スランプ脱出法について
斎藤茂太氏のお話です。スランプとは一種のうつ状態である。そう考えたほうがなかなかこの状態から抜け出せない人にはいいかもしれない。スランプの脱出法を一言でいってしまえば「堪える」ことと「気分転換」を図ることである。季節と同じで変わり目を待つしかない。スランプはいくら焦っても駄目で、じっと堪えるうちに退散を願うという一見「消極的」な方法が、かえって一番近道だったりすることが多いのである。スランプに陥ると今の現状を何とかしなければという気持ちがとかく先に立って焦るものだ。かってのスランプの前のレベルに少しでも近づこうとあがく。しかし、少しも前に進まない。進まないどころか、前よりもわるくなっているような気がする。また焦るという繰り返しである。スランプに陥ると、周囲の雑音がどうしても気になるものだ。堂々巡りのうちに、本来の「プラス」が「ゼロ」になっただけなのに、自分がどんどん「マイナス」に陥って行くような気分に襲われる。スランプに耐えるということは、この気分に落ち込むことを防ぐことに他ならない。100%元の状態に復活しようとするよりも、10%でもいい、少しでも元の状態に戻ればよしとする気持ちが、結局はスランプを脱出する糸口になる。(逆境がプラスに変わる考え方 斎藤茂太 PHP文庫 103ページ)スランプというのはプロ野球の選手を見ているとよく分かる。調子の波に乗ってバット振ればヒットになるというときがある。やることなすことが想定通りに推移する。順風満帆の時は有頂天になってこのまま好調な状態がいつまでも続くと思ってしまう。しかしある時を境にしてバッタリとヒットが出なくなる。早く元に戻さなければと焦る。フォームを調整し、神頼みをする。慌てて死に物狂いで手あたり次第手を出すが、すべてが裏目に出る。そのうち出番がなくなり、二軍での調整を命じられる。これはバッティングには波があるということだと思う。好調と不調の波が循環していることだと思う。その変化の波に乗って日々淡々と練習を重ねていくことが大切になる。波の底にいるときに、浮上するために死にものぐるいでやりくりしていると、そこよりさらに落ちこむ場合がある。一番底の下に二番底、三番底が口を開けて待っていたということになる。そして最後に力尽きて、反転浮上するきっかけを掴めないことがあります。これは精神交互作用で神経症に落ちるようなものです。斎藤茂太氏の指摘されているように「堪える」「気分転換」を図ることが大事になる。好調時に有頂天になって舞い上がるのではなく、新たな課題に取り組むなどで気を引き締めることが必要になる。これで好不調の波を小さくすることができます。森田理論も、流れと動き、変化とリズムをとても重要視しています。石原加受子氏によると人生の波は6年周期でやってくると指摘されている。「意識の法則と6年周期リズム」という本で、詳しく説明されているので関心のある方は参考にしてください。