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KAY.T
日常雑感…ありのままの自分を語ります
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どこでもない所の真ん中で2 ナラボー平原(オーストラリア) 1995年3月
果てしなく続くハイウェイの向こうに青く澄み切った空が広がっている。 その大空と僕がいるこの大地を仕切っているのは一本の地平線だった。 地平線は真っ直ぐなものと信じていたが、なぜかここでは緩やかな円弧(カーブ)を描いているように見える。 ぐるりと辺りを見渡せば、360度地平線が途切れることなくつながっている。 確かにこの風景の中に余計なものは一切なかった。 ナラボー平原(植物の生えない西端) これより96キロ動物(ラクダ・ウォンバット・カンガルーに注意 ペダルを回転させるごとにタイヤがうなる。 熱く焼けたアスファルトを転がるタイヤのうめき声のようでもある。 一本の道、この道はどこに続いていると言うのか? 丸一日走り続けても僕の目に映る景色に変わりはない。 地球という惑星の、どこでもないところの真中に今僕はいる。 それだけが唯一確かな事実だった。 木も生えない乾いた砂漠のハイウェイを、重い荷物を満載した自転車で一人走っている変わり者、それが僕だ。 90マイル(144キロ)直線道路(臨時滑走路にもなる) アウトバック(ブッシュ)でのキャンプ 西オーストラリア、ノースマンの町を出て南オーストラリア、セデューナまでの約1,200キロの間、町らしい町は存在しない。 エアーズハイウェイには100~200キロ間隔でロードハウスと呼ばれる、モーテル、ガスステイション、レストラン、バーが一緒になった施設が点在する。 出発前にスーパーで缶詰(果物や魚・肉など)やドライフルーツ、インスタントラーメンなどの食糧をしこたま買い込み、12リットルの水をポリタンクに入れた。 ロードハウスで手に入るもの(種類が限られているし値段も割高)はそこで購入すればいい。 水は買わなければならない場合もあったし、海沿いのロードハウスでは海水を淡水化した水が無料で手に入るのだが、塩味が聞いていてそのままでは飲みづらい。 場所によっては雨水を貯めた貯水タンクから手に入れることもできた。 水に制限あり(水筒など用意せよ) 雨水をためるための貯水タンク 気温が40度を越えれば呼吸するだけで肺が焼けつきそうになる。 かいた汗さえその場で蒸発していくようである。 逆にこれだけ乾燥していれば、何日かシャワーを浴びなくても肌がべたつかずさほど不快にもならない。 3月のナラボー平原は雨季が明ける頃で、所々ハイウェイの脇に池や湖ができていたりする。 心配していたほどの熱波(50度を越えることもある)に見舞われることはなかったが、風には常に悩まされた。 向かい風が吹けば時速10キロを下回り、なかなか距離を伸ばせないし、精神的なダメージも大きい。 横風で真っ直ぐ走れなくなるかと思えば、ロードトレインと呼ばれる連結された大型トレイラーが猛烈なスピードで走り抜けていく。 前からロ-ドトレインが来るのが見えたら自転車を一度停めて地面に倒し、自分自身も地面に伏せて風圧で飛ばされないようにするのだが、後ろからクラクションを鳴らしていきなり追い抜こうとするヤツは恐ろしい。 彼らが引き起こす竜巻のような突風で自転車はロードトレインの車両に吸い込まれそうになり転倒する。 あるいは対向車線を走るロードトレインの後部車両だけが横風のあおりを受けてセンターラインを割ってくることもしばしば。 彼らはハイウェイのモンスター(怪物)とも呼ぶべき、ナラボーの主なのだ。 2両連結のロードトレイン 木が生えている所はまだありがたい 夜には満天の星を拝むこともできる。 満月の晩、月明りだけで本が読めるなんて文明人には信じがたいことだ。 ネオンサインや街灯のある町中では月がどれだけ明るいかなんて決して分からないもの。 テントのベンチレーション(通気孔)から南十字星を見つめているといくつか流れ星も見えた。 紅茶を飲みながらくつろいでいると『ドン!ドン!ノシ!ノシ!』という大地を揺るがす音。 アラスカでは熊に怯えっぱなしだったが、オーストラリアでは人間以外に危険な動物はいないはず。 どうやらカンガルーが月明りに誘われてテントの周りで運動会をしているらしい。 早朝のハイウェイでも時々見るが、運悪くロードトレインにはねられて道端に転がっているヤツもここではよくお目にかかる。 白骨化したカンガルーもいれば、死後数日、耐えられないほどの異臭を放ち、遠くから見れば黒いかたまりとなったハエの群れにたかられているカンガルーもいる。 生と死が奇妙に交錯する場、それもまたナラボーなのだ。 白骨化したカンガルー 路肩をのそのそしていたトカゲ 大オーストラリア湾に朝の光が映える ニュージーランド一周~オーストラリア横断自転車旅行
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