テーマ:ゴルゴ13(71)
カテゴリ:東郷農機広報部/ゴルゴ13関連
MacOS XとWindowsの両刀遣いになったことで得たメリットの一つに、Windows+Internet Explorerでないと閲覧できないWebサイトのチェックがあるのですが、それで可能になったことの一つがYahoo!コミックで配信されている『ゴルゴ13』原作シリーズの無料Webマガジン『THE ARCHIVE SELECTION OF ゴルゴ13』です。
厳選された原作エピソードを週替わりで無料配信するこのWebマガジン、特段アニメ版と連動しているわけではありませんが、アニメ化された原作もいくつか過去に配信されており、そうと知ってればもっと早くWindows入れたのにと思わなくもない(笑)1週間しか読めないのが難点ではありますが、古本屋で膨大なバックナンバーを探し回る手間が一つ省けるのはファンとしてはありがたいです。 今週はタイミング良く今回のアニメ原作である『インディアン・サマー』が配信されており、早速古本屋を当たる手間を省くことができました(笑) 〔Target.22:インディアン・サマー〕 原作:リイド社SPコミックス第85巻収録(1989年初出) CAST バート・ウォルシュ:若本規夫 マーサ:京田尚子 ハンク:土田大 シンディ:豊口めぐみ テッド・コールマン:黒田崇矢 アメリカ・ネバダ州とユタ州の州境にほど近い、ハイウェイ沿いの荒野に建つ一軒の古びたモーテル。そこは盲目の老女マーサと娘のシンディが営んでいた。二人はカリフォルニアの農園へ出稼ぎに行っている兄のハンクがこの日久々に帰ってくるということで、その時を心待ちにしていたが、マーサはハンクを出稼ぎに行かせたことを後悔してもいた。 そんな朝、そのマーサのモーテルに客としてゴルゴ13が姿を現した。ゴルゴ13は朝食を摂り、モーテルの8号室を借りてしばし休息に就くが・・・ 程なくして、地元の保安官のバートが部下と共にモーテルを訪れ、マーサたちにネバダ州のリノで起きた事件について告げた。昨夜、ネバダ州のカジノで80万ドルが強奪されてガードマン二人が殺害される強盗殺人事件が起き、二人組の犯人はユタ州に逃げ込んでいるらしい。バートの部下はモーテルで居合わせたゴルゴ13の旅行者らしからぬ雰囲気を警戒するが、バートは件の事件はもっと若い白人だからと気にも留めない。 保安官たちが去った後、ピックアップトラックに乗ったハンクがようやくモーテルに帰ってきた。マーサやシンディとの久々の再会を喜び合うハンクだったが、その陰で彼のトラックから降りた不審な男が気配を殺してモーテルの中へと消えていった。ハンクは否定したものの、マーサだけは盲目故にその誰かの気配を敏感に察し、一抹の不安を抱く・・・ ハンクと共にモーテルにやってきたのはテッドという男。その手には拳銃と大量の札束が・・・実は、ハンクとテッドこそが昨夜ネバダ州で起きたカジノ強盗の犯人だった。二人は奪った80万ドルの半分を分け合い、残りをこの計画を立案したボスに渡す予定だったが、ハンクは自分たちが襲ったカジノがネバダのマフィアの縄張りであり、強力な情報網を持つマフィアが自分たちに報復してくるのではないかと気にしていた。 マフィアのことが頭に引っかかってどこか落ち着かないハンクは、モーテルに滞在している先客の東洋人が気になってシンディに尋ねる。そこへ部屋から降りてきたゴルゴ13は、ハンクを気にする様子もなく部屋のカギを返し、車で去っていった。マーサはゴルゴ13の只ならぬ気配をこう評する・・・「あの男はけだものの臭いがする・・・そう、ピューマのような息遣いなんだよ・・・」 部屋で食事を済ませたハンクとテッドは、例の東洋人を気にしつつも出かけようとするが、そこへ突如血相を変えたマーサが飛び込んできた。マーサはハンクがネバダでのカジノ強盗の犯人だと察し、自分の息子を悪事に引き込んだ憎い男を拳銃で殺そうとする。