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沖縄返還と通貨パニック 川平成雄 2015年
「国境の人びと」山田吉彦によると、奄美大島の島々は、奄美群島政府時代に日本復帰運動を全島民あげてとりくみ、血判状まで用意して迫り、1953年クリスマスに日本に復帰したそうだ。
一方、沖縄の返還は、1972年5月までかかり、その間、米軍による支配の中で不条理な生活を強いられ、現在も軍事拠点との共存生活が続いている。本書では、返還3年前の米兵による主婦轢殺無罪放免事件、続いて起きた米兵による交通事故を発端に発生したコザ騒動について沖縄庶民の憤りの状況を克明に整理している。
その翌年の終戦記念日にニクソンは変動相場制への切り替えを宣言し、沖縄は日本復帰に向けて県民の資産が大きく毀損される危機にさらされてしまうことになったそうだ。
庶民の生活と沖縄経済に打撃を及ぼすドル切り下げ、円切り上げ、投機勢力の侵入、これらに対応するために沖縄の行政の志士達がどのように対応したか、日本の閣僚、省庁がどのように支援し、また、傍観したのかが活写されている。
身を挺して奮闘した指導層が沖縄におられたたことに深く感動した。また、それに応えた閣僚がいたこともすくわれる思いがした。一方、自己・自組織の論理を横暴に奮った中央官僚がいたことも怒りとともに記されている。
米軍支配の中で、秘密裏に沖縄の人々の資産毀損を防いだ信念の強さ、深さがどれほどの思いからきているものなのか、沖縄で生活してきた人にしか推し量ることはできないのかもしれない。著者の憤りが満ちた本であった。
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Last updated
May 26, 2015 10:14:42 AM
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