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カテゴリ:正調里山「西会津」
約一時間程度のドライヴでしたが、途中、アキコさんは コンビニに車を停めました。 「ここが最後のコンビニです。何か必要なものがあれば、 買っておいた方がいいですよ」というわけです。 うちの彼は、タバコを買い置きしておこうと店の中に。 コンビニを出て少し走ると「ここから先は信号が無いので、 山形屋さんまでノンストップで参りま~す!」とのこと。 あたりの景色は、ますます深山の様相を呈して、私たちは、 嬉しくて、嬉しくて、大はしゃぎ! アキコさんご夫婦は、もとはといえば、東京で学校の 先生をしていたお二人です。 アキコさんが美術、ダンナさまは技術家庭を教えていたという。 『もともと二人とも、モノを作るのが好きなんです』 自ら「キノコのママ」と仰るだけあって、五年目になる キノコ事業も順調らしい。米、野菜は当然のこと自家製で、 『早く本物のお百姓さんになるのが夢!』と目を輝かす。 『同居のお義父さん、お義母さんは、一番の師匠です! 保存食や郷土料理一つとっても野菜の切り方、下ごしらえ と、知らない事だらけなのに‥ ましてや、百姓とはよく言ったもので、田んぼや畑は、 本当に「百」の、やる事があるんですよ。 天候の見方から道具の手入れまで入れると、もっと 多いかもしれません。私は、まだその10分の1位かなー?』 う~む、里山に暮らすということは、そういうことなんだよねー。 三坪の家庭菜園さえ持て余し、小作人を募集しようかなどと考える 「里山暮らしゴッコ」の私たちは、小さくなり、うなだれる‥。 コンビニはむろんのこと、自動販売機、信号、看板も、 灯かりが点るものは何も無く、夜は本当の暗闇が里山を覆う。 野鳥や虫の声以外、物音がしない本物の静けさは、今では 入手が困難な、一番の贅沢な空間のように思えてくる。 必要なものは、なるべく自分で作ろうという気概と実力が 無ければ、ここでの暮らしは無理だろう。 「アキコさん」の家は、二百年前くらいの古民家だったのを 彼女が結婚する前に建て替えてしまったそうだ。 『私がいたら、もっと古民家の雰囲気を残しつつ、 リニューアルしたと思うので、それがちょっと残念‥』 家の中は、床暖房完備、水まわりも最新設備で快適そう。 それでも前の家からあるという、神棚や欄間など細工物は 残してあり、これだけの仕事が出来る細工師や職人さんは、 今の時代となっては、もう居ないのではないだろうか。 西会津の里山には、 長い時間、脈々と受け継がれ、培われてきた「人々の暮らし」と、 人間的な感性が、ここにも確かに、ゆるぎなく息づいていた‥。 山形屋さん宅の茶の間 ご飯が旨くて驚いた! 川から水を引くのでなく、 裏山の湧き水を、そのまま田んぼに使うからだそう。 『米の旨さは、やっぱり水だぁ。新米出来たら送ってやっからー』 お母ちゃんとの嬉しい約束を、お土産に持ち帰りました。 [次回に続く] ※今日の写真は、アキコさんの家の前にある「洗濯物干し」 お義父さんが、年々腰が曲がるお義母さんの身長に合わせて ときどき作り変えているという話が良い。 薪小屋の扉は、アキコさんの夫が最近作ったとの由。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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