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日本の作家が書いた歴史小説

November 30, 2019
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みなさん、こんばんは。ウィンタースポーツのスケートが始まってますね。
一方で織田信成さんがモラハラを訴えています。

さて、織田信成さんの遠いご先祖、織田信長と深い関係があった豊臣秀吉。
彼の死後あっという間に豊臣政権が滅びてしまいましたが、それはなぜだったのか?
本編はある人物に焦点を当てています。

八本目の槍
今村翔吾
新潮社

​ まるで七本の槍が真ん中の一本を護っているような表紙だ。もうネタばらししているレビューもあるので言ってしまうと八本目の槍は石田三成で、おそらく表紙の真ん中の槍がそれにあたる。

 八本目の槍はいちばん最初に折れてしまう。いわずと知れた関ヶ原の戦いで徳川家康に敗北した。そして他の七本の槍のいくつかは、その時三成と敵対した。
  
 いつまでも槍呼ばわりしていると失礼なので名前と短編名を以下に記す。

脇坂安治 惚れてこそ甚内
片桐且元 助作は夢を見ぬ
平野長泰 権平は笑っているか
福島正則 槍を捜す市松
加藤清正 虎之助は何を見る
糟屋武則 腰抜け助右衛門
加藤嘉明 蟻の中の孫六

 七本の槍の方が歴史ファンに名高い賤ケ岳の七本槍である。時代が秀吉に大きく舵を切ることとなった柴田勝家との一戦において名を上げた七人の事を指す。但し別の書物には「先懸之衆」として七本槍以外にも石田三成や大谷吉継も含めた羽柴家所属の十四人の若手武将の名が挙がっている。百姓からの成り上がりで譜代の家臣を持たなかった秀吉のお得意プロモーション戦術の一つで、七人というのは語呂合わせだ。

 語り手も七本なのにタイトルが八本目の槍なのは、彼らの人生に三成が大きくかかわっているからだ。本人が語らずとも七人が余さず彼について語ってくれるどころか、各篇では小大名だった頃から太閤に上り詰める秀吉を見ていた彼等が、自らの立場の変化や台頭しつつある家康に対してどう対していったかも綴られる。史実では三成を襲った者もいるが、秀吉との関わりも小姓になった時期も異なる彼らは、幼い頃友情を育み、誰もが三成に一目置いていた。「だから彼等に決定的な決別があったわけではない」とする説に基づく。大河ドラマ『真田丸』などで最近再評価も進んでいるとはいえ、本編の三成がまるで未来人のような発想の持ち主になっている。明治を通り越して昭和の戦後にいる人のようで持ち上げすぎの感もあるが、勝者の歴史が行き渡っている状況を想えば、これくらいは想定内なのだろう。


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最終更新日  November 30, 2019 12:00:22 AM
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November 26, 2019
みなさん、こんばんは。壇蜜さんの結婚相手は『東京北区赤羽』の漫画家さんです。意外でした~。

さて今日紹介するのは人気がある足利将軍義輝の物語です。

剣豪将軍義輝​
宮本 昌孝
徳間書店

 あ、ここに、もう一人の武蔵がいる。
それほどに、本書で語られる室町幕府13代将軍義輝の人生は、武蔵のそれと似通っていた。
未熟な時代に、木に吊るされる。宿命のライバルと出逢う。
愛する女性と離ればなれになる。そして歴史上有名人達と次々に出逢う。全国を廻る。戦う度に強くなる。
しかし、彼と武蔵が決定的に違うのは、義輝が、滅び行く象徴である室町幕府の看板をしょって立たなければならなかった事だ。そして正にその事が、彼と武蔵の運命を決定的に分けてしまう。

「義輝異聞 将軍の星」「青嵐の馬」収録の「白日の鹿」にもゆかりの人を登場させている著者の、義輝への思い入れは本当に強い。

本書は、その彼が主人公。誰に遠慮がいるもんか、とばかりに『情に厚く、知力に優れ、剣が立ち、敵も味方に変える人間的魅力を持つ』等々優れたリーダーの素質てんこもりの義輝のイイ男ぶりを、存分に描き出す。著者が史実の隙間を見つけ、自由に想像の羽を伸ばして書いたと思われる戦国から安土桃山にかけて勇躍する武将達と出逢うくだりは、毎度の事ながら実在・架空の人物達のプロットへの関わらせ方や、史実への絡ませ方が非常に巧く、読んでいて最も面白かった。恐らく宮本氏が好きな・忍び・達の戦いっぷりも、義輝の
一対一の剣戟の迫力に負けていない。

