弱点や欠点は突然宝物に変わることがある
「ケンタッキー・フライド・チキン」のカーネル・サンダース氏は元々レストランのオーナーでした。65歳の時、レストランのある国道から少し離れた場所に、新しいハイウェイができて客が激減してレストランは倒産しました。絶体絶命の立場に立っていたのです。こんな状況に追い込まれれば、誰でも自暴自棄になります。カーネル・サンダースは「店舗がない」ということは、「自由に動ける」ことだと考えたのです。店舗に縛られないので、自由に他の店舗に営業に行き、「フライドチキンのレシピを売る」商売へ転換したのです。レストランを経営しているだけだったら、チキンのレシピを売る、という発想は思いつかなかったでしょう。この短所を長所に変える発想により、全世界で1万店舗を超える「ケンタッキー・フライドチキン」が誕生したのです。この方法はセブンイレブンを始められた鈴木敏文氏の発想法に似ています。店舗は自分では持たない。店舗はそれぞれのオーナーのものです。セブンイレブンは、販売手法に特化してそのノウハウを開発して販売しているにすぎません。店舗をもないで、店舗の運営、品ぞろえ、物流に特化するという自由な発想は従来にはありませんでした。店舗がないのに、どうして商売ができるのだという先入観を持っていると逆転の発想は生まれてきません。パソコンの販売を手掛けているデルも同じです。工場を持たない。販売網も持たない。そんな状態で成功した会社です。パソコンの基本設計を行い、それを格安で組み立ててくれる提携工場を世界中で探す。つまり製造はすべて外注に出しているのです。そして注文はインターネットで世界中から直接受ける。だから販売する店舗は要らないのです。そういう仕組みを作り上げたのです。その結果格安のパソコンが出来上がってくる。従来は自前で工場を持ち、販売チャネルを整備して初めて商売が成り立つと考えられてきたのです。短所と長所は、コインの裏表のように、すぐに入れ替わってしまう関係にあるということを再認識したいと思います。弱点や欠点の裏には、素晴らしい強みや長所が隠れているのではないかと両面観で分析してみることが大事になります。普通は自分の強みや長所に焦点を当てて、その部分を伸ばしていくことだけを考えています。弱点や短所から自分を活かしていく道もあるということだと思います。こういう自由な発想ができると人生に希望が持てるようになります。(人を動かす質問力 谷原誠 角川新書 参照)