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カテゴリ:災害・防災
南海トラフの巨大地震に備えて、徳島県は、津波で1センチ以上浸水すると想定される地域を「津波災害警戒区域」に指定する案を全国で初めて公表しました。
指定は、来年2月の見込みで、指定された市町村などでは避難の仕組み作りを行うことになります。 「津波災害警戒区域」は、津波から住民が避難できる町作りを進めるために国がおととし定めた「津波防災地域づくり法」に基づいて都道府県知事が指定するものです。 指定された市町村では避難のための道路や施設など、住民が迅速に避難するための仕組みを整備する必要があるほか、区域の中にある病院や福祉施設など自力で避難することが困難な人がいる施設では避難の計画作りを行うことになります。 この「津波災害警戒区域」について、25日開かれた徳島県の地震防災対策推進会議で全国で初めて区域の案が公表されました。 それによりますと、国がまとめた南海トラフの巨大地震の想定を基に県が去年10月に公表した津波の浸水想定で、1センチ以上浸水するとされた区域ほぼすべてを「津波災害警戒区域」に指定するとしています。 その結果、対象区域は徳島市の中心部を含む10の市と町の合わせて200平方キロメートルで県の面積のおよそ4.8%となりました。 徳島県は、この区域の案を25日からホームページで公開するなどして住民に周知したうえで、来年の2月下旬に正式に指定することにしています。 徳島県の飯泉知事は、津波災害警戒区域の指定について、「ただ指定するだけでは県民や事業者に不安を与えるだけなので、指定されるとどういうことになるのかやどういう支援策があるのかを理解していただいて、安全・安心を担保できるものにしていきたい」と述べました。 また、浸水の深さ1センチ以上の区域を警戒区域とすることについては、「決して驚かそうというわけではなく、津波が発生する可能性があるという意識を日頃から持ってもらい、実践さながらの訓練が必要だと知ってもらうためこうした想定を出した」と説明しました。 「津波災害警戒区域」は、津波から住民が避難できる町作りを進めるために、国がおととし定めた「津波防災地域づくり法」に基づく区域です。 区域には都道府県が想定した津波を基に指定します。 国土交通省によりますと、指定する範囲に浸水する深さなどの基準はありません。 指定された市町村は、津波避難ビルなど避難施設や高台へ避難する道路の整備を進めたり、ハザードマップを作ったりして、住民が迅速に避難するための仕組みを整備する必要があります。 また、老人ホームや小中学校など自力で避難することが難しい人がいる施設の所有者も避難の計画を作ることが求められます。 一方で、規制緩和の措置も盛り込まれ、建物を造る際、津波から避難する人のための非常用の備蓄倉庫や自家発電を備えれば容積率が特例で緩和されます。 また、民間のビルが避難施設に指定されると、所有者にかかる固定資産税が優遇されます。 国土交通省の担当者は、「民間の施設にも避難の計画を作るよう求めることができるなど津波から住民の命を守るための有効な制度だと考えており、他の自治体でも進むよう説明を尽くしたい」と話しています。 「津波災害警戒区域」が指定されれば全国で初めての事例になります。 国土交通省によりますと、指定を行うためには、都道府県が津波による浸水想定をまとめる必要があり、これまでに南海トラフの巨大地震の被害が想定される西日本を中心に13の府と県が発表しています。 しかし、浸水想定を発表したあとも、まだ区域の指定は行われていません。 これについて、国土交通省は、制度の周知が不十分なことや「津波災害警戒区域」に指定された市町村は避難場所の整備や避難の仕組みを作る必要があるため調整に時間がかかっているとみています。 また、津波の危険性がさらに高い地域は、「津波災害特別警戒区域」に指定することができますが、建物の建築や開発に規制をかけることになることから、都市計画に影響が出る可能性があることも時間がかかる要因とみています。 (NHKより) ------------------------------ 「津波災害警戒区域」は2011年12月に施行された「津波防災地域づくり法」で認められたものだが、現時点で全国でまだ指定がないというあたりに難しさがあることをうかがわせる。 指定により市町村に避難の仕組みを整備する義務が発生する。 国交省は警戒区域を「イエローゾーン」、より浸水危険度が高い区域を「特別警戒区域(オレンジゾーン)」、最も危険な区域を「条例で定められた区域(レッドゾーン)」とする3段階の指定を促しているが、「津波災害特別警戒区域」に指定されると、街づくりの制限が発生する。 徳島県ではすでにホームページで警戒区域を公表している。 これによると徳島県が指定しているのはイエローゾーンのみである。 ただし、浸水想定1cm以上を対象としたことでエリアは広域にわたることになる。 広く浅く(イエローのみ)指定することで、多くの県民へ注意喚起する上では一定の効果はあるだろうが、同時に今後のハード・ソフトの整備にはそれなりの負荷を背負うことになる。 この覚悟が住民に伝わればまずは成功といえるだろうか。 今のところ前例がないので徳島県がひとつのモデルケースになりそうだが、静岡県なども準備を進めているようだ。 津波の場合は避難の時間と場所さえあれば、ある程度助かることができる災害。 指定の効果がどの程度期待できるのか、ひとつの試金石になりそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.11.26 01:31:44
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