明智光秀の登場場面も実にカッコイイ。信長にイビられ、秀吉との出世競争に汲々とする姿は、かけらも見当たらない若武者ぶりだ。年を取り、地位を得てゆくに従って、或る者は不遇を嘆き、或る者は疑り深くなり、或る者達は反目する運命にある事を、史実は語っている。
でもこの物語ではみんな若い。信長23才、秀吉20才、光秀29才、家康15才、そして義輝が21才。恐るべきエネルギーと斬新な発想に溢れた彼等達は、仁義も信義もルールもない世界に生きているが、夢と希望をなくしていない、まだ。
そんな彼等の前に立ちはだかるのが、もうダメか、もうダメかと思いながら、いつも危機を脱する松永弾正や、忍びの者の意地に賭けて死闘を挑む磯良、そして腕や指を切り落とされながら、義輝を生涯の仇敵と追い求める熊鷹。
彼等は正に、はまり役であった。中でも主君兄弟をじわじわと追い詰める松永弾正の堂に入った策略家ぶりは、もう憎たらしいほど。義輝の向こうを張る悪役として、これ以上は望めまい。

史実に添っているため、変えられない結末を前にし、ほんのわずかな時期を共にした若者達の、二度と戻らない青春の日々を涙と共にカプセルにつめる。
こうして愛おしく、かけがえのないものを、また一つ、心の奥底に放り込む。


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最終更新日  November 26, 2019 12:00:23 AM
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November 11, 2019
みなさん、こんばんは。
即位のパレードは晴天のもと行われたようですね。

佐藤賢一さんの小説『ナポレオン』もいよいよ完結編です。

ナポレオン 3 転落篇
佐藤賢一
新潮社

 ボナパルト朝の皇帝という唯一無二の存在となったナポレオンは、唯一無二の存在故に、容易く弱点を見抜かれた。前巻でも書いたように、無敵はナポレオンだけ。ならば彼のいない所を他国が攻めれば良い。なまじヨーロッパ諸国を支配下においたため、守るべき領土が広大になる。他国に攻められていた時は、国民も国を守る英雄としてナポレオンを歓迎した。しかし領土が広がったが故にあちこちに転戦する王を見れば「話が違うじゃないか」となり、国内もにわかに不穏な空気を帯びる。

 「身の丈」を知り、ほどほどの所で他国と手打ちにしていれば、歴史は変わっていたかもしれない。しかし、連綿と続く王朝の一員でなく、一代で成り上がった英雄故に、ナポレオンは戦に勝つことで存在理由をアピールしなければならなかった。「軍と離れてはいけなかった」と作中である人物に言われてしまうが、戦わなくなったナポレオンは、少なくとも彼以外の人物にとっては、ナポレオンではなかったのだ。当人はハプスブルグ家皇女との間に子供も生まれ、戦うだけではない人生を切望していたのに、何とも皮肉なことだ。

 皮肉といえば、ナポレオンが帰還を望んだ時には「彼がいると他国が攻めてくる」と頑として拒んだフランスが、亡くなって王政がうまくいかなかった時に、精神的支柱として彼の帰還を認めた件もそうだ。彼は本当は家族と共に葬られたかったのではないか。



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最終更新日  November 11, 2019 12:00:35 AM
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October 30, 2019
みなさん、こんばんは。ラグビーW杯の決勝観戦のためにヘンリー王子が訪日するそうです。
まあ、ダイアナの息子が大きくなって!

さて、今日は時代小説を紹介します。

閻魔王牒状 滝にかかわる十二の短篇
澤田ふじ子
徳間文庫

歌舞伎「雷神不動北山櫻」には、こんなシーンがある。
絶世の美女・雲の絶間姫が、日照りの原因を作った鳴神上人を色仕掛けで落とそうとする。隙を突いて竜神を封じてある滝壷の注連縄を切る。するとたちまち雷鳴が轟き、大豪雨に。

