怒りの感情を鎮める方法
矢野惣一氏のお話です。怒りなどの感情は自然現象なので自在にコントロールすることはできません。では、どうすればいいのかというと、感情は変えるのではなく、「寄り添う」のです。「自分は今、怒っているのだ」と、自分の感情を認めるのです。感情に寄り添う、感情を認めると言われても、どうやったらいいのか分かりませんよね。先ほど、感情は言葉にならない「体の感覚」だと説明しました。だから、感情に寄り添う、感情を認めるには、体の感覚に意識を向ければいいのです。まず怒りが体のどこにあるのかを探します。「私の身体のどこが一番怒っているのだろう」と自問して、身体の感覚を探ってみて下さい。多くの場合、胸か下腹にあります。場所が特定できたら、その部位に手を当てます。そして、怒りがある体の部位に話しかけます。「あなたが、そこにいることに気がついたよ。今まで無視したり嫌ったりしてゴメンね」そして共感します。「腹が立つね。あんなことされたら怒るのが当然だよ」そうやって、しばらく怒りのある体の部位を撫でてあげてください。そうしたら「大丈夫だよ。私が傍についているからね」と言ってあげてください。それだけで怒りは、鎮まります。(怒っていい 矢野惣一 ヒカルランド 184ページ)私は対人恐怖症で辛いときに胃潰瘍になりました。それは今でも萎縮性胃炎として残っています。森田先生は心身一元論の立場から、精神の不調は身体に現れると言われました。また身体の不調も精神状態に影響を与えている。そういう意味では、怒りに寄り添うとともに、胸や下腹などの怒りを感じている部位に意識を向けて優しく撫でてあげるようにすることが有効であることが分かります。