道運賃も列車の運行本数も郡山駅優勢なので、「仙台圏」に組み入れられることはあり得ません。 ところが、福島駅から郡山、仙台両駅への片道運賃を確認すると、通常運賃では郡山駅820円に対し仙台駅1,280円と大差をつけているのに関わらず、Wきっぷを利用した場合往復で郡山駅1,400円に対し仙台駅1,500円だから片道に換算すると郡山駅700円に対し仙台駅750円と急接近。仙台駅への割引運賃が郡山駅への通常運賃より安いなんて、ちょっとあり得ない話だと思います。つまりそれだけ、「郡山圏」か「仙台圏」かに関わらず、福島駅利用者の関心度は「仙台駅>郡山駅」ということになるのかもしれません。 この運賃が、「郡山圏」の判定に、微妙な影を落とすことになります。Wきっぷを利用した場合の東福島駅から郡山、仙台両駅への運賃をみると、郡山駅が「福島駅までの片道運賃180円+福島駅~郡山駅間のWきっぷ700円=880円」になるのに対し、仙台駅はWきっぷ一本の750円と、仙台駅の方が郡山駅よりも安くなります。なお、福島駅~仙台駅間のWきっぷは、みどりの窓口が設置されていない東福島、伊達、桑折の各駅の自動券売機で普通に買えるので、その点でも沿線と仙台駅との距離感を縮める効果を果たしています。 と、いきなり運賃の話から入ってしまいましたが、所要時間面から見ると、郡山駅と仙台駅との中間点は桑折駅(郡山駅1時間13分、仙台駅1時間08分)と少しばかり「郡山圏」が押し返します。ただしそれでも、一駅仙台駅寄りの藤田駅付近にある両駅の距離上の中間点よりは「仙台圏」が食い込んだ形になります。運転上の拠点でもある福島駅では大半の普通列車が起終点、あるいはそうでなくても10分前後の停車となることが多く、その分時間のロスが生じる結果となってしまいます。なお、福島駅から東北新幹線に乗り換えれば桑折駅どころか福島県内北端の貝田駅でも郡山駅の方が仙台駅より所要時間が短く(郡山駅53分、仙台駅1時間01分)なりますが、その分特急料金がかさむので、利便性の向上にはダイレクトに繋がりません。 そんなこんなで結局、「仙台圏」は東福島駅と桑折駅との中間にある伊達駅まで拡大することになります。以下、Wきっぷ+全区間普通列車利用の場合のデータを示すと、 【対郡山駅】 運行本数 上下39本(うち快速上下6本) 平均所要時間 1時間08分 片道運賃 890円(伊達駅~福島駅間190円、Wきっぷ700円) 【対仙台駅】 運行本数 上下36本(うち快速上下6本) 平均所要時間 1時間12分 片道運賃 750円(全額Wきっぷ) となり、指標は、 【対郡山駅】 運行本数 + 4.0イント 平均所要時間 + 2.9ポイント 片道運賃 - 8.5ポイント 計 - 1.6ポイント 【対仙台駅】 運行本数 - 4.0ポイント 平均所要時間 - 2.9ポイント 片道運賃 + 8.5ポイント 計 + 1.6ポイント と、「Wきっぷ効果」で仙台駅優勢の結果となります。 念のため、福島駅~郡山駅間で東北新幹線を利用したケースのデータを示すと、 【対郡山駅】 運行本数 上下41本(うち快速上下6本) 平均所要時間 40分 片道運賃 1,730円(伊達駅~福島駅間190円、Wきっぷ700円、自由席特急料金840円) 【対仙台駅】 運行本数 上下36本(うち快速上下6本) 平均所要時間 1時間12分 片道運賃 750円(全額Wきっぷ) となり、指標は、 【対郡山駅】 運行本数 + 6.5ポイント 平均所要時間 +28.6ポイント 片道運賃 -39.5ポイント 計 - 4.4ポイント 【対仙台駅】 運行本数 - 6.5ポイント 平均所要時間 -28.6ポイント 片道運賃 +39.5ポイント 計 + 4.4ポイント と、項目によって乱高下を見せますが、結局仙台駅優勢の結果となります。 伊達駅は対「福島圏」において「仙台圏」の南限であった白石駅から24.9キロの地点に位置しているので、「仙台圏」サイドから見ると、想定以上のエリア拡大と言っていいかもしれません。 最後に、「福島圏」との収支計算を。 まず、宮城県内で獲得していた白石市南部および七ヶ宿町全域(人口約9,000人)は、すべて「仙台圏」に回ります。それはまだいいのですが、「仙台圏」は福島県内にも食い込み、国見町および桑折町の全域、また伊達市のうち旧伊達町の阿武隈川以西と伊達駅のすぐ西側の福島市飯坂町東湯野、人口31,000人ほどが入ってしまう結果となります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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