この舞台のモデルとなっているのが、賀茂川の上流にある岩屋不動と言われており、その本堂の後ろに飛竜の滝、滝の背後に護摩洞窟がある。人の写っている写真が掲載されていた。近くで見る事ができそうだ。もし、日本の滝が、例えば、ナイアガラ滝のようだったらどうなっていただろう。あの水の量をせき止めておくのだから、放たれた時の勢いは、半端ではないだろう。せき止めていた注連縄を解いたりしたら、鳴神上人もろとも絶間姫が「あーれー」と声をあげつつ、いずこかへ流されてしまっただろう。
喜びの場が一転、愁嘆場だ。

「雷神不動北山櫻」は、日本の滝だから、作れた話だ。
すぐ近くに寄って眺める事も、手に水を取り、飲むこともできる、日本の滝だからこそ。
ここに収録された滝にまつわる12篇もまた、日本だからこそ生まれたと言えるだろう。

或る者は滝に自らの執着を見、また或る者は思いをかためるために滝に打たれる。高名な瀧もあれば、無名の滝があるように、六十三歳の蕪村が登場すれば(「わくらば蕪村」)、不遇をかこつ絵仏師(「熊野の絵師」)をはじめとする無名の庶民もこの中にいる。それぞれに託すもの、見るものが異なるのは、滝を通して見えてくるのが、自分の一部だから。

村人を熱病から救うために瀧に打たれんとする男の「天空妙音」、暁闇の中、清水寺奥院の音羽瀧に打たれに行く娘が登場する「仏の橋」など、清冽な思いが胸を打つ話が印象深い。


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最終更新日  October 30, 2019 12:00:22 AM
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October 5, 2019
みなさん、こんばんは。行方不明の少女がまだ見つかっていません。心配ですね。

佐藤賢一さんのナポレオン第二巻を読みました。とうとう皇帝になるのですが、そこからまだ波乱万丈があるのですよね…。

ナポレオン 2 野望篇
Napoleon Bonaparte
集英社
佐藤賢一

 軍人として頭角を現したナポレオンの前にいるのは、全く異質の能力を持つ男である。タレイラン=ペリゴール。この時のナポレオンはまだ知るよしもないが、彼が倒れた後フランスの外務大臣としてウィーン会議に赴き、敗戦国であるにも関わらず、列強諸国の利害対立を煽って要求を全て呑ませた、凄腕の外交官だ。

 本巻ではもう一人、ナポレオンとは異なる能力の持ち主ジョゼフ・フーシェとの出会いが描かれる。秘密警察を駆使して権力者の秘密を握り、移り変わる権力中枢を渡り歩いた彼の手法は、明治政府の初代警視総監・川路利良が模範とした。異能の持ち主をうまく使うことで遂に権力の座についたナポレオンだが、唯一の欠点は、彼が抜群の能力を発揮する軍事面において、彼に代わる人物がいなかったことだ。

 本巻でエジプト遠征中のナポレオンが、イギリス、ロシア、オーストリアとの戦に悉く負けたという報せを聞く場面がある。ナポレオンは確かに常勝将軍だった。しかし、彼と同等の戦闘能力と戦略を立てる能力を持つ者はそういない。その点こそが、フランス国民にとってナポレオンがなくてはならない存在になる強い動機だった。しかし、攻める側から見ると、ナポレオン以外は“大したことない”、つまり負かせる存在なのだ。

 唯一無二の存在というアドバンテージは、すなわちウィークポイントにも成りうる。彼の後半生において、その事に気づいた諸国が取ってくる手段は、ナポレオン以外を攻める作戦だった。

 数々の名言を残してきたナポレオンの生涯も、転落の途を残すのみとなった。全てを手に入れて、また失った彼は、最後に何という言葉を残すのか。


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最終更新日  October 5, 2019 12:00:19 AM
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September 11, 2019
みなさん、こんばんは。BL小説ってお好きですか?
こちらは戦国時代のある有名な武将が登場するBLです。でもこのカップリングはまだ読んだことがないかも?

傾城(けいせい) 徳川家康
大塚卓嗣
光文社

  傾城(けいせい)とは美人の意だがただの美女ではない。 漢書に美人を「一顧傾人城、再顧傾人国」と表現したのに基づき、古来君主の寵愛を受けて国 (城) を滅ぼす (傾ける) ほどの美女を指す。戦国美女といえば信長の妹・お市の方がまず浮かぶ。だが、本編の傾城は彼女ではない。

 表紙絵の子は、後ろにいる男子(太いし色黒いから絶対男子)の指を含みながら、もう一方の手は懐にある刀に伸ばしている。恐ろしい子だ。総角なので女の子のようだが、男の子だ。彼の名は松平竹千代。のち、天下統一を果たす徳川家康の若き頃の姿であり、彼こそが傾城だ。

