カテゴリ:生の欲望の発揮
日大野球部に常識では考えられないすごい選手がいる。千葉翔太選手である。
身長157センチ、57キロのとても小柄な選手である。 この選手は今持っている技術に磨きをかけると、プロ野球でも食っていける可能性があるという。 その技術は何球もファールで粘るカット打法だ。 150キロを超えるストレート。切れのある変化球。 それらをカットし続ける技術を身につければ、たしかに相手ピッチャーにとっては意欲とスタミナに問題を生じる。 高校は花巻東高校。日本ハムの大谷翔平選手は1年先輩で、甲子園では一緒にプレーしていた。 準々決勝までの千葉選手の成績は10打数7安打、出塁率は15打席12出塁である。 最速153キロのスピードボールを持つ安楽智大(現楽天)擁する済美高校には、3安打。 準々決勝の鳴門戦では相手エースにカット打法でなんと一人で41球も投げさせた。 バットコントロールには天性のものがある。さらに努力で技術をものにしている。 しかしこれをみた大会本部から「意図的にカット打法を続けた場合はバントとみなす」と注意を受けた。 3バント失敗でアウトにするというのだ。 努力して身に付けた技術なのになんとも非情な裁定だ。 このカット打法に将来性を見出して、惜しみない応援をしているのは元阪神の赤星憲広さんだ。 赤星さんもプロ野球選手の中では小兵だった。170センチ、66キロだった。 赤星さんは守備がよかったのが印象に残っている。 ホームランは打てなかったがコンパクトな打撃には定評があった。 2001年から9年間阪神に在籍し、通算打率2割9分5厘、出塁率3割6分5厘であった。 立派な成績である。 その赤星さん曰く。 「カット打法の技術をプロで身につけている人はいない。 それに磨きをかけてファールで何球も相手投手に投げさせる。 選球眼をよくしていけば、四球で塁に出ることができる。 千葉君は出塁率で勝負できる選手だ。 投手はファールを続けて10球も打たれれば集中力が途切れる。 またむきになって抑えようとするので、平常心が保てなくなる。 そこに活路が見出される。それが結果的にチームに貢献することになる。 たとえアウトになったとしても、それだけでも存在価値は十分ある。 千葉選手を見たいというファンが球場に押し掛けるかもしれない。 ただ今の打撃を見て感じたことがある。もっと強い打球を打つ必要があることだ。 前に飛ぶ打球が弱いとプロでは定位置より前に来て守る。 するといい当たりでも簡単にアウトになる確率が強くなる。 強い打球だと前に来て守れない。足で稼げるヒットも増えてくる」 とかく体が小さい、ホームランが打てない非力な選手はそれだけでプロ入りはダメなように思ってしまう。 こういう方向で自分の能力を見出して、鍛え上げてプロ入りの可能性を探っていくという発想の転換に驚いた。 人間の可能性というのは、どんなところにあるのか分からない。 簡単にあきらめてしまうことはもったいないと感じた。 ぜひ成功した姿を見せてほしいものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.06.03 20:33:15
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