ロコレディ流CSV(共有価値創造)経営とは???
街おこしには、「よそ者、若者、馬鹿者が必要。」とよく言われるが、常総市水海道にてこれを一手に引き受け、シンボル的存在になっている人物がいる。株式会社ロコレディ代表取締役羽富都史彰氏その人である。彼は、茨城弁を自在に操るが名古屋人(よそ者)であり、昨年還暦を迎えてもなお未来志向(若者)であり、時間が止まったかのような街に新たな物語を動かすトリックスター(馬鹿者)でもある。水海道のユニークな街おこしを牽引常総市の一大行事「常総きぬ川花火大会」では、市の職員でもない彼が企画から当日の運営統括、司会にと大車輪の活躍である。彼が企画にかかわるこの催しには、メッセージ花火、写真コンテスト、浴衣で登壇とユニークな参加型企画が盛りだくさんで、約130,000人の観覧者数もさることながら、「来てよかった!」とのその満足度は他の追随を許さない。その他、千姫祭など昔ながらの祭事でもその中心でタクトを振うが、羽富氏の真骨頂は独自に考案したユニークな街おこしにある。「茨城弁講座」、「ドールハウス教室」など、そしてその最たるものが、「懐かシネマ」であり、それは既に水海道に欠かせない風物詩になっている。株式会社ロコレディは、県内5カ所に店舗を構える婦人服の専門店チェーンであり、本店をネコ一匹通らない水海道駅前商店街に構えている。その真向かいにはかつて映画館「宝来館」があった。昭和の高度成長期、そこは地元住民にとって欠かせない憩いの場であった。昭和の終わり、映画市場の衰退とともに閉館に至ったが、今でも多くのシニア世代が当時を懐かしんでいる。そこで立ち上がったのが羽富氏であり、東奔西走しながら、元宝来館オーナーであった東郷氏や看板絵師の井桁氏を口説き落とし、2014年その跡地にて郷愁溢れる野外映画会を実現させた。(2020年は、コロナ禍の影響で中止)以来毎年の恒例行事となった。星空の下、プロジェクターから小さなスクリーンに映し出された古い名画を地元住民がパイプ椅子に座って観覧する様子は、いささかみすぼらしくも見えなくもないが、どこかそれ自体が幻想的で時代を巻き戻されたような感覚に襲われる。時にはそぼ降る雨に少し凍えながらも、席を立つこともなく、感慨深く鑑賞する来場客。その中には、羽富氏を見つけては、涙を浮かべ、「ありがとう。」と堅い握手をしてくる者さえいる。この手作りな催しは、もはや住民たちの間に深く浸透し、その心に灯を点しているように思えた。第4回目の「経営革新計画」が、県知事より認証された。弊社のビジネスモデルを改善して、改善して、また微調整する。微調整する。1ミリ、2ミリの微調整です。・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロコレディ流CSVで、ファンを増大!小さな小売業のオヤジさんが面白い活動をしながら、会社経営していると耳にした。早速、突撃攻撃(口劇)。独特なボランテイァ活動を継続的におこなっている。社長である羽富氏は、このような街おこしを慈善事業や道楽で行っているわけではない。この街おこしが巡り巡って当社の経営に恩恵をもたらすと強い信念を持って取り組んでいる。経営学にはCSVという概念がある。Creative Shared Valueの略で、社会貢献が企業の利益にもなる仕組みを構築することを指しており、例えばトヨタ自動車は高齢者の「あんしん運転見守りサービス」を行うことで、不幸な事故を削減すると同時に新たな需要を開拓することができる。羽富社長は当社の街おこしもCSVの一形態であると考えている。実際、街おこしを通じて、ロコレディという会社は存在感を増し、地元では大人から子ども、ブラジルからの移住者まで誰にも知られるようになった。(彼は子供のような目で、ありがとうをオブリガードとポルトガル語で、声をかける。)どんな広告を打っても響かなかったにもかかわらず、街おこしの数に比例するように新規客が増える現象が起こった。オブリガード常総市は、日系ブラジル人が多い街でもある。そこに、ヒントがあり、日系ブラジル人にも、気軽に、声をかける。人見知りをしにのが、彼の特徴だ。しかも新規客は端からロイヤルティの高いファンとして来店するため、利益貢献度が高い。