 本人の意図と反して“傾城”と呼ばれる向きもあるが、本編の傾城は自らの意思で一国一城の主を滅ぼす賭けに出る。その相手とは、今川義元。織田家の人質だった竹千代は、8歳の時に人質交換で“海道一の弓取り”義元のもとにやって来る。結婚を強いられ、父祖の地・岡崎は今川の支配下にある。これだけでも滅ぼす理由にはなるが、本編ではもう一つ、切実な理由が加わった。げにも、尻の恨みは恐ろしい。

 当時は武士の間で衆道が当たり前。信長と蘭丸、信玄と高坂弾正、大内義隆と陶晴賢などBL小説のネタにされて既に有名なカップルもいる。そんな雰囲気の中で、女の子みたいに可愛い本編の家康がロックオンされないはずがない。彼の初恋&初ちゅーの相手は何と“あの人”だったが、初めての相手が“あの人”でなかったことが、純情無垢な彼の心を歪める原因になる。狸爺としての晩年が有名で、歴史上の人物の中でも三英傑の中でも不人気な彼が、外面いかにも儚げで脆そうなのに、内面に刃を隠したBLきってのビッチキャラに大変身。孤立無援の彼が、明晰な頭脳を疑われながらも粛々と布石を打ち、史上に名高い“あの戦い”が始まる。

 桶狭間の戦いは、いかにも偶然だ。好天だったのに一転、にわかにかき曇り、雷雨に。チャンス!と読んだ織田信長がわずかな部下を率いて義元本陣に突っ込む、というのが定説だったが、彼の動機も本編では異なる。“運命の人”に呼ばれたのだ。その運命の人とは?(蘭丸じゃないよ)。こちらも三英傑の一人である彼は、まるでキャンディキャンディの丘の上の王子様扱いになっている。ワイルドな彼を好きな読者は意外感があるかもしれない。

 衆道に全く興味のない秀吉の描かれ方や、『おんな城主直虎』で家康の夜伽を覚悟したあの武将の登場にも注目。


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最終更新日  September 11, 2019 12:00:17 AM
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September 10, 2019
みなさん、こんばんは。
英国の欧州連合(EU)離脱交渉で、英下院は「合意なき離脱」を回避する法案を可決しました。
さりとて首相は公約を守らねばならず…どうなるんでしょうね。
さてフランス史を中世から書いてきたサトケンこと佐藤賢一氏がナポレオンを描きました。
これはその第一巻です。

ナポレオン 1 台頭篇
Napoleon Bonaparte
佐藤 賢一
集英社

行き詰まった王政が民衆の手によって倒され、共和国としての第一歩を踏み出したはずのフランスが、なぜか迷走し始める。国王処刑によって世界各国と戦争することになったフランスを救ったのは、フランス革命以前、1769年8月15日、コルシカ島の小貴族の次男として生まれた男だった。

 本編はルーヴルで見られるジャック=ルイ・ダヴィッドの有名な絵画『皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式』の幕間劇のような冒頭から始まる。ローマから教皇をわざわざ呼んでおきながら自ら王冠をむんずと掴んだ真意は側近により語られるが、彼の本意は明かされない。

 ナブリオ→ナポレオーネ→ナポレオンと、名前と住む場所を変えながら、眠らない小男は、革命に揺れるフランスを駆け抜ける。今はまだ確たる目的が見えているわけでもないし、油断していたら掌を返される人の怖さも知っている。最初の婚約者デジレ、後の皇后ジョセフィーヌ、総裁バラス、のちにナポレオンの義弟となるミュラ、士官学校時代の学友でのちに秘書官を務めるブーリエンヌなど、主要人物が登場。『双頭の鷲』の「一人ではへなちょこだけど二人で組めば最強コンビ」が好きだったが、あいにくナポレオンは唯一無二の存在らしく、コンビを組めるようなキャラは登場しない。

 第一巻は赤、第二巻は青、ならば第三巻は白かと思ったが、緑になっていた。フランスのトリコロールカラーに載せて語られるのは、一代でフランス皇帝に上り詰めたナポレオンだった。フランスの歴史上の人物を次から次へと書いてきたサトケンこと佐藤賢一氏が、とうとうナポレオンまでやってきた。

