カテゴリ:つれづれ
暖房はまだ要らないけれど朝晩はちょっと寒い…そんな季節になりましたね。
10月も末になると、母は古いスーツケースをパチンと開けます。 スーツケースの中には色とりどりの毛糸だまが沢山入ってました。 「あ~背中が寒い。ベストでも編もう」と言いながら毛糸を選ぶのが秋の夜長のお決まりのようになっていました。 手先の早い母でしたから毛糸を選び模様をざっと決めると、直ぐに編み始めます。大きな編み目模様のベストだったら二晩もあれば出来上がってました。 「あ~あったかい」と目を細めながら喜ぶ母は子供のようでした。 私は編みものよりもスーツケースの中の毛糸が好きで、パチンと開けてはその色合いを見たり毛糸を並び変えたりして遊んでいました。 毛糸は不思議です。編んで、着て、解いて、洗って、また編む。究極のリサイクル素材かもしれません。 父や弟には新しい毛糸でアラン模様のセーターを編んでました。お正月に間に合わせるように12月になると暇さえあれば編み棒を動かしていたように覚えています。 凝り性の母は編みあがっていくプロセスが好きだったようで、出来上がるともう次のプランを考えていました。 「来年はこれを解いて、え~と何を編もうかな」 やっと出来た作品なのにもう解くことを考えるなんて、私には理解できませんが母はそんな人なのです。 あの頃の母と同じくらいの年齢になって、私も「背中の寒さ」を感じるようになりました。(背中、寒くないですかぁ。え、私だけ?) 母と違って魔法のスーツケースも持たず、不器用な私です。 自分で作るよりも手軽に形のよい物が手に入る時代になり、私は楽を選びます。 今夜着ているのもとても自分では編めないような薄手のベストです。 一枚着てるだけで背中が温かく、仕事もはかどります。 でも「私も背中が寒いのよ」なんて母には絶対に言いません。 「ほ~ら、ごらん」って笑われますからね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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