映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

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日本作家によるノンフィクション&エッセイ・その他のジャンル

February 29, 2020
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みなさんこんばんは。2月はコロナウィルス一色でしたね。
さて、今日は電車が好きなある少年の話を紹介します。

昭和電車少年
実相寺昭雄
ちくま文庫

 駅のホームで、一番端に陣取って、カメラを構えている人達を、たまに見かける。だが、やっぱり列車は止まっているのを眺めるより、乗っている方が楽しい。子供の頃にブームだったブルートレイン、今は殆どないディーゼルカー、『青い光の超特急~時速250キロ~』なんて、歌にもなった新幹線。そして、海外に行った時は、バスよりも飛行機よりも、一番手近な交通手段として重宝した列車。それほど生活に欠かせない存在なのに、語り尽くすほどの情熱も、知識も持っていない。

 そんな列車について、ウルトラマンシリーズで有名な、実相寺監督が綴ったのが本書である。「十八時間もかかる寝台列車の旅が好き」(p28)と語ったり、交通博物館への熱い思いを綴った文章を読んでいると、「人って好きなものの前では子供みたいに素直になるんだな」と思った。宇宙人がなぜか列車の中で会話している「宇宙の仇は、長崎で」なんて一篇は、「監督、遊んでるな」と微笑ましく思った。電車の形式の説明や、その頃の周りの様子なども描かれているので、鉄道ファンや、監督と同世代の人達にはとても懐かしいだろう。


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最終更新日  February 29, 2020 12:00:17 AM
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December 20, 2019
みなさん、こんばんは。古本はお好きですか?
小説家の角田光代さんは古本がお好きみたいですよ。

古本道場
角田光代&岡崎武志
ポプラ文庫

引っ越したり職場を変わった時に、まず探すのが図書館と書店だった。なのに今は、実際行って本がないとイヤなので、なるべく無駄を無くそうと「ネットで調べればいい。そしてあったら、ネットで買えばいい」と考える。「古本道を究めた師匠・岡崎氏の指令を受けて、作家・角田氏が実際の書店を訪れ、依頼された本を探す」という本作の企画は、こうした発想とはまるで逆だ。体験記から自然と浮かび上がるのは、「本とは何か」「書店とは何か」ということと、便利さの代わりに我々が失ったもの。「(書店で)棚から棚を見ていくうち、忘れていたいろんなことがぽろぽろぽろぽろ勝手に思い出(p21)」された経験。「とおりいっぺんの現実とはべつに、時間の沈殿する不思議に静かな空間を、その魅力を、知って大人に(p108)」なっていった学生時代。鎌倉の古書店を訪ね、今は亡き米原万里さんを訪問した、なんてエピソードもある。意外だったのは、幕張メッセに行くための通過駅や、出張で新幹線に乗る出発地点としか見ていなかった東京駅構内に、古書店があったこと。せかせかした日常から離れたくなった時、訪れてみようっと。


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最終更新日  December 20, 2019 12:00:28 AM
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December 8, 2019
みなさん、こんばんは。今日は何の日か知っていますか?

朝、目覚めると、戦争が始まっていました
方丈社編集部、武田砂鉄
方丈社

 男女が表紙写真で新聞を広げている。男性は微妙だが、女性は微笑んでいる。表に踊っている見出しは“米英に宣戦を布告”。昭和16年12月8日朝である。運命の日は、こんなふうに穏やかに始まった。

本編はラジオニュース(午前七時)から始まり、ラジオニュース(午後九時)で終わる。今ほどテレビが普及していなかった時代だ。頼りになるのは声しかないし、限られた情報である。午前十二時・東條英機首相演説から九時まで五回にわたって放送が行われた。

 東條英機首相演説では「東亜全曲の平和はこれを念願する帝国のあらゆる努力にもかかわらず、遂に決裂のやむなきに至った」「遂には帝国の存立をも危殆に陥らしむる結果となる」と言い訳が並ぶ。そして「自存自衛を全うするため(中略)立ちあがるのやむなきに至った」と結ばれる。

 「ペルリによって武力的に開国を迫られた我が国の、これこそ最初にして最大の苛烈極まる返答であり復讐 維新以来我ら祖先の抱いた無念の思いを、一挙にして晴すべきときが来た」と捲土重来を果たそうと燃えている者もいれば、わかりやすくラジオに向かって「ばかやろう!」とどなった者もいる。「もっと強くこの戦争に反対することができていたなら」と悔やむ者もいる。

