テーマ:ゴルゴ13(71)
カテゴリ:東郷農機広報部/ゴルゴ13関連
前にも書きましたが、管理人がアニメ版『ゴルゴ13』の視聴に利用している動画投稿サイトの一つにVeohがあります。英語サイトですが、専用チャンネルが設けられて高画質の動画がアップされており、手っ取り早い視聴に重宝しております。
さて、今回のアニメ版『ゴルゴ13』第12話ですが、今回から各話のゲスト声優を併記していくことにしました。 〔Target.12:TOUCH DOWN〕 原作:リイド社SPコミックス第40巻収録(1978年初出) CAST ルウ・アダムズ:谷口節 ジェローム・ナイト署長:加藤精三 デイブ・マッカートニー:千田光男 アメリカ・ボルティモアのメモリアル・スタジアムで開催中のNFLの試合。地元ボルティモア・キグナスのクォーターバックを務めるライオネル・ブルーは、今や全米アメリカンフットボール界の若きスターとしてその名を轟かせていた。チームメイトも彼の活躍を賞賛する中、ポジションを奪われて控えに座るトム・ハットンだけは面白くない様子だ。 観客の中にはボルティモア市警察の老刑事ルウ・アダムズの姿もあった。ルウもまたライオネルの活躍に感激し、彼の活躍こそアメリカンドリームの象徴だと愛犬サニーに語りかける。 30ヤードを独走して見事タッチダウンを決めたライオネルの華麗なプレーに沸く大観衆。だが、ライオネルが倒れ込んだまま動かない。不審に思った他の選手が駆け寄ったところ、ライオネルはこめかみを銃弾に撃ち抜かれて息絶えていた! 市警に戻ったルウだったが、署長のナイトにライオネル・ブルー殺害の捜査から外れるよう命じられる。市警は当時ボルティモア市内に世界的なスナイパーであるゴルゴ13がいたことを突き止めており、大観衆の中で試合中の激しく動き回るフットボール選手を正確に狙撃できるのは彼しかいないと睨んでいた。市警はゴルゴ13が乗り合わせた飛行機にコレラ感染者がいたという名目で彼を感染対象者として警察病院に隔離して足止めする一方、CSI(科学捜査班)でライオネルが狙撃されたときのハイビジョン映像を基に3Dモデルを作成し、弾道をシミュレートして狙撃地点を割り出し、そこを撮影した各所の中継映像の中から狙撃犯を割り出すことで今回の事件がゴルゴ13の仕業であることを立証しようとしていた。ナイト署長に言わせれば、ルウのような勘と経験を重んじる"コケの生えたような古典的な捜査方法"は今回の事件の役には立たないということらしい。しかし、ライオネル・ブルーというアメリカの夢を奪った犯人を許せないルウは科学捜査一辺倒の署長に反発し、あくまで自分の勘と経験を武器に独自に事件を追い始める。 ルウは警察病院を訪れて病室のゴルゴ13に面会する。ゴルゴ13は試合が始まる3時間前にボルティモアに到着し、ホテルで1時間ほど時間を潰してから外出したが、それ以降のアリバイはなかった。だが、ルウの詰問にもゴルゴ13は黙して語らない。ルウは彼が間違いなくプロ中のプロであり、あの試合の中でライオネルを正確に狙撃できるのは彼のような氷のような人間しかいないと確信するが、そのコンピュータを思わせる無機質な印象を実感して自分が本当に時代遅れの人間になってしまったのかと表情を曇らせる・・・ 続いてルウが訪ねたのは、同じボルティモア・キグナスの元スター選手であるトム・ハットン。若手のライオネルにクォーターバックのポジションを奪われたトムにはライオネルを殺す動機があり、プロを雇って殺させることも可能と睨んだルウは、トムが1週間前に300万ドルもの大金を銀行から下ろしていたことを突き止めていた。ルウは敢えてゴルゴ13の名前を出して彼が警察に犯人と睨まれていることを告げ、ゴルゴ13の報酬の相場が300万ドルであることを示唆してトムに揺さぶりをかけて引き上げる。トムが明らかに動揺しているのを見て取ったルウは、これで相手が動くと予測する。 