畑地でのコチドリの繁殖(水辺でなくともコチドリは繁殖する)
7月に入り、オフィスの近くの畑地でコチドリの成鳥とヒナの姿を目撃しています。長年、ホウレンソウやネギ、サトイモなどを栽培してきた農家の畑地です。今朝も畑の中を幼鳥が走り回り、成鳥が鳴き声を出して集まるように合図を出していました。幼鳥を観察してみると、ようやく上面の羽毛が揃ったばかりの個体、鱗状の上面が目立つ個体、額にバフ色になっており足が長い個体と個体差がかなりあるのがわかります。餌は虫のようなものをついばんでいる模様です。市内では砂利の入った空き地(2009/5~2014/6)、駐車場(2023/5~2024/6)で繁殖をした例があります。コチドリというと水辺というイメージがありますが、必ずしも水辺でなくても繁殖する種類です。同様の事例がないか文献を調べてみると、池田(2003)が鳥取県米子市の宅地造成地でコチドリの営巣を発見し,繁殖行動について観察した結果を報告しています。営巣した環境は、幅員5.5~7.7mのアスファルト舗装された道路で囲まれた約1500(概ね45×35m)の区画の一角で,水はけの良い砂地で雑草が疎らに生えた場所で、産卵、抱卵しヒナが孵化したものでした。ヒナは,一日中ジャガイモ畑の一帯を歩き回り地表をついばみ、採食はジャガイモ畑および周辺の草地で行ない、陸生昆虫類が主要な食物だったことを報告しています。その上で、短期的に出現する不安定な砂榛地でも繁殖し、近くに水域があれば,必ずしも水辺でなくても繁殖する。減少している河川蚊などの代替の繁殖地として人為的な環境で繁殖する個体が増加しているのではないかと考えられると結んでいます。(引用)池田純代・池田兆一.2003.宅地造成地におけるコチドリの繁殖に関する観察記録.Strix.第21巻.pp、219-224.(写真)2024年7月19日撮影