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日本のファンタジー小説

July 26, 2018
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みなさん、こんばんは。夜久々に雨が降り、ちょっと涼しくなりました。嬉しいですね。
さて、今日は小野不由美さんの人気シリーズを紹介します。

華胥の幽夢 十二国記
小野不由美
講談社X文庫

 十二国記シリーズ最新刊の「書簡」では、王になりたての陽子と、彼女の大親友・楽俊の、互いの「せいのび」が、書簡によって描かれる。彼等は互いに周りから、「迫害」には遠く及ばないが、「大歓迎」にはほど遠い目で見られているし、本人達もそれを感じ取っている。そして、お互いがどんな風に見られているか、どんな思いをしているかも、遠く離れていても、何となく察している。
それなのに、彼女達は書簡でせいのびをする。自分のためというよりは、書簡を読む相手のために。
そんな風に思える相手を持ち、そんな手紙を書ける彼等が、羨ましい。

「乗月」「華胥の幽夢」は、「これが正しい」と信じた対照的な二人が登場する。
為政者となる事の難しさ、為政者である事の難しさが描かれる。他、「黄昏の岸 暁の天」直前の泰麒が過ごす、つかの間の平和が描かれる「冬栄」、「帰山」収録。












最終更新日  October 5, 2019 09:57:14 PM
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April 11, 2018
みなさん、こんばんは。サッカー日本監督の大会2ヶ月前の解任にはびっくりしました。
遅すぎるのでは?

さて、本日紹介するのは怖くないミステリです。

生き屏風 角川ホラー文庫/田辺青蛙

昔に比べれば、鬼も随分幸せになったものだ。

 童話『ないた赤おに』では、赤おにが受け入れられるために、青おにと別れなければならず、『桃太郎』『金太郎』では退治されてしまう。

 ところが、夢枕獏の『陰陽師』では鬼の哀しみが描かれて同情を誘い、本作の主人公・小鬼の皐月は、人間から相談事を持ちかけられる存在だ。

 頼まれたのは「病で死んだ酒屋の奥方が屏風に取り憑いて、あれこれと我がままを言うので、話相手になって欲しい」ということ。現世と異世界の真ん中に絵が介在するのは、行方不明になった親友が掛け軸から出てくる、梨木香歩の『家守綺譚』と似ている。「死んだ後も生きた人間を困らせるなんて、なんて傍迷惑な」という奥方の印象が、皐月との交流で変わってゆく。妖艶な狐妖、喰えない猫みたいな皐月の師匠(実際猫に変化する)が登場し、ほのぼのした雰囲気が漂う。「まるで講談師みたい」と言われる皐月が、この先いくつの「あやかし物語」を語るのか、とても楽しみ。



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最終更新日  April 11, 2018 12:00:34 AM
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August 25, 2016
みなさん、こんばんは。女優の高畑淳子さんの長男の事件は驚きました。
まあ、苦労をしてこなかったんでしょうかね。

こちらは日本のファンタジー小説です。


BH85―青い惑星(ほし)、緑の生命(いのち)

製薬会社に勤務する水木恵は、利用者・別府から「毛髪の伸びるスピードと色がヘンだ」と電話で相談を受ける。実は、開発部から営業部に異動になった毛利理が、出荷時に紛れ込ませた〈BH85〉というまだ実験段階の薬が原因だった。しかもその薬にはある秘密があって、次から次へと人間や鳥を同化してゆく。

 どん臭い理系男・理としっかり者の恵が事件の真相を追ううちにお互いが気になり始める…というのは、ロマコメにありがちな展開。でも、ここからもパターン通りの展開を期待すると、肩すかしを喰わされる。バイオハザードという恐ろしい事態を扱っているのに、当事者達がやけにのんびりしているのだ。
 
 スリルとサスペンスの中で、行動を共にするうち恋愛感情が湧き上がる、なんて事にはならず、さしたるドラマティックな展開もなしに、二人は、これから生まれてくる子供の将来について話し合っていたりするのだから不思議だ。