 誰が言ったかは特に書かない。結果から12月8日の言動を見れば二通りの判断ができるが、実はそれは後出しじゃんけんのようで、あまり意味がない。それにここには戦争に兵士を送り出す側の女性の声がない。しかし男性だけでも、これだけ意見のばらつきがあったのだ。誰もが一億火の玉になって進んでいったわけでもなければ、“打ちてし止まん”と竹槍を勇ましく抱えたわけでもない。そんな人達を一つの方向に無理やり向けさせてしまうのが、戦争という最も大きな暴力である。

 太宰治の小説『十二月八日』の主人公は一家の主婦だ。夫は小説家だというので太宰本人を模しているのかもしれない。戦争が始まったらラジオが要るから、新しいのを買ってもらえるかな?とか、国民服どうしよう、とか、身近な心配をしている。それは町の様子が「平生とあまり変わっていない」からだ。とはいえ、ラジオは軍唄のオンパレード、演習でなくなった灯火管制など、少しずつ非日常が侵食している様子も描かれる。何事もない一日だが、何かが変わりゆく一日。そして人々は変化に気づきながらも、その先の大きな変化に思いを馳せるはずもない。変化はこのように訪れ、やがて火だるまになる。私達の周りに、今、くすぶる熾火はないだろうか。


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最終更新日  December 8, 2019 12:00:24 AM
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November 19, 2019
みなさん、こんばんは。今日は、イギリス在住で「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー 」で本屋大賞第2回ノンフィクション本大賞を受賞したブレイディみかこさんの作品を紹介します。

女たちのテロル
ブレイディみかこ
岩波書店

金子文子の事を最初に知ったのは映画「金子文子と朴烈」。関東大震災で朝鮮人を巡る流言飛語が飛び交い、不穏分子として捕らえられた文子は朴烈と共に圧倒的不利な裁判を戦い抜く。

 彼女は無籍者として育ち、実の祖母や叔母には女中替りにこき使われた。13歳の彼女を突き動かしたのは復讐心だった。

「けれど、けれど、世の中にはまだ愛すべきものが無数にある。美しいものが無数にある。私の住む世界も祖母や叔母の家ばかりとは限らない。世界は広い。」
「そう思うと私はもう、「死んではならぬ」とさえ考えるようになった。そうだ、私と同じように苦しめられている人々と一緒に苦しめている人々に復讐をしてやらねばならぬ。そうだ、死んではならない。」

 だが、復讐心を抱き続けながら生きるのは厳しい。やり切るのは、よほど大きな相手でないと。彼女たちが相手にしたのは国であり、社会だった。

 映画「未来を花束にして」では完全な脇役だったエミリー・ディヴィソン。映画では名優メリル・ストリープがサフラジェット(参政権を女性にも与えるよう主張する活動)のリーダー、エメリン・パンクハーストを演じており、皆を平等に鼓舞していた。しかしマッド・エミリーという二つ名までもらったエミリーは、史実ではその行動があまりにも過激すぎるとして、エメリンとその娘から忌避されていた。ポストに爆弾を投げ込んだりした過激なサフラジェットの彼女は、国王の馬の前に身を投げる。この映像はYouTubeで今でも見られるそうだ。恐ろしくて見られないが、少しも迷いがなくすたすたと歩いていたらしい。皮肉な事に、死んで初めて彼女はサフラジェット活動の役に立つ。彼女の葬儀は壮大なイベントとして、世にサフラジェット達の活動を広く知らしめた。

 もう一人はアイルランド独立運動の一つ、イースター蜂起で活躍したスナイパー、マーガレット・スキニダー。三人のうち彼女だけが病死という(三人の中では)穏やかな最期を迎える。一方で、これだけ「死んではならぬ」と繰り返していた金子文子が自殺という結果も納得がいかない。

 本編は百年前に生きた三人の女性達の生涯を交互に綴る。章タイトルはついていない。前の章の最後の言葉が、次の章で繰り返され、三人に共通の要素があったことを窺わせる。テロルという名称は物騒で、確かに過激な行動もここには書かれている。しかし、“以前よりはましになった”が“♯MeToo”や“職場でのハイヒール”など、未だに女性だけが不自由を感じたり理不尽を味わわされている機会は枚挙にいとまがない。


