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2023年01月04日
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カテゴリ:介護と看取り
​「会って欲しい猫がいる」
12月28日愛護センターから連絡が入る。
毎年、仕事納めの恒例だから
今年も来るな…覚悟はしていた。

衰弱した「コノミ」という老猫。


若い頃はさぞかし
フワフワとした美しい毛並みで
高貴なひとだったんだろう…

若い頃はさぞかし
力強い瞳で
見る人を魅了してきたひとだろう…

高貴な毛並みは
バサバサで毛玉だらけになり、
自慢の瞳は、脱水でくぼみ
抵抗する気力すら感じれなかった。
「もう好きにすれば良い!」
と、言わんばかりだった。

​​​

看取りしか残されてない、
看取るためだけのレスキュー。
コノミは、保護家の隣棟、
療養の家(旧・看取りの家)へ入居した。

症状からして腎不全からの衰弱だろうな…

「死」は避けられないと
分かってはいながらも、

何もしてあげれないと
分かってはいながらも、

まだまだ、あがいてみたいと思った。

私が…そう願った。



コノミは、これ以上生きることは
望んでいなかった。

目の前の時間を必死に生きている…
今を生きることに精一杯だった。

でも…
あがいてみたかった

最期のときまで
あがいてみたかった。

​「生きたい!」​
「意思」というものはときに、
医学では証明できない
とてつもない力を発揮する。
それが「奇跡」なのかもしれない…

だからコノミも…?
もしかしたら…?
わずかな希望に賭けてみたい!
病院へ連れて行った。
​​​


歩行にも違和感があり、
「まだ何か出来る事があるのでは?」
こんなに弱ってる体なのに
採血して血液検査を望んでしまったが…

​腎不全末期​

わずかな希望は打ち消された。



レントゲン写真を見て驚愕した。

右の大腿骨は腸骨に刺さるように固まり、
左の大腿骨は外れたまま固まっていた。

おそらく交通事故だけど、
昨日今日の交通事故ではない。

痛みを抱えたまま
どれほどの時間を
戦ってきたのだろう…


会いたかった…
もっともっと早くに会いたかった!

こうなる前に、
まだまだ「できる事」があるうちに
出会いたかった…





2022年12月30日

もう目は見えていない
コノミから視界が奪われた。



動く力も残ってないはずなのに
よろめきながら懸命に立ち上がり
這いずるように歩き出した先には…



もう良いんだよ?

おしっこもうんこも
寝たままで良いんだよ?

前足で必死に体を支えながら
おしっことうんちを
トイレで出そうとしてた。

条件反射で手を貸そうとしたが…
その手を引っ込めた。

コノミ自身が望み動いたことだから
邪魔をしちゃいけないんだろうな…って。
​​​

コノミをレスキューして
ずっと探してた​「私ができること」​
ようやく答えにたどり着けた。

それは…

「コノミを尊重する」
「コノミの尊厳を守る」

だった。





2022年12月31日

偉そうなこと書いてるけど…
コノミだけと寄り添う時間すら、
与えられる立場ではなかった。

スタッフやボランティアさん帰宅後の
夕方~翌朝の時間が
母家にいる老犬達の介護が中心だから。
(今は寝たきりの介護犬は3匹だけ)

療養の家と母家を
行き来はしてたけど、
コノミにとっては、
都合良かったのかもしれない。
私にずっと側にいられるより、
ずっと見られているより、
リラックス出来るんじゃないか?って。

いや…違うな…
自分の都合良いように解釈しようと
言い訳じみた思考に持っていっただけだ。

AM9:30
出勤したスタッフと交替。

「おはよう!コノミさん!」

パタパタと左手を上下に動かし、
軽い発作がはじまった。

お別れの時が来たのだと悟った。

本当は「ありがとう」「大好き」…
良い言葉をかけたかったのに、
「ごめんね」しか出てなかったと思う。
​​
​​

2022年12月31日
9時50分
下顎呼吸もなく、
呼吸が激しく乱れることもなく、
まるで眠るように…
静かな最期を迎えた。

おこがましくて恥ずかしいけど、
勘違いかもしれないけど、
私が帰宅するまで
頑張って待っててくれたような
そんな気がした。


荼毘に付すまで
トイレを片付けられなかった。
コノミのうんこさえも愛おしく思えて…

コノミが力を振り絞って頑張った
証のように思えて…



人間の価値観なんだろうけど…
一緒に年を越したかった。
2023年…1分でも1秒でも良いから
一緒に今年を迎えたかったな。
別に意味はないけど
なんとな~く…



​2023年1月1日​
コノミは荼毘に伏されました。

「おかえり!コノミさん!」


きっと、美形だっただろうに…
衰弱した写真しかなくてごめんねコノミ。

コノミ…
また会いたいけど、
もう会いたくないよ。

コノミと私は、
二度と出会っちゃいかんのだよ…

私と出会う=不幸な犬猫
だからね…

幸せな犬猫は、
私と出会わないのだから。
生きてる時空が違うのだから。

​バイバイ…コノミさん!​​



「私ができる事」…出来たと思う。

その瞬間がきたら、
点滴や水分を介護する側が
コントロールして
苦しませない最期を
迎えさせること。

「枯れて死ぬ」
死への準備が始まった体に
決して逆らってはいけない。
眠るような安らかな最期であるために…

​​
 

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最終更新日  2023年01月04日 16時08分21秒
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