 映画『スターウォーズ』シリーズのチューバッカや、アニメ『エヴァンゲリオン』のヒロインが例に挙げられたりと、ある世代の大人達のオタク心を刺激するアイテムがいっぱい。吾妻ひでおさんのイラストも、どこかすっとぼけたキャラのイメージにぴったり。


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最終更新日  August 25, 2016 12:07:00 AM
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August 31, 2015
みなさん、こんばんは。今日も関東はあいにくの雨です。
そして8月が終わりですね。あっという間でした。

こちらは日本のファンタジー小説です。


竜盤七朝DRAGONBUSTER 01
秋山瑞人

王の一族とはいえ十八番目の娘で、周囲から期待も注目もされていない月華(ベルカ)。腕は立つが、青い目をしているため差別されている若者・涼孤(ジャンゴ)。

 月華には、財産も、面倒を見てくれる者もいるが、その身分ゆえに自由に行動が出来ない。涼孤には財産もなく天涯孤独だが、自由に町を歩ける。そして二人とも、剣術には真剣。お互いの持ってないものが相手にはあり、お互いが惹かれているものが同じ。ほうら、二人が恋に落ちる条件が揃った!

 でもまだ本作では、ラブラブにはほど遠い。男の子より女の子の方が早熟だから、月華がいくぶん意識している感じではあるけれど。お互いの境遇をまだ知らないから、これから関係がどれだけ変わるかは未知数。大人っぽい姐さんタイプの女性、腕自慢の相棒、若い頃は凄腕だった姫の守役など、傍役達も、それぞれの背景がわからない。まだまだ隠し球がありそう。「次の巻でラスト」らしいので、もどかしい思いは、そこで解消されるだろう。ところで、「ジャンゴ」という名はマカロニ・ウェスタン『続・荒野の用人棒』のフランコ・ネロ演じた同名の主人公と関係が?


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最終更新日  August 31, 2015 06:22:51 AM
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May 21, 2015
みなさん、こんばんは。
何だか景気が良いようですね。でも実感がないのはなぜ?明け方の雷にはびっくりしましたね。

さて、こちらは荻原規子さんの最新作です。彼女は『空色勾玉』をはじめとする勾玉シリーズで一躍脚光を浴びました。

あまねく神竜住まう国
荻原規子

平治の乱後、伊豆の地にひとり流された源頼朝は、生きる希望も失いがちだった。そんな彼のもとへ、ある日、意外な客が訪れる。かつて、頼朝の命を不思議な方法でつなぎとめた笛の名手・草十郎と、妻の舞姫・糸世だった。北条の領主に引き渡され、川の中州の小屋でともに暮らし始めた頼朝と草十郎。だが、土地の若者と争った頼朝は、縛り上げられて「大蛇の洞窟」に投げこまれ…?

 敗軍の将の嫡子として、関東の豪族・伊東家のもとに身を寄せていた頼朝が、北条時政の庇護を受けて蛭が小島に流された期間の物語。そもそも、伊東家から北条家への家移りは、伊東家の娘・八重姫との間に子供が出来、しかもその子が男の子だったことから、平家を恐れた伊東家によって殺されそうになった事が原因である。そう書いたのは『曽我物語』で、近年放映された大河ドラマもこの理由を採っている。しかし児童書では、いくらなんでもこの理由は使えないため、伊東家の当主が急死したことから頼朝が「災いを呼ぶ者」として忌まれ「彼の命運を河の主に委ねる」として領地内に大蛇の潜む淵がある北条時政が引き取った、という理由にすり替わっている。ただ、血の気の多い坂東武者達が、危険な存在を自然のなすがままに委ねるということは現実的に考えにくいので、フィクション性が高いとはいえ『曽我物語』の説が濃厚である。

