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くれーじーくえいる ぶろぐ

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2012.12.30
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 今年、日米関係に絡んで日本で大きな議論になったものといえば、アメリカ海兵隊が今年から沖縄で運用を開始したティルトローター式垂直離着陸輸送機、ベル・ボーイングV-22オスプレイですが、防衛省は自衛隊へのV-22の導入を検討するための調査費を来年度予算案に盛り込む方針を固めたようです。

 V-22は1980年代から米軍において開発が始まった垂直離着陸作戦機で、ヘリコプターの垂直離着陸能力とターボプロップ固定翼機の高速性能と航続距離を合わせ持つ航空機として設計されています。20年近い開発期間を経て1994年頃から量産を開始、2005年から米海兵隊向けのMV-22と空軍向けのCV-22の配備が開始されています。
 日本においては沖縄の米海兵隊普天間基地に今年からMV-22の配備が開始され、同基地でボーイング・バートルCH-46Eシーナイトを運用していたHMM-265"Dragons"(海兵第265中型ヘリコプター中隊)がMV-22Bを受領してVMM-265(海兵第265中型垂直離着陸機中隊)に改組されています。同隊は今秋までにMV-22Bへの更新を完了しており、同じく同基地でCH-46Eを運用するHMM-262"Flying Tigers"(海兵第262中型ヘリ中隊)も来年夏にはMV-22Bに機種転換する予定です。
 一方で、垂直離着陸と水平飛行を切り替えるという特異な飛行形態を持つV-22は試作機段階で設計上の問題による二度の墜落事故を起こし、その後も開発費の高騰により一時は開発中止が検討されるなど非常な難産の末に完成した機体でもあり、それ故に運用開始から6年経った現在でも未だに安全性への懸念が取り沙汰されています。沖縄においても普天間基地へのMV-22の配備計画が具体化した頃から一部市民の中で配備反対の声が上がり、議論は未だに続いています。

 自衛隊ではかつて、1991~95年度中期防衛力整備計画でV-22を海上自衛隊のUS-1A救難飛行艇の後継として導入する検討が行われたことがありましたが、この時は上述の試作機墜落事故が起きて量産化のメドが立たなくなったため導入計画は立ち消えとなり、US-1Aの後継は改良型のUS-2となった経緯があります。一方、今回の自衛隊へのV-22導入検討の話はかつての導入計画とは違って防衛省・自衛隊側からの要望ではなく、未だに沖縄で静まらないV-22配備反対の声に対して"安全性への理解を深めるために日本も持つべき"という政府や外務省の意向を受けて前野田政権下で森本敏前防衛大臣が研究着手を指示していた案件です。
 ただ、そもそも自衛隊から導入を望む声が上がっているわけでもなく、陸海空のどこへ配備するのかすら判然としていない現状では自衛隊でのV-22の使い所が今一つ見当たらないのが正直な所です。現状で使える可能性がありそうな用途としては捜索救難、兵員・物資輸送、早期警戒、洋上哨戒といった用途が考えられますが、救難機としては空自はすでにUH-60J改良型の導入を決定しており、海自でUH-60Jの後継として検討に入れる程度でしょう。一方、兵員はともかく物資輸送用としてはV-22はボーイングCH-47チヌークには及ばない性能でしかなく、早期警戒型や哨戒型に至ってはまだメーカー側の構想段階で実機としては影も形もないのが現状です。元々、V-22はヘリや固定翼機よりも効果的な強襲・CSAR(戦闘捜索救難)任務に使える機体を求めた米海兵隊や特殊部隊向けとして開発された性格が強く、現時点ではCSARはともかく敵地強襲的な任務に重きを置いていない自衛隊では島嶼部防衛向けくらいしか使い所がないといえます。また、V-22は他の中・大型ヘリの2〜3倍という高価な機体であり、今の防衛予算の規模では海空ならともかくUH-60JAブラックホークの増備すらままならない陸自では必要な数を揃えるのは難しいでしょう。それこそ、鳴り物入りで60機以上の導入を計画しながら結局13機で調達が止まってしまったAH-64Dの二の舞になりかねません。
 第2次安倍政権が装備や予算面での防衛・安全保障政策の充実を掲げている中なので、V-22導入実現の芽がまったくないとは現時点では言い切れませんが、正直な所、こういう必要上の理由よりも政治的な事情優先でまず導入して後から用途を考えるというパターンは装備品体系の上でも予算事情の上でも好ましいとは言えません。性能だけ見れば確かに自衛隊にもあってよさそうな機体ではありますが、"あればいいなぁorあればいいんじゃないの"という漠然とした導入論と"本当に必要か否か"という冷静な検討はきっちり分けて論じられるべきでしょう。





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Last updated  2012.12.31 10:15:50
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