だが、拳銃を抜こうとしたテッドをハンクが止めようとしたとき、マーサの拳銃が火を噴き、ハンクは無残にもその銃弾に斃れてしまった。騒ぎを聞いて部屋に駆け込んだシンディは思わぬ惨劇に青ざめ、盲目の母にハンクは遠くに出て行ったと涙ながらに告げるしかなかった・・・ 夕刻。慌ててモーテルから逃げ出したテッドは草原の小屋でボスと落ち合うが、ボスは警察に素性が割れてしまったテッドをその場で射殺し、一人大金を握って立ち去ろうとする。が、その前にゴルゴ13が立ちはだかる。そのボスの正体は何と保安官のバートだった。ゴルゴ13は襲われたカジノを仕切るネバダ・ファミリーのドン、ウィリー・デカーロから強盗犯の始末を依頼され、事件がハンクとテッドだけの計画ではないと察して二人を泳がせていたのだ。「こんな大仕事をやってのけた奴が、田舎の保安官でガッカリしたかい・・・?」ユタ州で一番と言われる射撃の腕を誇るバートはゴルゴ13に抜き撃ち勝負を挑むが、ゴルゴ13の早撃ちの前に敢えなく眉間を射貫かれて斃れるのだった。 ○○○○○○ タイトルのインディアン・サマー(Indian Summer)とは、晩秋~初冬の合間に訪れる暖かな日を意味する俗語で、日本で言うところの小春日和。正確な語源は諸説あって不明ですが、一説にはネイティブ・アメリカン(アメリカインディアン)が暖かい日に冬支度を始めることからこう呼ばれるようになったとも言われているようで、アメリカの様々な作家や詩人が作品の中でこの言葉を取り上げるようになって一般に広まったとのことです。 そんな穏やかな小春日和の日に、ユタ州の片田舎のとあるモーテルを舞台に繰り広げられるやるせない事件の顛末と、それに静かに関わるゴルゴ13の姿を描く本作。元々ボリュームの多くない短編だけに、保安官にアニメオリジナルの名前が付いているのと一部の台詞回しが変えられている以外は余計な改変も特になく、ほぼ原作そのままのアニメ化でした。 このパターンのエピソードではゴルゴ13は基本的に本筋にはあまり関与しないポジションに置かれ、彼が関わる人々の人間模様に重点が置かれていますが、今回印象的なのはやはりモーテルを営む盲目のマーサ親子を巡る展開。盲目故に聴覚などの他の感覚が研ぎ澄まされているのか、モーテルを訪れる人物が保安官かそうでないかを察し、相手の歩く音でその心理も読むほどの勘の鋭さを持つマーサですが、モーテルを訪れたゴルゴ13の只ならぬ気配に獣のそれを感じ取り、「ピューマのような息遣い」と警戒しつつ評するのが印象的です。 終盤、出稼ぎに行くといいながらカジノ強盗をやらかして帰ってきた息子ハンクの所行を察したマーサは、最愛の息子を悪の道に引き込んだ相方のテッドを殺そうとするも、その思いが仇となって無残にもハンクを死なせてしまうという不条理な結末が物悲しい。ただ、元々の原作がそうなのでしょうがないのですが、マーサがテッドの存在を見抜くのはともかく、何をきっかけにハンクがカジノ強盗だと察したのか作中で描かれていないのはちと残念・・・ さて、ストーリー面ではそれほど見るべき所がない今回でしたが、出演陣は相変わらずムダに豪華です(笑)シンディ役はガンダムSEEDシリーズやBLACK LAGOON、ポケモンアニメ版等で活躍中の豊口めぐみが好演してましたが、それより何より、 ドスの利いた色気のある声で定評の若本規夫が黒幕の保安官バート役でした。いずれ登場するだろうと以前から期待してましたが、個人的にはマフィアのカジノから金を奪った強盗犯を陰で操る親玉役なんてちっさいキャラより、もっとインパクトのあるエピソード&配役で登場してほしかった気もしますね(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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