 頼朝の乳母である比企尼の婿である安達盛長が側近として仕えたことや、頼朝が走湯権現に帰依していた史実などを巧みにフィクションに取りこんでおり、将来彼に影響を及ぼすある人物との出会いもさりげなく描かれている。目標を見失っていた頼朝が、ある存在との対決を経て自信を取り戻し、再生するまでの過程を追った成長物語がメインで、ファンタジーの要素が含まれている。その一角を担うのが、著者が10年前に書いた『風神秘抄』で主役を務めた男女二人だ。今回は脇役のポジションであり「必ずしも前作を読んでいなくても楽しめる」と書かれたレビューもあったが、彼等の成長ぶりを見る上でも、やはり前作を読んでからの方が良い。彼等がなぜ頼朝に執着するのか、彼等の力が実際には何なのか、草十郎はなぜあの姫に対して複雑な感情を抱くのか、など、前作を読まないと分からない部分が多々あるからだ。『風神秘抄』は、ある人物の運命が変わることで歴史そのものが変わってゆくダイナミックな部分があったが、本作はそれに比べるとストーリーも地味で、場所も限定的である。ある者との対決も、対決の結果自体はもちろん彼の運命に影響を与えるが、それよりは頼朝が成長するための通過儀礼としての意味合いが強い。ボリュームもさほどなく、タイトルに著者が込めた自然への想いを理解した頼朝の今後の成長物語(あるのならば次作)、そしてこれ以前の物語である『風神秘抄』を繋ぐ挿話のように感じた。


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最終更新日  May 22, 2015 04:12:52 AM
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August 13, 2014
みなさん、こんばんは。お盆で電車が空いています。皆さんも里帰り中でしょうか。私は都内で仕事です。
さて、今日紹介するのは日本のファンタジー小説です。


沈黙の書
乾石智子

 まだコンスル帝国が建国される前の時代。

火の時代、絶望の時代が近づいている。北からの災厄もやってくる。いさかいが起こる。戦がはじまる。荒廃とまやかしの繁栄、欲望と絶望、暴力と殺戮。穏やかな日々は吹きはらわれる。富める者はさらなる富を求め、力を欲する。人々は踏み潰され、善きものは物陰に縮こまる。神々は穢され、理は顧みられることもない


という預言を受け取った預言者ステファヌスが、戦が起こった後の世界を救うために旅に出る。

 預言者に火の時代とされた、小国が群雄割拠して争う、それより少し先の未来にして現在。全ての村人が超人的な力を持っているにもかかわらず、その存在が知られていなかった風森村で、風を操る能力を持つ“風の息子”が生を受ける。超人的な力を持つ風森村の子供達は村から引き離され、そうと自覚せずに戦いの道具にされてしまう。自分がしていることに怖れを抱いた風の息子は、村に戻る途中で長い影の男から「沈黙の書」を渡すよう迫られる。

 この二つの時代が並行して進み、途中で“風の息子”が“長い影の男”から執拗に見せられる神官の息子の生涯が挿入され、三つの時代が並行して進む。この三つ目の物語がいつ頃の時代に属するかは、神官の息子の正体が明かされた時に分かる。第一作・第二作で使われた、登場人物が過去に遡り、自分の前世を追体験するパターンの少しひねった形であり、その生涯とその名前から、既存読者は神官の息子と今までに登場したある人物との繋がりを容易く見つけられる。

 オーリエラント黎明期とあって、凝ったスタイルの魔法は出てこず、「~の魔道師」と名のついた魔道師はただその物体を操る能力を持っているだけである。風森村で子供時代の“風の息子”たちに大人が話す国の成り立ちは、ある動物がまるで旧約聖書の天地創造における神のような役割を果たす。オーリエラントの語源、コンスル帝国成立のいきさつが明らかになる。北からやってくる蛮族は、さながらゲルマン民族の大移動のイメージ。

無垢で汚れなき村(=大人に守られた子供の世界)から戦場(大人の世界)に放り出された主人公・“風の息子”が、戦いの中で自らの使命を悟り、自らの命を賭して最も困難な願いを叶えるために戦うビルドゥングスロマン。竜や巨人など超自然的な存在は登場するが、世界を救うのは圧倒的な力ではなく、極めて一般的な“あるもの”だ。まるで大きな巻物をぱあっと広げたように“あるもの”が次々と世界に広がってゆく様は、アニメ化でもされたらさぞ壮観なシーンになるはず。また作者も、“あるもの”の力を信じているからこういう物語が書けるのだろう。

