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カテゴリ:コーチング・コミュニケーション
経営の神様と言われる松下幸之助氏は、
部下が提案や相談に訪れた際に、答えを言わずにとことんまで話を聞き、 分からないところは質問をした上で、最後に必ずこう問いかけたと言うことです。 「ほんで、それはどれくらい儲かるんや?」 と。 一切、自分から結論は言わない。答えをすべて部下側に考えさせる。 部下の方にしてみれば、その場では答えが見つからなくとも、 ずーっと幸之助翁の質問は頭の中に残っていて、 常に答えを出そうと回転している。 そんな状況ですから、常に斬新なアイデアが湧き出る土壌があった、 ということです。 賢人だからゆえ、その問いかけはシンプルかつ重い言葉なのです。 コーチングを学ぶと、「コーチは答えを言ってはいけない」ということを 嫌というほど聞かされます。 答えを言った瞬間、相手は考えることを止めてしまう。 せっかくのアイデアは水面下に深く沈み込み、 水上に出てくるチャンスを逃してしまう。 質問をすることで、相手に考える余地を与え、 自分ひとりでは編み出せなかった、新しい視点の答えを編み出す素地ができる。 そういうカラクリです。 そして究極の質問。 「…で?」 これがすべてのプロセスのスタートになります。 相談者やクライアントが、ゴールや現状、困っていること、難しいことを 滔々と述べ、ひととおり聞き取った段階で、 「で?」とひと言返す。 これだけで、相手は必死で次の答えを探し出す。 何か良いことはないか、何かひらめくものはないか。 もう必死です。そしてそのうちの何回かは、これまで考えもしなかった 突拍子もない答えが出てくる。意外にそれが本当の答えだったりします。 この質問法は、マイ・コーチに教えてもらいました。 今、部下200名弱と4回目の個人面談を開始しているのですが、 この「…で?」という問いかけ、できそうでなかなかできません。 知らず知らずのうちに、答えをしゃべってしまっている自分に気づきます。 いけない、いけないと思いつつ、ごくたまーに 「…で?」 と繰り出すときがあります。 その時に限って、相手は目をパチクリし、次に「で、ですねぇ……」と つぶやきながら、必死で答えを探そうとする態度に出ます。 この瞬間は、真剣そのもの。 沈黙の中で、新しい視点の答えが出る瞬間を、ごくたまにですが 味わっています。
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