 評伝では近代の『ドゥ・ゴール』を描いているが、同時期に出された『ブルボン朝 フランス王朝史3』とも被る。もっと言うなら、第一共和制の崩壊の全容を知りたいなら、著者の『小説フランス革命』シリーズを読むと、本編ではちらっとしか出てこないミラボーやロベスピエールが表舞台で活躍しているので副読本としてお勧め。


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最終更新日  September 10, 2019 12:00:15 AM
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August 5, 2019
みなさん、こんばんは。京アニ被害者の名前が公表されましたね。知っている作品の監督もいました。
今日はデュマ家サーガ最終日です。

象牙色の賢者
文藝春秋
佐藤賢一

​今までの作品における佐藤賢一氏作品は、その独特の語り口で、過去に生きた人物達を、まるですぐ隣にいるかのように感じさせてくれた。「誰誰がこう思った」という語句を敢えて外し、当時の登場人物達の心の叫びを、現在彼らが考えているかのように感じさせてくれた。

さて今回の作品だが、こちらは、功なり名遂げたデュマが、生まれから現在までを自分の視点で振り返るというこれまでとは異なる書き方をしていた。敢えて外したのだろう、と評したレビューもあったし、実際狙いはあるのだろう。

しかし、実際の内容は、「これこれこうだと思っていた人が実はこうだった」「このように考えていた出来事の裏は実はこうだった」という動かしようのない事実の羅列である。これで驚くとするのは、「これこれこうなんだ」という前提をわかっている、つまりデュマについて既成事実をある程度知っている人に限られるのではないだろうか。デュマのことを作品でしか知らず、あまり詳しい事実まで知らない人にとっては、羅列される内容に意外性を感じることなく、ただ書かれている内容を受け入れるだけになる。

従来の語り口であれば、読者は作品人物と共にその時代を歩むことができた。でも、この作品では、登場人物が歩んできた道を、第三者的に受け入れるだけである。

読者がどのような読み方を好むかにより、好悪が分かれると思われる。



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最終更新日  August 5, 2019 12:00:21 AM
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August 4, 2019
みなさん、こんばんは。梅雨明けしたらとたんに猛暑が続きますね。
今日は最も知られている大デュマの物語です。

褐色の文豪
佐藤賢一
文藝春秋

『三銃士』で名高いダルタニヤンを主人公に据えた『二人のガスコン』刊行から五年。遂にその生みの親、アレクサンドル=デュマが、『黒い悪魔』に続く、デュマ家三部作の主役として、佐藤作品に登場。氏のデュマへの思い入れを知る読者は、「いつ出るのか」とさぞや首を長くして待っていた事だろう。

ナポレオン指揮下で戦った彼の父・トマ=アレクサンドルは黒い肌を持つ巨漢だった。彼は人々の憧れ(巨躯)と、人種差別の格好の標的(肌の色)という、両極端のものを併せ持っていたが、前者の恩恵よりも、後者故の差別を受ける事が多かった。そしてその性格も、肌の色(=黒)と同じく、他と相容れる事を肯んじなかった。だが息子の代になると、肌の色も黒から褐色へと薄まっており、性格はどうかと見てみると、これもまた、父よりはるかに打ち解けやすい男になっている。ナポレオンの失脚から七月革命、二月革命。大揺れに揺れた国フランスで、こればかりは父譲りの「女性に対するセックス・アピール」を存分に振りまき、根拠のない自信を原動力にして、パリ文壇の寵児となっていくデュマ。前半はそんな彼のサクセスストーリーの側面を持つ。だが、やがて彼の最大の支援者だった市民が、劇場に足を運ばなくなる。それも原因となったのは、彼が共鳴していた「革命」がもたらした混乱によるものだというから、何とも皮肉な巡り合わせである。皮肉と言えば、デュマが父のように政治的・軍事的成功を夢見て積極的に行動を起こしたにも関わらず、世間的には「文豪」としか評価されない件もしかり。他人から見ればどんなに羨ましい立場にある人でも、必ずしも理想を実現できるとは限らない。このジレンマに悩む文豪を見せて、氏は彼への共感を、ごく自然に読者に抱かせる。

佐藤作品の場合、主人公と常に対峙する存在を登場させ、両者の対比や対立が、ドラマの軸となってゆく場合が多い。今回の場合ライヴァルとして登場するのはヴィクトル・ユゴー。内心嫉妬しつつもその才能を賞賛するユゴーと、その心中を知らず、無邪気に尊敬の念を表明しているデュマの関係は、映画『アマデウス』で天才モーツァルトとサリエリのそれを彷彿とさせる。但しデュマの場合は、相手に追い落とされるのではなく、自滅してゆくのだが。

