図書館で『限界都市あなたの街が蝕まれる』という新書を、手にしたのです。
少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!
【限界都市あなたの街が蝕まれる】
日本経済新聞社著、日本経済新聞出版社、2019年刊
<「BOOK」データベース>より
再開発で次々と建設されるタワマンやオフィスビル。一方で取り残される老朽団地や空き家・空き地の増加、進まぬコンパクトシティー化。誰も全体を把握できないまま日本列島で同時進行する「合成の誤謬」に、データ分析と現地取材でメスを入れる。
<読む前の大使寸評>
少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!
rakuten限界都市あなたの街が蝕まれる
|
「第1章 タワマン乱立、不都合な未来像」で小学校の状況を見てみましょう。
p31~37
児童があふれる小学校
■タワマンは東京湾岸地区に集中
武蔵小杉で乱立しているタワーマンションとは、いったいどのような高層住宅を指すのか。
実は国が定めた定義はないが、一般的に高さ60メートル以上で20階建て以上のマンションを指す。周辺に誰でも利用できる緑地や空間を設けるなどして容積率の緩和を受け、超高層を実現する。大浴場やパーティールームなど豪華な共用施設が売り物の物件も多く、都心の高層階は「億ション」も多い。
19階建てながら1971年完成の「三田綱町パークマンション」(東京・港)が第1号とされる。廊下など共用部を容積率の計算対象から外した1997年の建築基準法改正を機に建設ラッシュになった。
同じ床面積なら固定資産税額は同額だったため、富裕層が相続時の節税目的で高層階を買う「タワマン節税」も一時活発化。2017年度の税制改正で上層階になるほど税額を増やすことを決めたが、さほど影響はなく、現在は全国で約1400棟、38万戸が供給されている。
■東京4区の学校整備費、10年で22倍に膨張
東京圏でタワーマンションが集中して立地しているのは東京都の中央、港、江東、品川の湾岸4区だ。こうした地域も武蔵小杉と似たような負の側面が浮き上がってきた。
そのひとつとして注目したのは教育現場だ。日本経済新聞が2008~17年度の湾岸4区の公立小学校の児童数と新築・増改築費用を調べたところ、累計856億円に達し、その前の10年の22倍に膨張したことが分かった。耐震補強など児童増以外の目的のみのために実施した整備費は含んでいない。
4区合計の児童数は1998~2002年度の5年間はほぼ横ばいだったが、その後は徐々に増加。タワーマンションの建設ラッシュが続く2008年度からの直近10年間でみると、公立小の児童数は中央区と港区が4割、江東区が3割、品川区が2割増加。4区の合計で1万3千人増えた。
この増え方は想定外だった。児童数の増加に伴い校舎の新築や増築にかかった整備費は、1998~2007年度は江東、品川の2区が計39億円を投じただけだったが、2008~12年度は4区で計391億円に跳ね上がり、2013~17年度は465億円とさらに上乗せされた。
(中略)
この10年に4区がかけた小学校の整備費は一般会計の歳出全体の約2%にあたる。人口増に加え景気の回復傾向もあり整備費の増加は税収増で賄えたたが、今後は少子高齢化が加速し、児童が再び減少に転じる可能性が高い。
タワーマンションの建設に応じて増改築した校舎が余剰になれば、維持管理や統廃合の費用がかさみ、人口減少も相まって自治体の財政を圧迫することになりかねない。同じ都内でも高度成長期に完成した集合団地では学校の統廃合がすでに始まっている。
|
『限界都市あなたの街が蝕まれる』1