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テーマ:たわごと(25914)
カテゴリ:decade(s)企画
前回の磐越西線に引き続き「新潟圏」との綱引きが展開される只見線について、今回は考察していきたいと思います。なお、本稿で使用しているデータは、昨年7月に発生した新潟・福島豪雨以前のものです。ご了承願います。
只見線における「福島圏」と「新潟圏」との境界は、会津若松方面への区間列車が発着し同線の運転上の枢要となっている会津川口駅でした。そこから23キロ前後新潟駅寄りに行った地点が、「郡山圏」と「新潟圏」との境界になるものと推察されます。 そこで、該当する駅を調べてみると、会津川口駅から23.1キロ新潟駅寄りに会津蒲生駅があることがわかります。距離的にも郡山駅から148.5キロ、新潟駅から148.0キロとほぼ中間に位置しますが、いずれに行くにせよ150キロ近くあります。会津蒲生駅はは只見町内に所在しますが、町の中心にある只見駅から一駅郡山駅寄りの位置にあります。冬季運休ではありますが只見駅と小出駅とを結ぶ区間列車も走っていることも考えると、「郡山圏」との対比においても、只見駅は「新潟圏」に入ることが予想されます。只見駅周辺は252号線、289号線の両国道が交わり只見町の交通の要衝でもあるので、この時点で只見町の大部分もまた「新潟圏」ということになるかと思われます。 話を会津蒲生駅に戻すと、正規運賃で全区間普通列車を利用したという前提で郡山、新潟両駅方面へのデータを示すと、以下の通りになります。 【対郡山駅】 運行本数 上下5本 平均所要時間 4時間16分 片道運賃 2,520円 【対新潟駅】 運行本数 上下5本 平均所要時間 3時間55分 片道運賃 2,520円 なんと、運行本数と片道運賃が全く同じです。従って指標は、 【対郡山駅】 運行本数 ± 0.0ポイント 平均所要時間 - 4.3ポイント 片道運賃 ± 0.0ポイント 計 - 4.3ポイント 【対新潟駅】 運行本数 ± 0.0ポイント 平均所要時間 + 4.3ポイント 片道運賃 ± 0.0ポイント 計 + 4.3ポイント と、平均所要時間の差がダイレクトに反映され、新潟駅優勢の結果となります。なお、会津蒲生駅から一駅郡山駅寄りの会津塩沢駅においても、運行本数と片道運賃が同額で平均所要時間がわずかに新潟駅の方が短いため、その分だけ新潟駅優勢の結果となります。 また、郡山駅~会津若松駅間のWきっぷを利用した場合、会津塩沢駅に関しては片道運賃が2,350円まで下げることができるので郡山駅優勢になりますが、会津蒲生駅はWきっぷ900円+会津若松駅~会津蒲生駅間1,620円=2,520円と片道運賃に変化がみられないため、新潟駅優勢のまま変わりません。 ちなみに、新潟駅~長岡駅間で上越新幹線を利用したケースや郡山駅~会津若松駅間および新潟駅~長岡駅間で高速バスを利用したケースについても試算してみましたが、いずれも普通列車利用に比べて利便性が良くなく、また揃って会津塩沢駅~会津蒲生駅間が「郡山圏」と「新潟圏」との境界になるという結果になりました。 以上のデータから、「郡山圏」の限界は会津塩沢駅であり、会津蒲生駅以西は「新潟圏」と考えていいかと思います。なお、会津塩沢駅は只見町の東端に位置し、塩沢、十島、寄岩の3大字が駅勢圏に入ります。人口はちょっとわかりませんでしたが、恐らく500人未満だと思います。「福島圏」との対比で言うと、金山町西部もあわせて1,000人前後の人口を「新潟圏」から奪還することになります。 なお、只見町の全人口は約4,800人なので、残りの4,000人強は「新潟圏」ということになるでしょうか。福島駅から郡山駅に基点を変更してもなお磐越西線沿線の西会津町の大半(人口約7,000人)とあわせて約11,000人の住む福島県内の地域が「新潟圏」になってしまう点に、福島県の「広さ」を感じてしまいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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