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テーマ:たわごと(25916)
カテゴリ:decade(s)企画
さて、前回「複雑怪奇」と表現したいわき駅以北の常磐線沿線について、説明していきたいと思います。なお、列車の運行本数のデータは、東日本大震災以前のものを使用しております。ご了承ください。
結論から申し上げると、この地域を複雑怪奇たらしめているのは、ズバリ「片道運賃」にあります。というのも、水戸駅方面へは常磐線普通列車利用、郡山駅方面へは高速バス(運賃は往復割引)を前提として沿線の各駅のデータを調べてみると、運行本数では水戸駅がやや優勢、所要時間は両者ほぼ互角となり、結局片道運賃が帰趨を握る形になるからです。 なお、いわき駅への片道運賃を比較すると、水戸駅間は1,620円、郡山駅は1,400円と、若干ではありますが、郡山駅優勢となります。ところが、相手がいわき駅以北の常磐線ということになると、水戸駅方面はJR東日本のみの運賃体系でOKなのに対し、郡山駅方面はいわき駅までの高速バス運賃にいわき駅以北の常磐線の運賃を加算する形になってしまいます。 いわき駅の一駅北にある草野駅を例に挙げると、水戸駅から99.5キロ離れているので同駅からの運賃はいわき駅と同じ1,620円なのですが、郡山駅からだといわき駅までの運賃1,400円にいわき駅~草野駅間の運賃180円をプラスして1,580円ということになってしまうのです。郡山駅がいわき駅でつけていた運賃差額220円が、一気に40円まで縮まることになります。 従って、草野駅のデータは、 【対郡山駅】 運行本数 上下29本 平均所要時間 1時間51分 片道運賃 1,580円 【対水戸駅】 運行本数 上下33本 平均所要時間 1時間53分 片道運賃 1,620円 となり、指標は、 【対郡山駅】 運行本数 - 6.5ポイント 平均所要時間 + 0.9ポイント 片道運賃 + 1.3ポイント 計 - 4.3ポイント 【対水戸駅】 運行本数 + 6.5ポイント 平均所要時間 - 0.9ポイント 片道運賃 - 1.3ポイント 計 + 4.3ポイント と、水戸駅優勢ということになります。 ところが、更に一駅北側の四ツ倉駅になると、水戸駅から103.9キロと区切りの100キロを超えてしまうため、片道運賃が1,890円と一気にアップしてしまいます。ところが郡山駅からの片道運賃は、いわき駅までの運賃1,400円にいわき駅~四ツ倉駅間の運賃190円をプラスして1,590円となるため、運賃差額が300円と再び広がる結果となります。なお、運行本数や平均所要時間はいわき駅までは同一ルートなので、水戸駅と郡山駅との比較において大きな差異は生じようがありません。あくまで片道運賃だけに変動が起こり得るのです。 従って、四ツ倉駅におけるデータは、 【対郡山駅】 運行本数 上下28本 平均所要時間 1時間56分 片道運賃 1,590円 【対水戸駅】 運行本数 上下32本 平均所要時間 1時間58分 片道運賃 1,890円 となり、指標は、 【対郡山駅】 運行本数 - 6.7ポイント 平均所要時間 + 0.9ポイント 片道運賃 + 8.6ポイント 計 + 2.8ポイント 【対水戸駅】 運行本数 + 6.7ポイント 平均所要時間 - 0.9ポイント 片道運賃 - 8.6ポイント 計 - 2.8ポイント と、今度は郡山駅優勢の結果となります。 こんな具合に久ノ浜、末続… と各駅について調べてみました。紙幅の都合で指標の合計値だけ記しますが、下記のような結果となりました。 久ノ浜駅 【対郡山駅】+1.5ポイント 【対水戸駅】-1.5ポイント 末続駅 【対郡山駅】-1.0ポイント 【対水戸駅】+1.0ポイント 広野駅 【対郡山駅】-3.4ポイント 【対水戸駅】+3.4ポイント 木戸駅 【対郡山駅】+2.3ポイント 【対水戸駅】-2.3ポイント 水戸駅からの片道運賃は、四ツ倉駅の手前で100キロを超えてから120キロに至るまでアップしませんので、水戸駅から117.1キロに位置する広野駅までは1,890円のままです。これに対し、郡山駅からの片道運賃はあくまでいわき駅が基点となる近距離運賃なので、久ノ浜駅で230円、末続駅で320円、広野駅で400円、木戸駅で480円… とほぼ各駅ごとにジワジワと上昇していくことになり、せっかく四ツ倉、久ノ浜の両駅でアドバンテージを作りながら末続駅でそれを返上するという形になります。そして、水戸駅からの距離が120キロを超え片道運賃が2,210円にアップした木戸駅で再び息を吹き返すという次第。 従って、いわき駅以北における常磐線沿線の「郡山圏」と「水戸圏」は、まだら模様の様相を呈することになります。 まず、草野駅周辺(旧平市東部)は、「水戸圏」となります。この時点で、前回の考察で「郡山圏」に分類した夏井川河口の旧夏井村は、周囲を「水戸圏」に取り囲まれた飛び地ということになります。 四ツ倉駅および久ノ浜駅周辺(四倉町、久之浜町、大久町)は、「郡山圏」となります。公共交通機関上では飛び地的存在ですが、「郡山圏」に分類した磐越東線の小川郷駅周辺(小川町)と隣接し主要地方道小野四倉線で繋がってもいるので、地図上では飛び地にはなりません。 ただし、久之浜町でもその北端、末続駅周辺は、「水戸圏」で、その北に隣接する広野町もまた「水戸圏」ということになります。広野町の北に位置する楢葉町南部(旧木戸村)が「郡山圏」になるため、この地域は旧夏井村とは逆に、周囲を「郡山圏」で囲まれた「水戸圏」の飛び地ということになります。 ところで、「福島圏」の考察において、楢葉町の北部に位置する竜田駅は「水戸圏」ではなく「仙台圏」に包括されるということを記しました。一駅南の木戸駅において「郡山圏」>「水戸圏」という結果が出たのでひょっとしたら竜田駅も「郡山圏」に加えることが可能かもしれないと思いデータを取ってみたところ、 【対郡山駅】 運行本数 上下27本 平均所要時間 2時間20分 片道運賃 1,970円 【対仙台駅】 運行本数 上下29本 平均所要時間 2時間22分 片道運賃 1,890円 と、すべてにおいて互角のデータとなり、指標は、 【対郡山駅】 運行本数 - 3.6ポイント 平均所要時間 + 0.7ポイント 片道運賃 - 2.1ポイント 計 - 5.0ポイント 【対水戸駅】 運行本数 + 3.6ポイント 平均所要時間 - 0.7ポイント 片道運賃 + 2.1ポイント 計 + 5.0ポイント と、若干仙台駅優勢の結果となります。 楢葉町から双葉郡北部にかけては、距離的には郡山駅に徐々に近づいているはずなのに、郡山駅とこの地域とを結ぶ公共交通機関が存在しないため、「仙台圏」の攻勢を一方的に受ける結果となります。 また、紙幅の都合で詳細は省きますが、阿武隈高地の村々についても調べてみたところ、田村市へのルートがある葛尾村と二本松市へのルートがある浪江町津島については「郡山圏」に留まるものの、福島市南部の松川駅へのルートがあるものの中継地となる川俣町でのアクセスがあまり良くない飯舘村や福島駅よりも郡山駅の距離の方が遠くなる相馬市山上、玉野の両地区については「仙台圏」に入ってしまう模様です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.02.26 14:08:45
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