 今回もやはり読み始めたら途中でやめることが出来ず、一気読み。 


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最終更新日  August 13, 2014 12:11:59 AM
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April 8, 2014
魔道士シリーズの連作短編集です。


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オーリエラントの魔道師たち
Scribe in the Darkness
乾石智子

 既刊長編(『夜の写本師』『魔道師の月』『太陽の石』)にも様々な魔法と魔道士達が登場したが、本篇では一部お馴染みのそれらに加えて、新たな魔法が紹介される。その中で強調されるのは、本シリーズでも何度となく述べられてきた、人間ならぬ力を持ち何でも出来るかわりに、闇や澱みを自らの中に引き込まなければならないという、魔道士のプラスとマイナス面である。闇や澱みを体内に引き込めない魔道士は『魔道師の月』に登場した某魔道士のように、困難から逃げているとされてしまい、優秀とは言えない。人間が成長するためには正論ばかりではやっていけないのと同じである。

 さりとて、マイナス部分を自分のうちに取りこみ、うまく扱うのはどんな熟練した魔道士でも至難の業である。その最たるものが『黒蓮華』だ。復讐者である顔のない魔道士と、復讐される側の家族の一人、という二人によって語られる本作は、復讐者の心理を読者だけが知り、かつ、復讐者の正体だけは読者にも復讐される側の家族にも最後まで明かされないという、サスペンス色の強い作品である。プアダンという人間や動物などの死体の一部を使用する魔法は、使う者の内面をどんどん蝕んでゆく。その蝕まれていく様子が黒い蓮に例えられており、その不気味さの高まりは、復讐される側が感じる恐怖の高まりと相まって、相乗効果を上げている。

 『黒蓮華』は魔道士が行きつくところまで行ってしまったが、『闇を抱く』は、魔女が、そのとば口で立ち止まる術を教えてくれる。虐げられた女性を救うために活躍する女性だけの士組織が登場するが、これも昨今のDVに悩む女性のためのシェルターを彷彿とさせる。ここで魔女が「善意のない魔法を使うのは、自分の良心を体力と一緒に削っていく行為なの。人を呪うことはそんなに簡単なことじゃないわ」と警告を発するが、これが魔を使う者が利点と共に引き受けなければならない業である。またこれは、出来るとなれば際限なく復讐を望む人間への警告でもある。そうはいっても真面目な警告ばかりが述べられているのではなく、軽く見られている女性達が男性達を出し抜くという痛快な面も持っているのでご安心を。

 出し抜くといえば『紐結びの魔道師』『魔道写本師』も、ある種出し抜く話である。後者には第一作で主人公を助けた師匠が登場するので、密かなファンである、という方は是非読んでみて欲しい。

 






最終更新日  May 17, 2014 12:44:20 AM
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April 7, 2014
今日も引き続いて 乾石智子さんのファンタジーです。今度新作も出るとか。楽しみです。


【送料無料】太陽の石 [ 乾石智子 ]楽天ブックス

太陽の石
Legacy of sorcerers
乾石智子

 霧岬の村に住む16歳のデイスは村の外に捨てられていたところを拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。三百年ほど前、魔道師イザーカト九兄弟のひとりリンターが空から降ってきて、地の底に達する穴をうがち、隆起させたというゴルツ山に登ったデイスは、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。金の透かし彫りに、“太陽の石”と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだと直感するデイス。だが、それがゴルツ山に眠る魔道師を目覚めさせることになろうとは…。

 『夜の写本師』『魔道師の月』に続く第三弾『太陽の石』は、ちょうど両者の間の時代を舞台にしている。古代ローマ帝国を模したコンスル帝国が傾き始めた頃とあり、その理由として地位を高めんとする魔道師と、権力を得んとする者との癒着があった事が作品中で紹介されている。この辺りも現実世界を彷彿とさせてなかなかに面白い。

