ちずらぼのちずらぶ

国土交通省木曽川下流河川事務所（桑名市）は、ゼロメートル地帯が広がる木曽三川の下流域に巨大台風が襲来し、高潮や洪水被害が発生した場合の状況や避難行動をシミュレーションできるハザードマップを作った。ホームページで公開している。

対象は桑名市、木曽岬町、愛知県弥富市、愛西市、岐阜県海津市。群馬大広域首都圏防災研究センターと共同で作製した。河川事務所とセンターはゼロメートル地帯の「犠牲者ゼロ」を目指し、住民の避難の在り方を検討している。

マップでは室戸台風に匹敵する「スーパー伊勢湾台風」の襲来を想定。画面上で自宅や避難所、避難を始める時期などの条件を指定すると、時間の経過とともに避難者や車の動き、浸水の状況が地図に示され、自分が考える避難のタイミングが適切かどうかを知ることができる。

このほか、地域住民の意識調査の結果を反映した要救助者数のシミュレーションや、スーパー伊勢湾台風の説明などを載せている。

担当者は「堤防は整備されているが、災害時はゼロメートル地帯から避難する意識を持ってほしい。自分の命を守るためにハザードマップを活用してほしい」と話している。

（中日新聞より）
------------------------------

木曽川下流河川事務所の当該ウェブサイトはこちら。

群馬大学災害社会工学研究室による「動くハザードマップ」。



同研究室はこれまでも釜石市や尾鷲市で津波を対象とした動くハザードマップを公開していたが、今回はスーパー伊勢湾台風を想定した木曽三川下流域が対象。
ゼロメートル地帯が広がり浸水のリスクが高い地域として知られており、堤防等のハードは整備されているものの、破堤を想定した浸水エリアがを使って利用者が自らの状況を入力してシミュレーションが可能になっているのが大きな特長。



利用者は自宅や避難先（階数も考慮されている）、避難のタイミングや車・徒歩の選択、歩行速度を選択肢てシミュレーションを開始すると徐々に台風が接近、上陸や避難勧告等のイベントも通知され、最終的に避難先にたどり着けるか、被害を受けるかが判定される。
その時点での他の避難者や広報車の位置や風速や潮位、浸水深なども表示されて、風速が強くなると歩けなくなったり、周囲の避難者が要援護になったりとリアリティのあるシミュレーションになっている。





結果から避難行動の成否だけでなく、どこに問題があったのかも学ぶことができるのもいい。
また、上層階の場合外に逃げないという選択肢（垂直避難）もあり、実践的な対応になっている。
ゲーム的な感覚で「参加する」形の次世代ハザードマップとして非常に優れているのではないか。



また、個人としてばかりでなく地域としての対応のアドバイスや想定されるスーパー伊勢湾台風についての解説もあり、総合的な防災学習ソフトとして誰もが利用できる作りになっている。

木曽三川下流エリアが対象になっているわけだが、状況に応じた避難のタイミングや浸水の速度、風への対応など他の地域の人でも学ぶべき点は多いので一度試してみてはいかがだろう。