カテゴリ:エセ軍事マニアの呟き
来年2008年に節目の第50次を迎える日本の南極地域観測事業。現在、日本の南極越冬観測隊の輸送支援活動は海上自衛隊の砕氷艦『しらせ』(AGB5002)が担っていますが、耐用年数の経過により『しらせ』は今年の第49次隊の輸送支援任務をもって退役する予定です。しかし、同艦の後継となる12,500t型砕氷艦の就役が国の財政事情の影響により1年遅れることになったため、合間となる2008年の第50次隊の輸送支援をどうするかが課題となっていました。
南極地域観測統合推進本部では『しらせ』の艦齢延長や航空機による輸送など複数の案を検討した結果、費用や安全面等を考慮してオーストラリアの民間砕氷船をチャーターして使用することに決定しました。輸送支援に海外船舶を使用するのは日本の南極観測史上初となります。 2003年に『しらせ』後継艦の建造を巡って予算のゴタゴタが世間を賑わせたのは記憶に新しいところですが、これで一連の後継艦に関するすべての問題がひとまず決着することになります。 *来年の南極観測隊、豪船をチャーター <YOMIURI ONLINE> (Web上の記事のため時間経過により削除される可能性があります。) 今回日本がチャーターを予定しているのは、オーストラリアのAntarctic Shipping Pty Ltd社が所有する砕氷船『オーロラ・オーストラリス』(7,880t)。毎年11~2月にかけてオーストラリア南極局の南極観測隊の支援活動に従事しています。 『オーロラ・オーストラリス』は来年12月にオーストラリアのフリーマントルで日本の第50次隊を乗せて出発し、09年1月に昭和基地付近に接近して物資・人員の輸送を行うほか、日豪共同で海洋生物の観測も行うとのことです。艦容が『しらせ』よりも小型のため隊員数は若干減らすものの、第50次隊は例年とほぼ同規模の観測が行えるようです。 実は、『オーロラ・オーストラリス』と日本には意外な縁があります。1998年12月、『オーロラ・オーストラリス』は南緯69度11分・東経75度の南極ブリッツ湾でプロペラの故障により自力航行不能となり、氷海に閉じ込められるビセット状態に陥りました。この時、オーストラリア政府の要請を受けて『しらせ』が救助活動に向かい、13~18日にかけて砕氷しながら『オーロラ・オーストラリス』をロープで曳航して無事救出に成功しています。それから10年後、その『オーロラ・オーストラリス』が今度は日本の南極観測活動を助けることになるわけで、地球上で唯一国境のない場所といわれる南極ならではの"友情劇"といえるでしょうか。 なお、退役する『しらせ』については、今後退役後の利用について検討を進めるようですが、先代の『ふじ』(AGB5001)と同様に何処かでの展示保存が実現することを期待。 一方、今年着工した後継の12,500t型砕氷艦については、来月から艦名の一般公募を行うとのこと。『しらせ』の艦名は日本の南極探検の先駆者である白瀬矗にちなみますが(海自の命名基準では南極の白瀬氷河に由来となっている)、次期砕氷艦の艦名は果たして何になるのか楽しみです。 そういえば、『しらせ』は8月から毎年恒例の総合訓練に出港します。南極観測事業の広報活動も兼ねて全国を回るこの総合訓練も今年がラスト。今年は7寄港地・41日間の航海となる予定です。四国への寄港はありませんが、9月29~10月2日にかけて呉に寄港するようなので、これが『しらせ』を見る本当に最後の機会ということで行ってみようか・・・・・・と思ってるんですが、スケジュール的に9月29日の海自徳島航空基地の航空祭と連チャン確実。疲れるなこりゃ(苦笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.06.29 00:03:33
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