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2011.07.05
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カテゴリ:災害・防災
東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の3日前から岩手県や宮城県の各地で約3~5センチ、地盤が東方寄りに動いていたことが、杉戸真太岐阜大学理事らによる国土地理院のGPS連続観測システム(GEONET)データの解析で2日までに分かった。

海溝型巨大地震の発生直前に現れる可能性が高いとされる予兆現象はこれまで、東南海地震(1944年)発生直前の2~3日前に静岡県掛川市で観測された、延長約800メートル区間の測量で鉛直方向に数ミリという変異現象が唯一。
今回も「予兆現象は無かった」との見方が多い中、同大地震工学研究室のホームページで公開され、注目を集めそう。

杉戸理事は「GEONETの志津川基準点(宮城県南三陸町)で地震の数日前から東方に卓越した経度変動がある」との神山眞東北工業大学名誉教授の指摘を受け、今年1月からの東北地方の各基準点の水平、鉛直方向の日別変動量を整理、取りまとめた。
データ解析は、岐阜大学流域圏科学研究センターの久世益充助教が行った。

この結果、本震後の最大水平変位が3~5メートルを超える岩手、宮城両県の基準点16地点で、地震の3日前からいずれも東方への漸増的ずれが観測され、総変位量は約3~5センチだった。
またこれらのすべての地点で鉛直方向にも1センチ程度の沈降がみられた。

杉戸理事は「3月9日に前震に相当するM7.3の地震が発生しており、この影響を見極める必要があるが、今回は同様の漸増的変動が見られる観測点も多く、掛川での観測事例より明確な予兆現象のように思われる。
この程度の漸増的変動のみで、今後いつ起きるという予知ができるとは言えないが、こうした予兆現象の観測が事前に周知されれば海溝型巨大地震に伴う大津波への備えには役立つのでは」と話した。

【GEONET(ジオネット)】全国1240地点に電子基準点を設け、人工衛星を利用して地球上の位置を割り出すGPSを連続観測、地殻変動を即時解析処理し、配信を行う国土地理院の高精度測位システムの総称。兵庫県南部地震(1995年)以降に全国に設置された強震観測網(K―NET)による強震記録の即時配信とともに、防災、気象などさまざまな分野の研究に貢献している。

(岐阜新聞より)
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これを予兆現象ととらえるのかどうかは判断が分かれるところかもしれない。
ただ、変異が見られたことが事実であれば、(3月9日の地震も含めて)何らかの因果関係の可能性を否定せず解析を行う必要はあるだろう。

だからと言って、こうした結果がすぐ予知に結びつくかのような解釈は控えたい。
あくまでも今回の地震そのものの解析として有用であることが第一で、予知云々はひとつのオプションに過ぎない。

地震予知は決して簡単なことではない。
しかし、様々な因子から今回の地震のメカニズムが解明されれば、それは防災上必ず役に立つはずである。

諸外国では予知研究を軽視する傾向があるが、少なくとも研究プロセスがもたらす成果は無駄にならないと信じたい。





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Last updated  2011.07.05 00:52:34
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