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テーマ:感性を磨こう!(234)
カテゴリ:ビジネス・経済・政治
海を越えた米国で、
トヨタ・バッシングがかまびすしくなっています。 僕は前にも日記に書いたとおり、 トヨタの品質の高さには一日の長があり、 今回の問題の発端となった急加速問題は、 基本設計に間違いはなかったと考えています。 折しも今週号の日経ビジネス誌に、 僕の考えを補強してくれる米国人評論家の記事が出ていました。 それによると、 コンピュータによる燃料噴射の電子制御に 問題があったとされている急加速問題。 そもそもその関連性はまったく証明されていないと。 そしてこの種のトラブルはトヨタ車に限ったことではなく、 他メーカーの車でも起きているというのです。 燃料電子制御の基本設計には「フェールセーフ」、 つまりトラブルが生じたら常に安全な方向へ動作する という思想が反映されています。 具体的には、 電子制御を司る心臓部分・CPUは、基板に必ず2つをセット。 片方が壊れてしまっても、もう片方がきちんとバックアップします。 万一、両方が壊れてしまったら、 燃料がエンジンに供給されない仕組みになっており、 否が応でも車は急加速どころか必ず停止する方に動きます。 だから今回、米国の当局が疑っている事象は 本来ならありえないこと。 1つの小さな事件があれよあれよという間に 尾ひれはひれがついてエスカレートしていくのは、 最近よく見聞きします。 日本でも数年前に不二家の品質問題がありました。 元はと言えば、賞味期限切れの牛乳を使っていたことが発覚。 あーだこーだしているうちにまったく異なる工場の チョコレート製造までとやかく言われる始末で、 一気に会社存亡の危機に立たされました。 なぜこういうことになってしまったのでしょう。 なぜトヨタは品質を極端に落としたわけでもないのに、 ここまで叩かれてしまうのでしょう。 1つの解として 「感性が磨かれていなかった」ということを感じます。 最初の事故が起きたとき、 トヨタ社内ではその内容が事細かく情報共有されたのは事実のようです。 そういう意味では、大企業にありそうな「情報もみ消し」は、 ことトヨタでは起きていない。むしろ礼賛すべきことです。 しかし、その情報を技術部門に照会し、 「基本設計に誤りはない」という結論を得て、 そのままうやむやになったのがまずい。 彼の地ではド素人ではあっても「燃料系に不備が?」 という声が起きているわけで、 それに真摯に説明し、 トヨタの開発体制・生産体制を余すところなく情報開示していれば、 問題はここまで広がらなかったのかもしれません。 ただ、そこまでのシナリオを察知できたかどうか。 これが「感性がなかった」と思われるゆえんです。 これも日経ビジネス誌ネタですが、 2年ほど前にフォードでも問題が起きたことがあったそうです。 この時は品質問題ではなく、 フォードのある車種のファンサイトで、 偽造部品が売買されたことを察知したフォード社の法務部門が、 当初、ろくに説明もせずに サイトの管理人にウェブサイトの閉鎖と損害賠償を請求したことに 端を発します。 怒った管理人がフォード社と対決する旨をウェブで表明したとたん、 同調する市民がこぞってバッシングを始め、 一夜のうちにフォードは悪名高い会社になってしまった。 ところがここでフォード社のコミュニティ部門のマネジャーが 機転を利かせます。 彼は一晩中、ツイッターにアクセスし、 フォードに対して憤っているつぶやきを見つけると、 すぐさまそのユーザーに対して、 「事態の把握と収拾に向けて、法務部門と交渉中。 この内容をリツイート(他ユーザーへ転送の意)して欲しい」 と発信したんだそうです。その数、一晩で140件。 この行動によって、翌日には、 フォードに対する風当たりを相当下げることに成功したんだそうです。 つまりフォード社のこのマネジャーは、 炎上しはじめたブログやツイッターを発見して、 すぐにその先の姿をイメージできたんでしょうね。 良いサービスをしようが、品質の高い製品を作ろうが、 要はやっぱり「感性」なんです。 トヨタ自動車は、良い車を安く作ることに定評がありました。 ただ、じゃあ感性はどうか。 ここが次の攻略すべき課題だ、 ということがわかっただけでも、儲けものですね。 やっぱりトヨタは強いのです。 「感性」のマーケティング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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