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Jun 28, 2010
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カテゴリ:伊庭求馬無頼剣
 

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「旦那、もっと嬉しそうに飲まれたらどうです。無愛想に座っておられては、

こちとらも気が滅入やすぜ」 「済まぬな」

「済まぬ、済まぬの一本槍だ。もっと違った言葉はありゃせんか」

「済まぬ」 「何度言ってもこれだもの」 猪の吉が閉口している。

 そんな二人のやり取りを眺め、糸路が微笑んでいる。

「この隠れ家を借りて三ヶ月経つの、そろそろ移り住む頃じゃの」

 求馬が乾いた声で猪の吉に声をかけた。

「そうですね、あっしも同感です」 「直ぐに移るか?」

「この家からどちらに移ると申されます?」 糸路が真顔で訊いた。

「わしと猪の吉が後顧の憂いなく動くには、そなたにはを安全な場所に移って

もらう必要がある」 「・・・」 それは糸路に分るが悲しかった。

「そちの身を心配しながら讃岐守と闘うは苦痛じゃ。今後は更に烈しくなろう」

 糸路を諭し、猪の吉に尋ねた。

「江戸の近郊に適当な隠れ家はないか」

「格好な場所の目星はございやす」  猪の吉がおおむ返しに答えた。

「ご一緒は叶えませぬか?」 糸路の顔が真剣に見える。

「以前にも申したが、わしは女子を不幸とする宿縁をもっておる。そちを巻き込

むことはわしの不幸、万一、お里の二の舞が起こったら、わしは何にすがって

生きて行くのじゃ」 求馬の言葉に糸路は声を失った。

「奥方、旦那の言われる通りです、判ってやっておくんなせえ」

「女とは悲しい生き物、なんのお手伝いも叶わぬ身が悔しゅうございます」

「長い間ではない、讃岐守を倒すまでじゃ」

 糸路は求馬の眸子の奥に深い愛情をみつけ無言で肯いた。

 命懸けで闘いを為さろうとされる旦那様に、これ以上のご負担をおかけしては

いけない。糸路は悲しみの底で悟ったのだ。

「判ってくれたの」 求馬が厳しい顔つきをゆるめ糸路を見つめた。

 こうして糸路は江戸から去った。

 求馬の白面の顔が昔日にもどってり、冴えざえとした双眸に冷たい光を宿し、

痩身には鬼気迫る気配を漲らせている。猪の吉がそんな変化を見つけた。

 矢張り公儀隠密の組頭だけあったお人だ、敵に廻したら震えが止まらぬな。

猪の吉は求馬の秘剣「逆飛燕流」の冴えた技を思い浮かべていた。求馬の秘

剣、逆飛燕流とはいかなる技か、正眼に構え徐々に左下段と構えを移し、対手

の仕掛けを待って一気に右胸から左首筋にかけ斬りあげ、刃を宙で素早く旋回

させ新たな敵の頭蓋骨を唐竹割に斬り裂く飛燕の技であった。

 一人よく二人を制する秘剣の舞で、それはまさに豪剣と呼ぶに相応しく受け

太刀をも斬り割る凄まじさを兼ねたものであった。

 これは求馬が血の滲む修行の末に会得した秘剣で、立ち会った者は燕が

地面すれすれに飛び、獲物を捕らえ反転する素早い動きに似ていると評し、

求馬の剣を誰言うともなく逆飛燕流と名付けるようになった。


                    ( 挑発)

 江戸城の御用部屋で堀井讃岐守を上座とし、老中職の閣僚が雑談を交わし

ている。 「松平楽翁様、おなりにございます」

 長廊下より取次ぎの者の声がした。

「ご免」 楽翁が姿を見せた。髷も眉も白髪となり銀色に光らせた楽翁が往年の

気迫を見せている。

「これは翁殿、お久しぶりにござる」 讃岐守が野太い声をかけた。

「ご老中首座のご貴殿もご老職の方々も、ご壮健で結構至極」

 温顔をほころばし下座に腰を据えた楽翁が一座を見廻した。

「ご隠居された貴方様が登城とは、なにかございましたか?」

 讃岐守が太腿を扇子で軽くたたき用向きを訊いた。

「本日は上様のご機嫌伺いにござる。お元気なご尊顔を拝し大いに満足」

 楽翁は讃岐守に温顔をみせ用件を語り、

「近頃、ご城下が色々と騒がしいと聞くが、なんぞござったか?」

 さりげない素振りで訊ねた。老中の牧野正紀が浮かぬ顔つきで語った。

「奧医師が何者かに暗殺され、いまだに下手人は判らずじまい。更に毒味役

までが失踪いたし、城内も色々と心配事が多うござる」

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Last updated  Jun 28, 2010 11:19:34 AM
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