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カテゴリ:Gourmet (Others)
西荻に「ほびっと村」というのがある。「村」といっても要は古いビルを総称してそう呼んでいるだけのことなのだが、このビル、実に不思議な異空間なのだ。
外観からして独特のムードがある。 1Fは一見ふつうの八百屋だが、オーガニック野菜を扱っている店らしい。古いビルにはツタがからまり、入り口にはドアがなく、半円形にくりぬかれた入り口から中へ入る。昼でも薄暗い空間にレトロな照明。くずれかけたような階段がしゅるしゅるとのびている。2Fの窓には緑のオーニング。この店が「バルタザール」というカフェ(??)だ。 ちなみにほびっと村は3Fにも続いていて、バルタザールの上は本屋(その名も「役に立つ本屋 ナワプラザード」とほとんど意味不明ww)とちょっとしたカルチャースペース(「ほびっと村学校」。それなりにいろいろな催しがあるようだが、告知を見ても、Mizumizu的にはまったく縁がなさそうな世界だ)になっている。3Fは異空間度がかなり高い。 2Fのバルタザールに戻ろう。かなり目に付きにくい場所にあるカフェであるにもかかわらず、週末のランチどきはかなり混んでいる。そしてメニューは「お百姓定食」「田舎膳」といったオーガニックな健康食。「バルタザール」なんて小難しい名前からは想像もつかないというべきか、いやこのミスマッチな感覚が「西荻的に」洒落ているというべきか。 客層は圧倒的に女性で、年齢も高め。野菜たっぷりのヘルシーなメニューをいかにも好みそうな人たちだ。 こちらが人気ナンバーワン(?)のお百姓定食。で~んと鎮座してるのが秋茄子のフライ。それに野菜中心の小皿が3品つき、玄米(白米も選べる)と味噌汁。900円也。 こちらは田舎膳、1200円。メニューは日によって違うが、この日は「サーモンとレンズ豆のパテ」「ズッキーニとパプリカのマリネ」「茄子とエリンギのアンチョビ炒め」「野菜のショウガ和え」「カボスのゼリー」それに玄米(この日は白米にしてみた)。 田舎膳のほうは、全部ちょっとずつで、お品書きほどバラエティに富んでる感じはしない。味は… そう、田舎で「自宅の菜園で野菜作ってます」みたいな主婦が作りそうな味だ。東京ではこういうモノもお招きで食べるのではなく、お金を払って食べに行く、ということか。 考えてみれば、フレンチ、イタリアン、エスニック、和食… とよりどりみどりの東京だが、案外こうしたオーガニックな家庭料理を食べさせる店は少ない。食べに来ているお客も女性同士で、誰かの家で手料理食べながらお喋りを楽しんでる風の人が多い。 田舎膳のカボスゼリーが、果物本来のもつすっぱさがよく効いていて、ナチュラルでおいしかった。それで追加で白ゴマのババロアも頼んでみる。250円とお手頃価格。 スペアミントの葉が一部欠けているのは、つい写真を撮るのを忘れて、かじってしまったため(笑)。ねっとりとしたババロアをすくって口に運ぶと、ゴマの風味がいっぱいに広がった。素材をたっぷり使った、自然で贅沢な味だ。しっかりした手作り感が伝わってくる。 西荻近辺以外の人に、わざわざ「来てみたら?」と奨めるほどではないかもしれない。だが、近隣の住民が、家で野菜料理を作るかわりに食べに行く店としての存在価値は大いにあるのだろう。都会でもなく、田舎でもない。お金持ちの街ではないが、貧しいわけではない。洗練されているということもなく全体的にユルイが、どこかにコダワリは強くもっている。そんな「ディコンストラクティッドな街」西荻に、ある意味、とても似つかわしい店だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.09.15 00:06:57
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