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最終更新日  November 19, 2019 12:00:25 AM
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November 9, 2019
みなさん、こんばんは。イラストライターであり、映画監督でもある和田誠さんが亡くなってしまいましたね。

さて、今日は医療に焦点を当てた世界史についての本を紹介します。

世にも危険な医療の世界史
Quackery:A Brief History of the Worst Ways to Cure Everything
リディア・ケイン ネイト ・ピーダーセン
文芸春秋

 最初から成功する手術も薬もない。治験やら大学病院のような所で手術をするなど、何にでも初めてはある。しかしその初めてが治療でなく、人の命を縮めるようなものだったとしたら?

 現代で有名なのは、アメリカ一有名なあの一族の女性が犠牲になったことでも有名なロボトミー手術。人の脳をいじくり回すなんて、何て恐ろしい!

 近世で有名なのは瀉血。かのモーツァルトもやられていた。悪いものが入っている血をただ外に出せばいいなんて!そのかわりに新しい血が入っていくわけではないから、どんどん体から血液が失われていくというのに。有名人がなぜ?と思うかもしれないが、有名人だからこそこのような対応が取られたのだ。

 「悪いものは体から出せばいい」という発想で行われた方法が多い。水銀は下から、アンチモンは口から悪いものを出すという発想から生まれたが、そもそも飲んだもの自体が毒なのだから治癒できるはずがない。

 「老人がなかなか死ななくなったから少子高齢化の日本は大変」などとやや嘆き節のように語られる現代の日本医療事情だが、本編を読めば、必ず現代に生きていてよかったと思うはず。家族にとっても、自分にとっても。


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最終更新日  November 9, 2019 12:00:21 AM
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October 27, 2019
みなさん、こんばんは。台風でもないのに、千葉の被害がひどかった模様ですね。

今活躍している年代の青春時代はどんな時代だったか、覗いてみませんか?

ハイスクール1968
四方田犬彦
新潮社

 日本の若者が最も熱かった1968年に、高校時代を送った氏の自伝。昭和生まれといっても、ビートルズも、三島由紀夫も、毛沢東も、映像資料や書籍で知る事の方が多い世代から見れば、本書の内容は、同世代の出来事というより、歴史の一部みたいな感覚の方が強い。同じ時代を舞台にしていても、村上龍の自伝的小説『69』に登場する明るく楽しい高校生の方が、より身近に感じられる。

 距離感が違う理由は、文章から受ける印象だ。まるで日本全体が熱病にかかったかのような時代なのに、それを伝える文章は非常に冷静で、堅い。「随分大人びた高校生だな」と感じるが、人によっては、その「大人びた印象」が、「スカしている/偉そう」というマイナスイメージに繋がりかねない。本書が「当時高校生だった自分の視点」ではなく、「高校生だった自分を含めて、時代を俯瞰している大人の自分の視点」で描かれているからだ。本書が『批評的自伝』と呼ばれる所以だろう。時代のエネルギーをダイレクトに感じたい人は、文章から感じる距離感ゆえに、物足りなさを感じるかもしれない。


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最終更新日  October 27, 2019 12:00:18 AM
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August 30, 2019
みなさん、こんばんは。
大雨は九州地方だけでなく中国地方まで広がったんですね。そして死者も出ました。

ところでみなさんが思い浮かべる名作って何でしょう?でも名作以外の作品もたくさん生まれているんですよね。

「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本
山下泰平
柏書房

​ 明治時代というのは様々な混沌が発生したようで、日本史の勉強で言文一致体だとかお札になった文豪とかの話はしたものの、本編に載っている書籍の事は誰も話してくれなかった。

 例えば弥次喜多アレンジ版。何とリアル弥次喜多がBLだったってホント?ススんでるねぇ、江戸時代。その話はまあいいや。東海道を旅したのがオリジナルなら、二次創作ものは何と二人が宇宙に行く。えっその時代にもうロケット?と思うなかれ。彼等は大砲の弾丸にへばりついて月へ行くのだ。いや、だって燃えるじゃん!!無重力状態だし衝撃で大砲から離れちゃうよね?そして二人は月ではなく無闇矢鱈世界という所にたどり着く(ちゃんと地図もある)。で、すんなり宇宙に来られた割には途中で空気がないため半死半生の態に。何だこりゃ。