一方、市警CSIではライオネルが狙撃された映像の3Dモデルと弾丸の入射角度、スタジアムのCADデータを組み合わせての弾道解析の結果、狙撃地点をC3スタンド席に絞り込んでいた。後はその範囲の中継映像を詳しく検証するだけ。これで、FBIでさえ捕らえられなかったゴルゴ13という超大物をボルティモア市警がタッチダウンできるとナイト署長は事件解決に自信を見せる。 その頃、ゴルゴ13が隔離されている警察病院の病室を、見舞い客を装ってデイブ・マッカートニーが花束を手に訪れていた・・・ CSIでの分析は、いよいよC3スタンド席の映像の解析に入っていた。無数の観客の中から色相分析によって東洋人を抽出し、一つ一つ虱潰しにチェックしていった結果、スタンド中段の階段の前で超望遠レンズ付きカメラを構えているゴルゴ13らしき人物の映像を突き止める。恐らくカメラの中にライフルを内蔵して狙撃したと思われるが、この映像では人物の顔を確認できないため、同時刻にスタジアム内の他の地点から撮影された同じ場所の画像があるかどうか確認を急ぐ。だが一方で、警察病院では医者顔負けの知識を持つゴルゴ13をコレラ保菌者として拘束し続けるのに四苦八苦しつつあった。 一方、ルウはトムが車で自宅のマンションを出たのを確認し、揺さぶられて焦ったトムがゴルゴ13に接触すると睨んで追跡を開始する。だが、トムが向かったのはゴルゴ13のいる病院ではなく郊外のとある邸宅。そこはフットボール賭博の大物と目されるテッド・オブライエンの屋敷だった。ルウはトムがテッドの仲介でゴルゴ13に仕事を依頼したと推測する。 テッドは焦るトムにゴルゴ13が依頼人のことを話すことは絶対ないと宥めつつも、逆に警察に突かれたらしいトムがゴルゴ13のことを白状してしまう可能性を気にし、ゴルゴ13に裏切り者と見なされてトム共々消されてはたまらないとその場でトムを拳銃で射殺してしまう。現場を目の当たりにしたルウは咄嗟に窓ガラスを破ってテッドを制止しようとするが、拳銃を向けられたためやむなく射殺する。 依頼人の線が切れてしまったルウは真夜中のスタジアムに赴き、自らの足で遺留品がないかどうかを探す。すると、愛犬のサニーが座席の下に5.56mmの空薬莢が転がっているのを見つけた。それはライオネルの狙撃に使用された弾丸と同じ口径であった。 朝を迎え、CSIではようやくC3スタンド席を別角度から捉えた映像を発見していた。そこへルウがやってくるが、愛犬のサニーが窓の外に何かを感じたのかやたら吠えかかる。ルウはナイト署長にゴルゴ13への依頼人を突き止めたものの二人とも死亡したことと、スタジアムで空薬莢を発見したことを報告する。その発見場所はC3スタンド席で、CSIの分析結果と一致した。その時、映像の中に映っていた超望遠カメラの人物の解析がようやく完了した。そこに映っていたのは紛れもなくゴルゴ13の顔! だがその時、一発の銃弾が外から窓ガラスを撃ち抜いて映像解析装置に命中し爆発を起こした! 弾丸は爆発性を持たせた曳光弾らしく、分析データは装置もろとも灰燼に帰してしまう・・・ ゴルゴ13が病院を抜け出して証拠隠滅を図ったと睨んだナイト署長とルウは慌てて警察病院に駆け付けるが、病室には昨夜と変わらぬゴルゴ13の姿が。院長曰く、彼は昨夜から一度も病室を出ていないという。病室を出て外に行くには正面のナースステーションの前を通ることになり、廊下には監視カメラもある。また、窓から外に出ようにも病室の窓は人が擦り抜けられるほどには開かない構造になっている。ルウは一瞬でも看護師たちの目を盗んで監視カメラの作動ローテーションの狭間を縫えば非常口から外に出られると推測し、ゴルゴ13を逮捕しようと署長に訴えるが、確実な証拠が失われた今となっては憶測だけで彼を逮捕できないと署長は頭を抱えるしかなかった。彼を責めて自白を求めるのは死人を喋らせるより難しいのだから・・・ ライオネル・ブルーの死を悼む多くの市民たちが集う葬列がストリートを行く。