 魔道師が登場する本シリーズは、主人公となった少年の成長が大きなテーマであるが、もう一つのテーマは愛だ。『魔道師の月』こそ人間の欲望という普遍的なテーマを扱っていたが、『夜の写本師』は男女間の愛、『太陽の石』は兄弟間の愛が取り上げられる。もちろん、愛情が深ければ深いほど、その逆のベクトルである憎しみの感情も強いものとなり、愛することができたかもしれない対象から憎しみをぶつけられた主人公が葛藤する所がこの作品のみどころである。また、二作の悪役に据えられた人物は、いずれも愛情を渇望しながら得られなかったことが憎しみを抱く原因となっており、それ故に単純な悪役としては描かれておらず、強い印象を残す。

 さて、本作の解説は翻訳家の金原瑞人さんが担当しているが、日本のファンタジー界の歴史までさらっとおさらいできる優れ物である。その中で彼が誉めていたのが彼女の文章力だ。「文章力という恥ずかしい言葉を使ったのは初めてだが、この言葉意外に適当な言葉が見つからない」と書いている。
私も全く同感で、文章を読んでいると、後から後からイメージが頭の中に湧いてきて、どんどん物語に引きずり込まれていく。表現力なのかテンポなのかリズムなのか、おそらく細かく見ればあるだろう齟齬もふっ飛ばして先を読みたくなる勢いがある。その武器をどんどん磨いて、私たちを未だ見ぬ世界に連れ出して欲しい。







最終更新日  April 7, 2014 12:22:18 AM
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April 6, 2014
みなさん、こんにちは。良い天気ですね。もう桜は散ってしまったかな?今週あたり入学式や始業式ですね。

今回紹介するのは、昨日紹介したファンタジーの第二弾です。主人公はそれぞれ異なりますが同じ世界を舞台にしています。


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魔道師の月
Sorcerer’s Moon
乾石智子


 『夜の写本師』で親友の妹を救えなかった魔道士キアルスは、コンスル帝国にやってくるなり、ある男と間違えられて捕まる。その男とは、皇帝の甥ガウザスに仕える大地の魔道師レイサンダ―。彼は皇帝に持ち込まれた暗樹に怯えて姿を消していた。若き二人の魔道師は、四百年以上前に自らの命をかけて暗樹と戦った男の存在を知り、闇と戦う決意を固める。

 だいぶ物語世界の事が明らかになってきたが、コンスル帝国のモデルはどうやら古代ローマ帝国のようだ。今回初めて地図を見たが、帝国の位置が地中海の島々と似ている。また、冒頭に登場する、島に引きこもっている皇帝といえば、二代目皇帝ティベリウス、暗樹に操られて暴君と化す次の皇帝は、ティベリウスの次の皇帝カリギュラが浮かぶ。更に皇帝に男色の気があり闘技場がありまとう衣装の名称も似ているとくれば間違いない。

 シリーズ第二作では、第一作で脇役だったキアルスが主人公。第一作でも用いられたが、登場人物が過去に遡り、自分の前世を追体験する件が登場し、コンスル帝国を中心とした物語世界の歴史が少し明かされる。今回の“悪役”は人ではなく物―全ての望みを叶えるが破滅をもたらす暗樹―だ。暗樹は人の悪意につけいり、その人が悪事を行うという運びになっており、暗樹が象徴するものは、人間の中に潜んでいる悪意や憎悪などマイナスの要素を持つ感情だ。

 闇を持たないレイサンダーが無垢なる存在として『聖杯伝説』のギャラ八ッドよろしく、迷いなくヒーローと指名されるのかと思いきや、“闇を持たない”故の弱点が用意されていた。レイサンダ―の長兄が彼にこう言う。「おまえにはふそれらを引き受ける土台の闇がほとんどない。魔道師のくせに。土台の闇は自分で作りあげるものなのだ。壁を乗り越えるために泥にまみれ、雨風にうたれ、火傷をし、雷で身体を満たし、光で目を焼き、幾度となく溺れなければ、闇は根を張ってくれぬ。傷つかずに闇を得ることはない。おまえにはその根性がない、絶えようとする気力がない、我慢する力がない…」挫折すればすぐやる気をなくしてしまう現代若年層に彼を擬しているようだ。彼と対照的なキャラクターに設定されているのがキアルスで、トラブルにぶつかりながらも強い彼の姿を通して、レイサンダ―が真のヒーローと成長していく過程が描かれる。一方キアランも過去の追体験で自分の年齢よりも遥かにハードな体験を背負ったために急激に成長していく。本作は2人のビルドゥングスロマンでもあるのだ。
異世界を舞台としながらも、現代に通じるテーマを提示しているファンタジーシリーズでの、若者達の活躍が本当に楽しみである。