 明治といえば日清日露戦争があった。忠義の物語が好まれたらしく、江戸の一心太助みたいなキャラクターの信州小僧というのが大活躍する。実在の人物である星亨が彼を助けたりする件なんかは今でいう山風っぽい。しかしキャラクターが定まらない。壮士にして書生、侠客にして軍人の卵ってこちらも何だこりゃ。どれか一つのキャラにしないと性格が破綻する。案の定「聞かれて名乗るもおこがましいが…」みたいな赤城の山っぽい名乗りになっている。

 「面白くて売れりゃいいじゃん」と「娯楽上等!」の精神で書かれた著作が紹介されている。粗筋をざっと読んだ所、突っ込み処は満載ながら読んでみたいと思うものが一つもないのが素晴らしい。
ところで、なんでこんな長いタイトルに?図書館の書籍名枠に入らなくて、何度も聞かれてしまった!


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最終更新日  August 30, 2019 12:00:20 AM
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August 2, 2019
みなさん、こんばんは。一世を風靡したディープ・インパクトが安楽死…。しみじみ。
さて、今日ご紹介する佐藤賢一さんの書籍では、フランス最後の王朝を紹介します。
ずいぶんと知っている名前もあるのでは?

ブルボン朝
佐藤賢一
講談社現代新書

表紙の色がブルボン朝は赤、ヴァロア朝は白、カペー朝は青で横に並べるとフランス国旗のトリコロールになっている。

 マリー・アントワネットの悲劇、そしてアレクサンドル・デュマの『三銃士』でこれほど知られている王朝もない。王政復古ははさむものの、文字通りフランス最後の王朝になる。

 TVドラマ『クイーン・メアリー』で少しだけ描かれたように、「おみせやさんのむすめ」と呼ばれた『黒王妃』ことカトリーヌ・ド・メディシスは多くの子を産みながら次々と病死。『赤毛のアン』のヒロインを演じていたミーガン・フォローズが『クイーン・メアリー』ではイタリアのボルジア家みたいな策士カトリーヌを演じていたが、実際の彼女も政治家としてなかなかの力業を発揮していた。折しもフランスは旧教と新教の対立が激化し、大陸続きの他国も危なげなフランスに興味深々。性格も危なげな息子達の代わりに辣腕を振るったカトリーヌがいなければ、ヴァロア朝はもっと早くに滅びていたはずだ。

 最後に残った王は何と暗殺されてしまい、窮余の策として王母カトリーヌ・ド・メディシスが後継者に選んだのは娘マルゴの婿ナヴァラ王アンリだった。というより、女系の継承が認められていないフランスでは彼しかいなかった。その時既に35歳。56歳で自らも暗殺で亡くなるのだから治世は短い。

 続いてのルイ13世はアレクサンドル・デュマが『三銃士』で世界的に有名にしてくれた。ルイ14世は太陽王として彼を脇役とした映画も多い。ルイ16世は『ベルばら』で日本で最も知られた王になった。ヴァレンヌ逃亡がバレて捕らえられてからの国王夫妻がまるで別人で、人材など環境が違っていれば、イギリスのような立憲君主も夢でなかったのでは。

「16世紀はスペインの時代 17世紀はフランスの時代 18世紀はイギリスの時代」と言われたように、どの国も最強の駒を揃えた時代があった、もちろん日本も。だがいずれも“ほどほど”で止めることができずに、もっと、もっとと突っ走り凋落へ。ことほど左様に人間の欲望は果てがない。


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最終更新日  August 2, 2019 12:00:20 AM
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August 1, 2019
みなさん、こんばんは。世の中には恥を知らない議員もいるのですね。
何と言いますか…あいた口がふさがりませんよ。自分の言葉で語って欲しいもののです。
ところでみなさん、『三銃士』 を知っていますか?
主人公の名前はダルタニャン、何と実在の人物です。でも本当の彼はどんな人だったのでしょう?

