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くれーじーくえいる ぶろぐ

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2008.12.04
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 昨日12月3日、"オスロ・プロセス"に基づくクラスター爆弾等の集束弾兵器の事実上全面禁止を骨子とする禁止条約の署名式がノルウェーの首都オスロにて行われ、日本を含む約100ヶ国が署名しました。同条約は30ヶ国が批准してから半年後に発効し、日本政府は来年1月の通常国会での批准を目指します。
 加盟国は条約発効後原則として8年以内に保有するすべてのクラスター弾薬の廃棄が義務付けられており、日本で正式に発効した場合、2017年頃までに自衛隊が保有する4種類のクラスター弾薬(MLRS用M26ロケット弾、GBU-87/Bクラスター爆弾、70mmハイドラ・ロケット用M261ロケット弾、155mm榴弾砲用03式多目的弾)をすべて廃棄することになります。
 アメリカ、ロシア、中国、イスラエルなどクラスター弾薬の軍事上の有用性を重視する国々は今回の条約に参加しておらず、今回と同じ流れで誕生した対人地雷禁止条約と同様に実効性への疑問も持たれていますが、子弾の不発率の低減を進めてもどうしても不発弾の発生を押さえ込めない現状を見ると、集束弾兵器の規制・禁止に進んでいくのは当然の帰結であろうといえます。条約に参加していないアメリカにしても、市街戦等ではクラスター弾薬は使いにくいとの判断から"オスロ・プロセス"での議論以前にすでに自軍が調達するMLRS用ロケットの将来的な調達予定を単弾頭型のM31ロケット弾に切り替える方針に転じているわけで・・・

 防衛省では日本政府が集束弾兵器の禁止条約に参加するのに伴い、条約で保有が許される最新型のクラスター弾薬の導入を模索していたようですが、最終的にこの最新型の導入も断念することになりました。新聞等の報道ではその理由について「人道的見地から」と書かれてますが、実際の所は現在の最新型のクラスター弾薬では自衛隊の想定する運用に合致しないし値段も高すぎるから導入しないというのが正直な理由でしょう。条約が規制の対象外として定義する『子爆弾が10個未満、子弾1個当たりの重量が4kg超、攻撃対象の識別機能、電子的な自爆・無能力化装置を備える』等の条件に当てはまる最新型弾薬は現時点では対装甲用のスマート爆弾がいくつかあるくらいで、これらは対装甲用としては効果がありますが集束弾兵器のキモたる広範囲な面制圧という用途には使えず、運用コストもかかります。
 というわけで、自衛隊がクラスター弾薬を手放すことになるのはほぼ既定路線となったわけですが、だからって日本\(^o^)/オワタとか勝手に嘆く人は勉強不足か極度の悲観論者です(爆)防衛省ではクラスター弾薬の全面廃棄による防衛力の低下を最小限に抑えるため、精密誘導機能を備えたロケット弾や爆弾を代替装備として調達する方針を正式に明らかにしました。具体的には、陸上自衛隊が装備するMLRS(多連装ロケットシステム)のM26ロケット弾と航空自衛隊のCBU-87/Bクラスター爆弾を、それぞれ共に慣性誘導+GPS誘導機能を備えた単弾頭型のM31ロケット弾およびJDAM(統合直接攻撃弾薬)で代替することになります。
 M31ロケット弾は1998年に開発されたGMLRS(誘導型MLRS)の弾薬の一つとして開発された単弾頭ロケット弾で、70km以上の長射程とGPS誘導による優れた命中精度を有し、イラクやアフガニスタンでは都市部の武装組織拠点に対する近接支援兵器として使用され大きな効果を挙げています。一方、JDAMは500ポンド爆弾等の各種通常爆弾に装着してGPS誘導爆弾化するキットで、空自では2004年から導入を開始してF-2A/B支援戦闘機に逐次JDAMの運用能力を付与しています。また、報道記事によれば、慣性誘導+GPS誘導にレーザー誘導機能を追加した最新型であるLJDAM(レーザーJDAM)の導入も計画されているようです。なお、陸自のMLRSでM31ロケット弾を使用するにあたってはM270自走発射機の改修が必要になるため、これも弾薬の調達と平行して予算計上される物と思われます。
 MLRS用のM31ロケット弾とJDAMにより、自衛隊は水際迎撃戦術を従来のクラスター弾薬を使った広範囲の面的制圧から橋頭堡や複数の脅威目標および重要拠点に対する精密攻撃へとシフトしていくことになると思われます。集束弾兵器の面制圧能力が失われるのは確かに損失ではありますが、代替となる精密誘導弾薬の射程距離や命中精度等のポテンシャルを考慮すると、戦術の見直しによって総合的には自衛隊の戦力はむしろ向上するとも考えられます。

 さて、代替装備の調達にあたって最大の障壁となるのは恐らく調達予算の確保。防衛省は来年度の2009年度予算概算要求で代替弾薬の調達費用約73億円とクラスター弾薬廃棄のための調査費約2億円を計上していましたが、同予算では在日アメリカ軍再編の関連費用等の確保を優先するべきと判断し、代替弾薬の調達費用について2008年度第2次補正予算案で前倒し要求する方針を固めたようです。財務省も前倒しの方針には理解を示しているとのことで、とりあえず今年度に関しては何とかなりそうな雰囲気のようです。しかし、今の政局を見てると肝心の第2次補正予算案自体がどうなるのかまだ不透明な気が・・・(苦笑)





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Last updated  2008.12.04 13:01:23
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