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カテゴリ:交通
高速道路無料化の社会実験区間になっている広島呉道路(クレアライン)の無料継続が明らかになった9日、地元の反応は明暗が分かれた。
観光客増に期待する呉市は歓迎する一方、フェリーを使う車両の減少に悩む江田島市は、困惑している。 国土交通省によると、広島呉道路の無料区間のうち、呉~天応東の交通量は昨年6月の実験開始後半年間の平均で平日2万5100台、休日2万7700台で、いずれも実験前に比べ倍増した。 市中心部の呉インターチェンジでは渋滞が慢性化している。 呉市観光振興課は「山陽自動車道から高速道路で呉までつながり、便利になった。観光客誘致の面では無料化継続は歓迎したい」という。 ただ、通勤客が多く、滞在型の観光客は増えていないとの指摘もある。 また、呉インターチェンジ付近の渋滞解消のため、市は関係機関と交差点の改良など検討に乗り出した。 打撃が大きいのは江田島市だ。 西能美航路で市営フェリーを休止する一方、高速船を増便する実証運航を昨秋から続ける。 社会実験の影響で広島市~江田島市のフェリー利用車両が月平均で最大1割減ったといい、市企画振興課は「現状では市営フェリーの復活は厳しい。 今後は東能美航路も含め島全体の航路再編を検討せねばならない」と厳しい表情だ。 (asahi.comより) -------------------- 高速道路無料化については是か非かだけで単純に語れない部分もある。 鉄道やフェリーといった競合交通機関にとっては危機的な状況をもたらす可能性があるからだ。 競争原理や企業努力などという言葉ですべてを片付けようとする風潮は賛成できない。 フェリーや鉄道は高齢化社会が進む中で地元にとって貴重な足であり、これを軽視すれば地方の衰退がますます加速する結果を招くことになるからだ。 実際、瀬戸内海では多くのフェリーが廃止されてしまった。 代替バスはあるものの、昨年島に暮らすお年寄りに話を聞いたところ「高速道路上のバス停まで上がるのは辛い。フェリーの方が楽だった」と苦笑いを浮かべた。 出来ることなら、何らかの形で棲み分けがあってもいい。 自治体からの補助という形になるかも知れないが、無駄だから無くせ、という前に地域住民のケアを十分議論する必要を感じる。 もちろん、高速で多くの観光客が島を訪れて地域経済を活性化してくれれば補助の財源にもなるのだろうが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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