尚、ユゴー、デュマ、そして本作にも少し登場するバルザックと、同時代の文豪を比較した鹿島茂著『パリの王様たち―ユゴー・デュマ・バルザック三大文豪大物くらべ』が既に刊行されているので、併せて読むのも一興である。「我が道を行く一癖あるヒーロー」が生き生きと活躍し、見てきたような『虚』と『実』が絶妙に絡み合った佳作だった。『黒』の次は『褐色』、さて、三代目の佐藤版小デュマは、どんな色を纏うのだろうか。


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最終更新日  August 4, 2019 12:00:20 AM
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August 3, 2019
みなさん、こんばんは。日韓の交流まで取りやめになるケースが出ましたね。
今日からは三代にわたるデュマ家サーガ三部作です。
まず、アレクサンドル・デュマの父親から始まります。

黒い悪魔
佐藤賢一
文藝春秋

「泣きたい時は、コートで泣け」と言われたのは、岡ひろみだった、藤堂ではなく。
これは漫画「エースをねらえ!」の話だが、実際男性諸氏は、親-特に男親から
「めったな事で泣くもんじゃない。男らしくない。」
と、散々言われて育ったらしい。
「それって、辛くなかった?」
そう聞くと、
「まあ、長年言われちゃうとね。」と苦笑いする人、
「全然。」と言い切る人、さまざまだ。
では辛い時、彼等はどうするか。我慢をする。それも、とびきりの
やせ我慢を。

この「やせ我慢男」を書かせたら、とてつもなくうまいのが
佐藤賢一氏。
「二人のガスコン」の主役二人も、「王妃の離婚」のフランソワも、
「ああ、もう、ここで折れてしまえば、楽になるのに!」
という場面で、とびきりのやせ我慢を貫き通す。
本篇の主人公、トマもまた、やせ我慢男の一人だ。

最初「佐藤賢一がデュマの連載を始める」と聞いた時、
「ああ、とうとう真打ちの登場か。」と思った。
『二人のガスコン』で著者が大好きな『三銃士』を取り上げ、
更に『ダルタニャンの生涯』でその主人公の実像に迫り、
とうとう生みの親を書くのか、と。
ところが、始まった連載を読むと、どうも勝手が違う。
主人公は、大デュマ-アレクサンドル=デュマのおとっつぁんだった。
「もしかして、宮本昌孝氏の『ふたり道三』宮城谷昌光氏の『晏子』
のような、親子二代に渡る物語になるのかな?」と期待しながら
読み進んだ。だが、どうやらそうではないらしいと
気づいた時には連載が半分以上進んでいて、
佐藤作品お馴染みの、「宿命の女性との結ばれぬ恋愛」
「父親(または年輩者)との衝突」
「現場をわかってくれない中央指導部」の要素が出てきているこの
作品に、どっぷりと漬かっていた。そして後半には、
「なーんか、どっかで読んだことあるような」話が出てきた。
ははん、なるほど、そうですか。
あの作品のモデルは、おとっつぁんだったのですね、
デュマ殿。
まあ、オリジナル作者が存在したにも関わらず、『三銃士』も
デュマが書いた作品の方が断然面白い、といいますから、
モデルがいたからと言って、作品自体の面白さが半減するなんて
事はない。本当のトマの生涯を読んだ後に、この本を読んでも
「やっぱり面白い!」
と感じるように。

佐藤氏の他作品のやせ我慢男と同じく、トマは時の権力者に対して意地を張るため、アウトローの道を
辿らざるを得ない。そして末路は、
「幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。」
というエンディングとは程遠い。
けれど、それがわかっていながらも、彼は、やせ我慢を手放さない。
それが彼の美学だから。それが、彼の「生きる」事そのものだから。
やせ我慢の美学を貫き通せない現在だからこそ、
苦境において、とことん自分を手放さない主人公の生きざまが、とても
眩しく、羨ましく映る。

このやせ我慢の遺伝子が、どう伝わっているかを知りたい方は現在別冊文芸春秋で連載中の「褐色の文豪」で確かめられたし。こちらは、大デュマが主人公となる。


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最終更新日  August 3, 2019 12:00:20 AM
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