最終更新日  April 24, 2016 09:26:28 AM
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April 5, 2014
今日などは歓迎会があったのか新入社員が夜遅くまで歩いている姿を見ました。

さて、こちらは日本のファンタジーです。


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夜の写本師
Scribe of Sorcery
乾石智子

 右手に月石、左手に黒曜石、そして口に真珠を含んで生まれてきた少年カリュドゥは、生みの親から遠ざけられ女魔道士に育てられる。ところが魔道士候補の少女を匿っていたことがばれ、育ての親は大魔道士に殺されてしまう。復讐を誓うカリュドウは復讐を誓うが…。

 生まれた時から他とは違ったものを受け継いでいるが、幼い頃には何ら能力を発揮するところがない。カリュドウはファンタジーの主人公の王道的なキャラクター設定である。ここから何らかの試練を経て秘められた能力が一気に開花し、一直線に目的達成に向かうか、或いは回り道をしながら同じ所に辿りつくというパターンが考えられるが、断然面白いのは紆余曲折のある後者であり、本書もそちらを採っている。魔道士に育てられながら自分にはその才能がないことにコンプレックスを抱いていたカリュドウが、才能がない故に大魔道士から見過ごされ、魔力ではかなわないので全く別の能力を身につけていくという流れも、その紆余曲折が絡んでいるからこそ自然に見える。まあ逆に、その紆余曲折が“前半もたついている”という評価にもなっているようだ。但し、当初からシリーズ化の予定があったのかどうか定かではないため、第一作であれもこれもと作品世界や登場人物の説明を説明しておく必要があったのではないか。

 カリュドウが自分の前世を追体験するという形で、三人の魔女の運命が提示される。海と月と闇の魔法を持つ第一の魔女が発した呪いによって、第二、第三の魔女は必ず大魔道士と会う。大魔道士は相手を倒した瞬間から次の転生した相手に狙われる運命を背負う。第一の魔女は大魔道士に愛情を抱いており、死の間際に裏切られた。その恨みの凄まじさがこの呪いに現れているのかと思ったが、本当に憎いならば相手に永遠に会わない呪いも発する事が出来たはずだ。それなのにそうしなかったのは、勿論復讐心もあっただろうが、彼に対する執着もあったのではないか。魔道士に執着を残していた第一の魔女の記憶をそのまま受け継いでしまったように、第二の魔女も彼に惹きつけられ、第三の魔女は自ら魔道士を引き寄せるような事をしている。現実の男女間に生じる、愛憎半ばする感情と重ね合わせてみると、なかなかに面白い。

 最近のファンタジーやミステリーには、犯罪を犯した側に対する情状酌量の余地を残す傾向があるが、本作でも三代にわたる魔女達が残酷な殺され方をしていった様を描いた後に、大魔道士側がこのような行動を取るようになったそもそもの事情を明かしている。「魔力も制御を誤れば恐ろしい事になる」体験を経て抑制を学んだ主人公と、相手の魔力を根こそぎ奪ってしまおうとする大魔道士の魔法はその成長過程も含めて対照的に描かれている。生みの親から愛されなかったという共通の過去を持ちながら、大魔道士の方に抑制を超えてしまう愛情への渇望が根底にあったという事であり、物語のラストには一つの救いが提示されている。間違えてしまったそもそもの始まりを変えれば、人の運命はいくらでも変わるし、一度破れた恋愛も別の結果をもたらすであろう。 







最終更新日  December 31, 2018 10:53:20 AM
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