ご承知の通り、水海道は2015年9月に鬼怒川の氾濫で多大な被害に遭った地域だ。甚大な被害を負ったが、CSV的発想によりそれを乗り越えることができた。いやそれどころか、その災害さえ力に変えっていった。復興に向けた羽富社長の陣頭指揮は、ロコレディを益々シンボリックな存在にした。これこそBCP(事業継続計画)のあるべき姿だ。オリジナリティの源泉、人にフォーカス!そして、今回4回目の経営革新計画では、「系にフォーカス」をテーマーとした。羽富社長のオリジナリティは、CSVに留まらない。通常ターゲットを絞り込むところ、当社は2世代を対象に品揃えする。このことは、親子で来店など新たな顧客の流れを作った。店内には寛ぎのスペースがそこここにあり、さながらサロンのようだが、これもより多くの人を呼び寄せる仕掛けだ。男性すら気兼ねなく入店できるほどだ。このような羽富社長独特の発想は、すべて「人にフォーカス」から来ている。お客様一人一人と真正面から向き合うことで、本当は何が求めているのかが見えてくる。それを叶えるのだから、一見非効率に見えるが、羽富社長の戦略は、着実に収益につながっている。お客様を深く慮ること、ヒット商品よりフィット商品が追求することが大切なのだと言う。人にフォーカス」は、人事制度も同じである。ーと彼は言う。昨今、親の介護など働きたくても働けない事情を抱える人が増えているが、当社のように女性スタッフが多いと特に深刻だ。このことを憂いた羽富社長は、苦心を重ね、オーダー・メイド型雇用人事制度というスタッフが個々の事情に合わせ自由に働ける環境を整えた。外資系生命保険や、子どの向けの学習塾チェーンからヒントを得たという。当社は、この制度もあって離職率が極めて少ない。長く務めるスタッフがいることで、そこに顧客が就き、優良顧客となり、安定的な売上を創る好循環が生まれた。勤続年数50年、40年、30年、20年以上勤務者が多い。そのスタッフたちの人脈もお店の経営につながると考えている。ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)をスタッフ生涯価値に変換している。人から系へ、次なるロコレディの姿薄々お気づきだと思うが、羽富社長は言葉に深くこだわっている。羽富社長との議論は、端から見れば、言葉遊びのようだろう。羽富社長の希有な右脳から溢れ出る素材を筆者の左脳が味付けすることで、新しい概念はそれに相応しい名称を得て昇華し、向かうべき方向性が定まる。「商売」を「笑(しょう)倍(ばい)」とし、集客を「衆客(しゅうきゃく)」や「就客(しゅうきゃく)」、「競争」は「協奏(きょうそう)」とすることで、他社とは一線を画す経営スタイルが形作られる。消化ではなく、「昇華(しょうか)」通常であれば、固体は液体を経て、気体になるが、羽富氏は、「直接、気体になる。」と言う。ロコレディの次なるテーマは、「系」と名付けられた。現在、2つの問題が当社の将来に暗い陰を落としている。一つは、ワールド、オンワード、東京スタイル等の老舗の卸し事業縮小に見られるアパレル業界全体の衰退である。二つ目は、上得意客の老齢化である。こちらの方が重篤であり、近い将来、古くから当社を支えてくれた優良顧客を大量に失うことになり、CSVの効果だけでは追いつかなくなる。かと言って、全くの新規開拓は至難の業である。そこで、辿り着いた結論が「系」である。お客様一人一人とのお付き合いを深めていくと、その家族や友人、趣味仲間などにつながり、新たな関係作りができることがある。「系」とはこのようなネットワークの広がりを指しており、羽富社長はここに活路を見出そうと考えた。これは決して口コミなど受け身の概念ではない。能動的な関係の深耕であり、永久に顧客を確保し続けられる魔法のような戦略である。これは、ひょっとしたらひょっとするかもしれない。創業したい女性にフォーカスすることで、新たなビジネスモデルができる可能性が高まる。-彼は言う。そして、一番の宝物は、「婿養子であることである。」と言う。座右の銘は、「NO Rain NO Rainbow」-と。・・・・・・・・・・・この文章は、中小企業診断士吉成先生のコメントを軸にされに「系にフォーカスを深堀りした文章」になっております。#ロコレディ#アパレル#茨城県#csv手法経営#経営革新計画