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カテゴリ:日常
【風の歌を聴け】
街がクリスマスで浮かれている間にも、僕には走る道があった。 大陸からやってくる冷たい北西の季節風に吹かれるまま、ウインドブレイカーに包まれた僕の細身の体は二本の脚に支えられ、大地を縦横無尽に疾駆するようにつくられていた。少なくとも僕にはそう感じられた。 獣のように荒々しく地面を蹴り、大空を羽ばたく鳥のように華麗に宙を舞う。僕の中の野性が目を覚ます瞬間、僕の脚は鋭利な刃物のごとく、研ぎ澄まされた空気の流れを切り裂いていく。 全てがこの一瞬で砕け散ってしまうほどの勢いが、僕の理性や感情を超越した独自の世界を創りあげていた。 気がつけば、いつもそこには風が吹いていた。 (…続きを読む) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.12.25 01:08:53
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