ダルタニャンの生涯 史実の『三銃士』
岩波新書
佐藤賢一

デュマのダルタニャンは王妃の首飾りを無事取戻し、王妃づきの侍女と恋に落ち、悪女ミレディや枢機卿の陰謀に仲間達と立ち向かう。フランス史上の謎、鉄仮面伝説にも登場する。
何度も映画や本で見たイメージというのはそんなところだ。

しかし現実は違う。王族でも最高権力者でもない人間が、歴史の表舞台に出っ放しなんて
あり得ない。出世のために金持ちの未亡人との結婚に踏み切り、出世のために職を買おうとする。一番近いイメージは佐藤氏の近著「二人のガスコン」に登場する密偵をやっていた、というくだりだ。そして、ダルタニャンも年を取ると変にこだわってしなくてもいい喧嘩をしたり、手紙で言い付けたり
するようになる。正義感あふれる、国王に忠誠を誓うダルタニャンのイメージはぐらぐらと崩れてゆくようだ。

仕方がない。やはり現実の人間は物語の人間とは違うのだ。そして現実世界も物語世界より煩雑で、まさに現実的なのだ。それでもあるエピソードに目が止まる。
「出世と金と領地」そればかりが大事かと思っていたけれど、そうでもなさそう。
もしかしたらこの事があって彼は「三銃士」のダルタニャンのモデルとして選ばれたのでは?
何とはなしに、そう思った。そうだ、全く何の魅力もない人間をわざわざモデルに選ぶまい。そして佐藤氏のラストのダルタニャン論ともいうべき一章が、さらに気分を上向きにするのに役立った。
現実の男は、現実の中で男気を発揮することができるのだ。


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最終更新日  August 1, 2019 12:00:21 AM
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July 31, 2019
みなさん、こんばんは。梅雨空けしましたね。
佐藤賢一さんが書いた評伝を紹介します。
ずっと時代は下って近代になります。

ドゥ・ゴール
佐藤賢一
角川選書

 イギリスやアメリカは「おアメリカ」「おイギリス」とは言わないのに、フランスだけは「おフランス」と言う。そこには何か揶揄のような気持ちが込められていて、日本人のフランス観が窺い知れる。大統領でも恋愛関係は派手でそれを隠そうともしない点や、美しい町パリ&ヴェルサイユという観光地としての面が強すぎるのか。しかし、かつてフランス革命で国王の首を落とした大胆な国であり、その後のぐだぐだな革命を乗り切りながら世界を相手に回して戦った経験もある。強いアメリカが今や世界の認識だが、強いフランスの時代もあったのだ。

 近年第二次大戦をテーマに据えた映画で頻繁に登場するのが、ヴィシー政権と抵抗するレジスタンス勢力だ。わかりやすいように、ヴィシー政権はナチスドイツに迎合して降伏した悪者、レジスタンスは正義の味方という色分けがされている。一方のレジスタンスを率いたのがシャルル・ドゥ・ゴール、今ではフランスのパリの玄関口の空港の名前としての方が通りが良い。ジョン・F・ケネディ空港と共に、その名にちなんで玄関口の空港名が名づけられるからには理由がある。祖国フランスを追われ、イギリスの二枚舌の名人チャーチルを時に頼り、時に牽制しながら、大国アメリカを利用しつつも核の傘のもと守られようなど思わず、自国の舵取りを譲らなかった。国とも国民とも離れ、頼りはBBC放送のみという最も弱い立場にいながら、一歩も引かず物申せた男-イギリスがもめながらもEU離脱を選び、ヨーロッパの雄ドイツも首相が辞任を発表した。EUがごたごたしている今こそ、登場して欲しい人物だ。

 裏を返せばそれだけ気が強い証拠でもあり、敵も多く選挙で敗北も経験した。しかしフランスが困った時には、第二次大戦の栄光とカリスマを忘れぬ国民によって担ぎ上げられた。国葬クラスの要人なのに「国葬は不要。勲章等は一切辞退。葬儀はコロンベで、家族の手により簡素に行うように」という遺言に沿って、葬儀は極めて簡素に行われた。

 評伝でありながら時に小説を読んでいるような感覚もあり、いつドゥ・ゴールが独白をやりだすのかと身構えたが最初から最後まで評伝。


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最終更新日  July 31, 2019 12:00:24 AM
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