対人恐怖の方の人付き合い
不安神経症の人と対人恐怖症の人は人間関係の対応方法がかなり違うように思います。不安神経症の方は突然死の恐怖が襲ってきてパニック状態になります。その時誰かが付添ってくれていれば安心できます。そのためには普段から他人が喜ぶようなことを見つけて実行している。不安神経症の人は明るく、人付き合いが比較的上手です。対人恐怖症の人は他人から評価される、一目置かれる存在になることに関心が高い。不安神経症の人のように人と仲良くして交流することを楽しむという気持ちは希薄です。そういう意味では自己中心的な人達です。対人恐怖症の人は本音の部分に他人が怖いという気持ちを持っているように思います。良好な人間関係を築いて維持するという側面が弱いように思います。反面一人で過ごすことは苦になりません。人生の楽しみ方を自分なりに見つけている。一つのことを掘り下げて、名人の域に達している人もいます。しかし他人との接触を完全に断って仙人のような生き方はできません。人間は社会的な生きものですから多かれ少なかれ人間関係がつきものです。では対人恐怖症の人はどんな気持ちで人と付き合っていけばよいのでしょうか。私は森田の不即不離をお勧めします。必要なときに、必要に応じて、必要なだけの付き合いをするということです。必然的に浅くて広い人間関係を目指すことになります。その前提に立って、どんなことに注意すればよいのかを考えてみました。1、笑顔での挨拶を欠かさないように心がける。2、しゃべりすぎないように心がけて、相手の話をよく聞く。3、約束や責任をきちんと果たす。ドタキャンはしない。3、弱点や欠点、ミスや失敗は隠さない、ごまかさない。4、相手を非難、否定、叱責、拒否、強制、無視しない。5、不平や不満、腹立たしさをすぐに相手にぶっつけない。6、「ありがとう」「助かります」という言葉を使うようにする。私たちは釣りバカ日誌のハマちゃんのような陽気でまわりの人を和やかにする能力は持ち合わせていません。でもこれくらいなら実行可能なのではないでしょうか。人間関係は20対60対20の法則があると聞きました。これは馬の合う人20%、馬の合わない人20%、どちらでもない人60%という意味です。肝心なことは、どちらでもない人を敢えて敵に回さないように心がけることです。潤滑油の切れた歯車を無理やり回転させるようなことは痛々しい。これだけ心がけるだけで人間関係で大きく躓くことは避けられます。