その様子を、釈放されたゴルゴ13は車中から静かに見つめていた―――――― ○○○○○○ アメリカンフットボールの試合中に選手が狙撃されるという事件を軸に、ゴルゴ13の犯罪を最先端の科学捜査で立証しようとする警察上層部と、科学捜査一辺倒の上層部に反発して独自に事件を追う昔気質の老刑事の姿を描く本作。最新の科学捜査と昔ながらの経験に基づく捜査手法の対立というのは刑事ドラマでもよくあるパターンですが、双方の視点が一致してついにゴルゴ13の関与を裏付けたのも束の間、自分の仕事を探られることを許さないゴルゴ13の狙撃によって証拠そのものが抹消されてしまうという如何にもゴルゴ13らしいオチになっています。 ちなみに、本作に登場するNFLのチーム名は、原作では当時実際にボルティモアを本拠地にしていたボルティモア・コルツですが、コルツは本作発表から6年後の1984年に本拠地をインディアナポリスに移してインディアナポリス・コルツとなり、それから12年後の1996年にクリーブランドから旧ブラウンズがボルティモアに移ってきて新たにボルティモア・レイブンズとなって現在に至っています。それらを踏まえて&商標権との兼ね合いか、アニメでは"ボルティモア・キグナス"という架空のチーム名になっています。また、事件の舞台となったボルティモア・メモリアル・スタジアムは実際には1997年に閉場し、2001年に解体されています。 最新の映像分析技術に絶対の自信を見せるボルティモア市警の上層部、老いた自分が時代に取り残されつつある悲哀を感じつつもあくまで自分の得意とする勘と経験と足の捜査に拘る老刑事ルウ、そして病院に拘束されながらも自身に向けられた容疑をかわすべく静かに暗躍するゴルゴ13が交錯するスリリングな展開が本作の見所ですが、一方でゴルゴ13が警察の動きをどのように察知して病院の集中監視を抜け出し、CSIの部屋に銃弾を撃ち込んだかという展開が作中であまり説明されていないため、多少無理矢理なストーリー展開になってしまっているのが残念でもあります。まぁこれはそもそも原作がそうなのでしょうがないのですが・・・(苦笑)アニメ版では見舞い客に扮したデイブがゴルゴ13の病室を訪ねるという原作にはないシーンが加えられ、彼がゴルゴ13に必要な武器と弾薬を提供したことを匂わせる演出になっていますが、これもよく考えるとコレラの保菌が疑われる(という名目で拘束されている)患者に一般人の面会が認められるのかという疑問があり、脚本が上手く練られていない感は否めません。 また、コンピュータを使った映像分析による市警の科学捜査ですが、コンピュータの活用がまさに最先端技術だった1970年代後半に登場した原作を2008年の現在にアレンジしているため、現代の感覚で見ると重要な映像データを一つの分析機器にのみ残してバックアップも取らないなど警察側の稚拙さが際立つ展開になってしまっています。ちなみに、映像の分析に当たっていた技官は原作では狙撃されて爆発したコンピュータのガラス片を身体中に浴びて血みどろになってしまいますが、アニメ版は表現規制がかかったようで(笑) 一方の老刑事ルウは1940年代の古き良きアメ車を乗り回すなど如何にも昔気質なキャラクターとして描かれていますが、こちらも捜査の過程で重要な証人となるゴルゴ13の依頼人とその仲介者をみすみす死なせる愚を犯してしまい、それにも関わらず平気な顔でスタジアムで証拠探しという展開が少々マヌケに見えてしまうのが残念。まぁこれも原作の展開そのままではありますが(苦笑) ちなみに、ゴルゴ13にライオネル・ブルーの狙撃を依頼したチームメイトのトムですが、原作ではライオネルの死亡後に自宅で女性とお楽しみなシーンがあるのですがアニメではカットされてました(笑) 総じて、今回は原作の展開をほぼ踏襲しているが故に、ストーリー展開等で少々粗の目立つ話になってしまった感がありますね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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