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カテゴリ:地理
13年度から高校で本格実施される新しい学習指導要領。
22日に文部科学省が発表した改訂案は英語教育への力点の置き方が注目されたが、他にも様々な特徴が見て取れる。 地理関連についてみていると。。。 「未履修問題」が06年に発覚し、教育のあり方が問われた世界史。 今回の学習指導要領改訂案はその世界史を必修科目として維持する一方、日本史、世界史、地理の三科目それぞれについて相互に関連付けて教えるよう明記。 世界史は特に、地理や日本史にからむ内容を充実させるよう求めた。 「敷居の高さ」を取り払おうとする狙いがある。 東京都千代田区の大妻高校で日本史を担当する寺尾隆雄教諭(54)は、幕末のペリー来航を教える際、米国西海岸の地図を生徒に見せる。 日本に開国を迫った背景には、鯨の油やひげを得るための捕鯨船の補給地を求めていた事情がある。 生徒に教えるには、ゴールドラッシュなど当時の米国の情勢、風俗の説明が欠かせないという。 明治新政府の指導者、大久保利通が暗殺された「紀尾井坂の変」。 現場は同高に近く、寺尾教諭は生徒に地図を示しながら、江戸から現代に至る地域の変遷を取り上げて興味をわかせる。 「教える上で、歴史という時間軸と地理という空間軸は両方とも欠かせない。生徒も地図を見るとイメージがわき、しっかりと覚える」。 次の指導要領を具現化したような教え方だ。今後、同様の取り組みが世界史などでも求められることになる。 08年度のセンター試験の世界史の受験者(AとBの合計)は約9万6千人。 日本史(同)の約14万8千人、地理(同)の約11万3千人を大きく下回る。 「ならば、最初から生徒みんなに教えることはない」と、指導要領で必修とされているにもかかわらず、高校側がルール無視で世界史を外したのが「未履修」問題だった。 世界史をめぐる状況は複雑だ。 大学入試は知識偏重に傾いており、関東地方の公立高校の世界史教員は「入試を突破するために、進学校ほど詰め込み型の授業をせざるを得ない」とこぼす。 そんな中で、指導要領改訂案がうたうように、日本史や地理とていねいに「関連づけ」しながら生き生きした授業ができるのか、疑問は残る。 世界史の「不人気」は、中学の歴史教育が日本史中心になっているため生徒の目が向きにくくなっているという背景もある。 教員養成のあり方もからみ、高校の領域だけで解決できない問題は多い。 未履修問題の発覚後、各科目の研究者らによって発足した日本学術会議「高校地理歴史科教育に関する分科会」。 地理と歴史双方の視点をいかに「融合」させるかという立場で議論を重ねてきた。 委員長を務める油井大三郎・東京女子大教授は改訂案について、「長期的には、新たな科目を設けるなどの対応をしないと根本的な解決にならない」と話す。 分科会では、日本史と世界史を統合した「歴史基礎」とそれに対応する「地理基礎」という科目を新設して必修にする案なども出ており、今後も議論を続けるという。 (asahi.comより) ---------------------- 限られた履修時間をどのように使うかは非常に頭を悩ますことだ。 世界史、日本史、地理それぞれがどうだ、ということでなく、やはり関連付けが大事。 要はバランスこそが求められている。 受験科目としての性格もあるのかも知れないが、物事を考える際の空間や時間の概念を学ぶのが地理や歴史。 これはどちらが欠けても将来に大きな影響を及ぼすことになる。 本来習得すべき事項は決して地名や年号の暗記ではなく、空間や時間を思考の中で活かすこと。 そのための指導要領であれば一番いいのだが。 地図というツールを使うことで歴史は空間的な概念を持ち得る。 そのことを知るだけでも地理を学ぶ価値があると思うのだが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.12.30 03:58:33
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